2026年に向けて整理したいシンガポール企業の「人事×AIガバナンス」

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

昨今の労働市場を大きく変えようとしているAI (人工知能) の発展。

これまでの「AIは未来の概念」という考え方が変わりつつあります。

当地でも採用や評価制度、人員計画、従業員エンゲージメントなど、さまざまな人事領域にこのAIの活用が始まっています。

例えばシンガポールでの活用例として、履歴書のスクリーニングや候補者の採用優先度ランク付け、従業員データやエンゲージメント傾向の分析、人員計画やスキル予測の支援、さらには評価・査定プロセスの一部自動化などが挙げられます。

こうした活用は業務効率化やデータ活用の高度化に大きく寄与する一方で、同時に新たなリスクも生まれています。


このため、人事領域でAIをどう活用するか、またどうガバナンスしていくかというテーマは単なるITやテクノロジーの問題ではなく、「人」「制度」「責任」に関わるテーマとして主体的に扱うべき重要課題となっています。

明確なガバナンスがないままAI活用を進めると、偏った判断が出てしまうことによる従業員・候補者からの信頼低下、さらには労務面でのリスクにつながる可能性があります。

そこで今回は、AI活用が進む中で企業が今あらためて整理しておきたい「AIガバナンス」の考え方と、2026年に向けて整備しておくべきポイントについてお伝えしてまいります。


【目次】
1. なぜ今、AIガバナンスが重要テーマなのか
2.「AIガバナンスはIT部門が担うもの」という誤解
3. 2026年に整備すべきAIガバナンスの基本
4. 最後に

 

【関連記事】【2026年に向けて】シンガポールで加速するAI採用の今と未来


1. なぜ今、AIガバナンスが重要テーマなのか

シンガポールでは、企業に対して高いコンプライアンス意識と透明性が求められており、信頼性を重視した組織運営が前提となっています。

人事の意思決定は、従業員のキャリアや生活、そして企業文化に直接影響を与えるもの。

そこにAIが関与することにより公平性・透明性・説明責任に対する期待はこれまで以上に高まっています。

また、AIは日常業務で使用するソフトウェアやワークフローの中に自然に組み込まれるため、その存在が意識されにくくなります。

しかし実際には、意思決定への影響は確実に大きくなっています。

こうした背景から、AIガバナンスは「あると望ましい」ものではなく、「不可欠な基盤」として捉えられるようになっています。

現時点では、当地での人事領域におけるAIガバナンスが明確に法的義務化されているわけではありません。

ただし、人事判断にAIを用いる場合は責任ある運用と説明可能性を確保することは、すでに企業に求められるスタンダードとなりつつあります。


2.「AIガバナンスはIT部門が担うもの」という誤解

冒頭でご紹介した通り、AIガバナンスはITやデータ部門が担当するものだと考えられがちですが、実際には人事の意思決定そのものに深く関わるテーマです。

AIを活用したシステムは、採用や不採用の判断、評価や査定、昇進・報酬の検討、人員計画や組織再編など企業にとって重要な「人に関する意思決定」に直接影響します。

こういった状況にもかかわらず、人事がAIガバナンスに主体的に関与していない場合、判断基準が不明確になってしまったり、AIによる結果の責任所在が曖昧になったり、従業員や候補者の信頼が低下したりするといったリスクが生じます。

また、企業としては意思決定の根拠を常に透明性を以て説明できるようにしておきたいところ。

シンガポール市場では、これらのリスクは軽視できません。

AIガバナンスはIT部門任せにするのではなく、人事部門として主導しつつ法務・コンプライアンス・ITと連携する形で進めていくことが理想的だといえるでしょう。

では実際に、企業はどのような体制や考え方を整備していく必要があるのでしょうか。


3. 2026年に整備すべきAIガバナンスの基本

AI活用に関する責任の明確化

AIガバナンスの出発点は、「誰が責任を持つのか」を明確にすることです。

人事で使用するAIツールを誰が承認するのか、AIが意思決定に与える影響を誰がモニタリングするのか、AIによる判断が問題視された場合に誰が説明責任を担うのか―

こうした点を事前に定義して誰にとっても明確化しておく必要があります。

責任の所在が曖昧なままでは、AIによる判断を監査・説明・修正することが難しくなります。

人事、法務、ITなど複数部門の協働は不可欠ですが、「AIが人事判断にどのような影響を与えるか」という観点においては人を担う人事が中心的な役割を担うのが良いでしょう。


AIを用いた意思決定の透明性確保

近年、従業員や候補者は企業における意思決定がどのように行われているのかを理解したいと考える傾向が強まっています。

意思決定にAIを活用する場合でも、技術的な詳細をすべて開示する必要はありませんが、どのプロセスにAIが使われているのか、またAIは人間の判断を補助する位置づけであること、不公平な結果を防ぐための仕組みが存在することなどを適切に伝えていくことが重要です。

透明性を高めることで、意思決定に対する過度な不安や疑念を減らし、組織への信頼を築くことができるでしょう。

結果として、従業員・候補者双方との関係性向上にも期待ができます。


バイアスと公平性への対策

AI活用における最大の懸念の一つが偏った判断が起きる可能性です。

AIは過去データをもとに学習するため、そのデータに偏りが含まれている場合同様の偏りが再現・増幅される可能性があります。

そのため企業には、AIの出力結果を定期的に確認し、特定の属性に偏りが生じていないかを検証する仕組みが求められます。

また、可能な限り多様で代表性のあるデータを用いること、最終判断には必ず人間が関与するということも重要です。

公平性の担保を「アルゴリズム任せ」にするのではなく、人による監督と組み合わせて運用する姿勢が不可欠です。


自動化と人間判断の適切な線引き

AIはあくまで人事の意思決定を支援するツールであり、完全に置き換わるものではありません。

特に、成果を上げている企業ではAIが支援する範囲と人間が最終判断を行う範囲を明確に定義しています。

例えば、不採用判断、評価結果、昇進や報酬決定といった重要な場面では必ず人による確認やレビューを挟むなど、明確なルールを設けています。

こうした明確な線引きがあることで、意思決定の質と倫理性を維持しながらAIの利便性を最大限に活用することが可能になります。


データプライバシーと責任のある利用

AIを活用した人事システムは、従業員や候補者の個人データ利用が大きな役割を占めます。

責任のあるデータ利用は企業にとっての基本的な前提条件です。

データは正当な目的のためにのみ収集し、アクセス権限を適切に管理し、監査可能な状態を維持する必要があります。

また、本来の目的を超えた利用や過剰利用を防ぐための社内ポリシーの整備も欠かせません。

こうした基盤を整えることで、不適切な利用を防ぎつつ、データ保護基準への対応も強化されます。

 

4. 最後に

今回は、人事領域におけるAI活用が進む中で、企業が押さえておきたい「AIガバナンス」の考え方と、これからの実務に求められる視点についてご紹介してまいりました。

AIが人事業務に深く組み込まれるほど、その影響は見えにくくなり気づかないうちに意思決定へ大きな影響を及ぼします。

ガバナンスが不十分な場合、採用結果の不透明化や人事判断への不公平感、法規制やコンプライアンス面でのリスク、さらには企業ブランドや信頼の低下といった問題につながる可能性があります。

一方で、整備されている企業は、従業員や候補者からの信頼を得やすく説明可能な人事判断を行うことができます。

結果として長期的なリスクを抑えながら、AIをより効果的かつ責任ある形で活用することが可能になります。


AIガバナンスの目的は、持続可能で倫理的なAI活用を実現するための土台を築くことにあります。

そのためには、大掛かりな制度や複雑なフレームワークから始めるよりも、まずは責任体制の明確化、透明性の確保、バイアスや公平性のチェック、人による最終判断、そして責任あるデータ利用といった基本原則を押さえておくことが重要です。

これらを一つひとつ整備していくことで、AIを安心して活用しながら従業員と組織双方を守る体制を築くことができます。

AIを単なる効率化ツールとしてではなく、信頼と持続性を備えた人事戦略の一部としてどう活かしていくか―

その視点が、これからの組織運営においてますます求められていくでしょう。

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