【新・都市戦略案発表】10年先のシンガポールの街並みを知る

こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

先日、シンガポール政府のURA(都市再開発庁)が、国の中期的土地利用計画であるマスタープラン案2025(Draft Master Plan 2025)を発表しました。

今後10~15年先のシンガポールの街並みや都市開発戦略を示すこの草案を通して、シンガポール政府の見据える未来が垣間見えます。

また街並みが変わるということは、ビジネスへの影響も甚大です。

今回はこのURAマスタープラン案2025の概要から、産業・企業に与える影響、またそこから派生して私たち個人に関わる領域についても考察してまいります。


【参考URL】URA Draft Master Plan 2025
 

【目次】
1. URAマスタープランとは?
2. URAマスタープラン(案)2025をざっくり解説!
3. 企業に与える影響
4. 私たち個人にはどんな影響が?
5. まとめ

 

1. URAマスタープランとは?

URAマスタープランは、シンガポールという都市国家が今後数十年の間にどう進化するかを描く「国家規模の都市設計図・ロードマップ」です。

先日発表されたものはあくまでドラフト(草案)であり、今後国民や企業からのフィードバックを経て、2025年中に最終版を発表する運びです。

URAマスタープランは大体5年に一度程度で見直し・改訂されており、前回の発表は2019年でした。

内容は、開発プランである以上に、「経済、住まい、環境、文化を総合的に捉えた都市戦略」「民間企業や国民と連携しながら進める参加型の未来構想」「変化する気候や社会ニーズに対応するための柔軟で持続可能な構造」といった骨太さを感じさせる、まさにシンガポールという国の方向性と深くリンクした内容となっています。

 

2. URAマスタープラン(案)2025をざっくり解説!

では先日発表されたマスタープラン(案)2025の概要を見ていきましょう。

マスタープラン案の柱としては4本、ビジネス、国民の暮らし、自然との共生、遺産保存と再開発とのバランス、といったテーマが据えられています。

・成長と変革を促す (Grow & Transform)
 - ビジネス拠点の多様化
 - ビジネス集中エリアを全域に分散
 - 新しい産業地区の育成

・暮らしの質向上 (Liveable & Inclusive)
 - 公共住宅HDBの革新 (新しい配置やデザイン)
 - 高齢者・多世代対応の住まいと施設
 - 地域密着の「15分都市」構想 (生活に必要なほぼ全ての用事を、自宅から徒歩/自転車15分以内で済ませられる都市設計の考え方)

・自然と調和した都市 (Green & Resilient)
 - 緑のネットワークの強化 (公園、回遊路など)
 - 水資源と気候への対応 (水や植物・緑に関するインフラ)
 - 持続可能な交通網 (徒歩・自転車・公共交通優先)

・保存と活用 (Heritage & Identity)
 - 歴史的建築や文化資産の保存
 - 伝統と新しさの共存 (旧い街並みと再開発のバランス)

上に挙げた概念を更にブレイクダウンすると、具体的には以下の変化が見込まれています。

・ドーバー、デフー、センバワン、ニュートンなどのエリアで8万戸以上の新規住宅建設
・パヤ・レバ旧空軍基地など様々なエリアでの再開発
・プンゴルやタンピネス、ジュロンなどのエリアでの地域ビジネス・ハブの拡大
・旧センバワン造船所やタンジョン・パガー駅などの土地の再生
・職住近接、緑豊かで持続可能な都市設計への重視

こうした変化が今後10〜15年で街のあちこちで見られそうです。

聞くだけで、なんだかワクワクしてきますね!


3. 企業に与える影響

こういった国のプランが産業や企業に与える影響は言わずもがな大きく、具体的には今後このような影響が考えられます。

・セントラル・ビジネス・ディストリクト(CBD)を超えた成長の可能性
ジュロン、タンピネス、プンゴルといった新興拠点では、来訪者の増加や賃料の上昇が期待されます。これらの地域では住宅と商業スペースが共存し、職住近接が進むことで、企業は事業の分散化が可能となり、地域の人材を活用しやすくなるでしょう

・人材戦略の進化が必要に
労働者の居住エリアの分散化が進むことで、自宅とオフィスのハイブリッド勤務などの柔軟な働き方がより一般的に、また期待されることになります。これに伴い、サテライトオフィスの設置や柔軟な勤務スケジュールを導入する企業が優秀な人材を惹きつけることになるでしょう

・環境・サステナビリティ関連職の増加
緑化の充実や省エネインフラ、文化遺産の保全といった取り組みの強化により、サステナビリティ・コンサルタント、都市計画関係者、エネルギー技術者、地域連携のスペシャリストなどの人材需要が高まりそうです

・インフラ・小売・物流分野の活性化
デフ、ベイショア、グレーター・サザン・ウォーターフロントといった再開発地域に80,000戸の新規住宅及び周辺施設が整備されることで、建設、物流、小売、飲食業などの人材需要が大幅に増加する見込みです

 

4. 私たち個人にはどんな影響が?

国の大規模開発が好影響をもたらすのは産業界だけでなく、私たち個人にもロングスパンで様々な恩恵をもたらしてくれます。

・「職住近接」で実現するワークライフバランスの向上
住宅エリア付近で開発が進むことで通勤時間が短縮され、ライフスタイルの質も向上します。小売業、医療、教育、公共サービス分野の進出が進めば地域での雇用機会が増えるため、住まいの近くで働くことがより現実的になります

・都市開発・計画関連職に新たなキャリアチャンス
国家規模での都市再構築により、測量士、エンジニア、施設管理者、プロジェクトコーディネーターといった職種への需要が公民の両セクターで増加するでしょう

・サステナビリティとデジタルインフラにおけるスキルが鍵に
人と自然に優しいグリーンビルディング、デジタル計画ツール、循環型経済に関する知識やスキルを持つ人材へのニーズが高まっています。データ分析、ESG (環境・社会・ガバナンス)対応、気候変動に強い設計に関する技能は、昨今非常に需要が高いスキルです。

 

5. まとめ

シンガポールという都市国家の10〜15年先の進化を描く「URAマスタープラン(案)2025」。

本ブログではこの国家戦略の概要と、それが与える企業・個人への影響という観点でお届けしてまいりました。

マスタープラン案2025で発表された主要なポイントは、以下の通りです。

・10以上の主要エリアにおいて、約80,000戸の新築住宅を計画中
・ジュロン・レイク・ディストリクトは「第2のCBD」として10万以上の新規雇用創出が見込まれる
・民間住宅の空室率は6.5%で安定的、長期的な住宅需要は健全な水準
・パヤレバ空軍基地、ベイショア、カラン周辺は商業開発の潜在力が非常に高い地域と評価されている

今後、国民の声を聞いて、更なるブラッシュアップが施された本マスタープランの発表は今年中となります。
 

国の発展に伴い利便性や生活の質が向上するのは歓迎する一方で、私たちが知る現在のシンガポールの姿が少しずつ失われていくのも事実。

だからこそ、今のシンガポールの光景を目に焼き付けながら、一日一日の生活を大事にしたいですね。

また、国家主導の大規模開発が進行するにつれ、産業面から個人に関わるまで人材需要にも変化が見られそうです。

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