【2025年第1四半期】シンガポール労働市場調査結果

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

シンガポール人材開発省(以降MOM)は、先日6月27日に2025年1〜3月期(第1四半期)の労働市場調査結果を発表しました。

本調査によると、雇用は引き続き拡大したものの、そのペースは前期と比べて緩やかとなりました。

今回は、最新の統計データをもとにシンガポールの労働市場の動きや業種別傾向、失業率、求人状況、今後の見通しや政府の取り組みについて詳しくご紹介してまいります。

【目次】
1.第1四半期概況
2.失業率推移
3.求人件数と求人倍率
4.解雇・就業調整傾向と再就職率
5.今後の見通し
6.政府支援策と今後の取り組み


1. 第1四半期概況

2025年1~3月期の雇用者数は2,400人の増加となり、前四半期の2024年10~12月期(7,700人増)と比べてペースは落ち着きました。

居住者(シンガポール国民・永住者)の雇用は300人、非居住者(外国人)は2,000人とそれぞれ増加傾向にありましたが、こちらも前四半期(それぞれ1,400人、6,300人増)よりも緩やかな伸びにとどまりました。


業種別傾向

居住者雇用の増減には業種間でばらつきがみられました。

医療・福祉(Health & Social Services)および金融・保険(Financial & Insurance Services)セクターでは雇用が伸びた一方で、専門職サービス(Professional Services)および情報通信(Information & Communications)セクターでは雇用が縮小しました。

非居住者については、主にワークパーミットを保有する外国人労働者が主な増加要因であり、特にバスやトラックの運転手など居住者には応募が少ない職種での雇用が拡大しています。


2. 失業率推移

2025年3月時点の失業率は、以下の通り前四半期と比較するとやや上昇しました。

・総合失業率:2.0%
・居住者失業率:2.9%
・国民失業率:3.1%

また、6カ月以上職に就いていない長期失業者の割合も0.9%と2024年12月の0.8%からやや増加しました。

一方で、同レポートによるとこれらの数値は過去の通常水準と比較しても大きな変動ではなく、景気後退を示すものではないとしています。


3. 求人件数と求人倍率

求人市場は引き続き堅調に推移しています。

2025年3月時点の求人件数は81,100件となり、2024年12月の77,500件から増加しました。

これに伴い、求人倍率(Job Vacancy Rate)も3.1%から3.2%へと上昇しました。

その一方で、この求人データはトランプ政権下で先日4月2日に発表されたいわゆる「解放記念日関税(Liberation Day Tariffs)」の前の状況を反映しているもの。

同省は今後の影響はこれから見られる可能性があると見ています。

さらに業種別では幅広い分野で求人が増えたものの、製造業・情報通信セクターにおいては人材需要の減速の兆しが見られました。


4. 解雇・就業調整傾向と再就職率

リストラ(解雇)件数は前期の3,680件から3,590件にわずかに減少しました。

リストラ率は1,000人あたり1.5人と、景気後退前の平均(1.7人)よりも低い水準を維持しています。

また、短時間勤務や一時的なレイオフを受けた労働者も前四半期の660人から570人へと減少しました。

さらに解雇後6カ月以内に再就職した居住者の割合は、前期の58.1%から60.6%へと改善しました。

MOMは、「これらのデータは、企業が採用を慎重に進める一方で過度な人員削減には踏み切っていない、バランスの取れた労務管理を行っていることを示している」としています。


5. 今後の見通し

国際経済の見通しは依然として不透明ですが、主要国による貿易摩擦の緩和により、シンガポールの外需見通しはやや改善傾向にあると言えます。

企業の採用意欲にも一部で回復の兆しが見られ、4〜5月に実施された調査では、2025年7〜9月期に採用を予定している企業の割合が前回の40.5%から42.2%に上昇しました。

ただし、この伸びは主に金融・専門サービス業に集中しており、製造・情報通信セクターをはじめとした他業種では慎重な姿勢が続いています。


また、賃金引き上げを予定する企業の割合は21.2%で、前回の21.7%とほぼ同水準で推移しています。

全体としては、雇用や賃金に関する企業のスタンスは引き続き慎重であり、一部業種での前向きな動きは見られるものの広範な回復にはもう少し時間がかかる見通しです。


6. 政府支援策と今後の取り組み

変化する労働環境に対応するため、シンガポール政府は以下のような多面的な支援策を講じています。


企業向け支援

・SkillsFuture労働力開発助成金(SkillsFuture Workforce Development Grant: WDG)
2025年度予算で発表されたこの新制度により、既存の人材育成支援策を一本化し、申請手続きを簡素化。
Workforce Singapore(WSG)およびSkillsFuture Singapore(SSG)が運営する各種プログラムと連携。

・職務再設計支援(Productivity Solutions Grant: PSG-JR)
生産性向上助成金の一部として、将来の業務変化に対応した職務再設計を支援。

・SkillsFuture企業クレジット(SkillsFuture Enterprise Credit: SFEC)※2026年刷新予定
アップスキルのために受講する講習に際し企業に対して提供される10,000シンガポールドルの助成金制度。
既存のクレジット未使用分も、従業員のスキルアップや職務変革のための費用として活用可能。


個人向け支援

・Career Health SG
労働者が自身のキャリアを能動的に設計し、WSGのMyCareersFutureポータルを通じて職業診断や職業訓練を受けられる仕組み。

・SkillsFutureレベルアップ・プログラム
中長期的なスキル向上とキャリアレジリエンス強化を目的としたトレーニング機会の提供。

・求職者支援金制度(SkillsFuture Jobseeker Support)
意図せぬ失業に対し、最大6,000シンガポールドルの一時支援金を提供する。

・経済レジリエンスタスクフォース(SERT: The Singapore Economic Resilience Taskforce)による支援策
大学・高等教育機関と連携し、新卒者の就職機会を拡大。企業には、将来に向けた人材パイプラインの構築を促進する。


7.最後に

今回は、先日6月27日にリリースされたシンガポール労働市場調査結果の第1四半期確定版について詳しくお届けしました。

2025年に入ってからのシンガポールの労働市場は、雇用拡大を維持しつつもペースの鈍化や業種間の温度差が見られ、慎重な空気が広がっています。

その一方で、失業率は安定的に推移し、再就職率の改善もみられるなど、経済全体の底堅さも感じられます。


今後の国際的な経済情勢や政策動向に注目しつつ、政府・企業・労働者が連携して柔軟に対応していくことが持続可能な労働市場の鍵となるでしょう。

弊社としても、今後の動向を注意深く見守ってまいります。

本レポートに関する詳細はMOMのホームページをご参照ください。

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