AI時代の人材戦略 シンガポール企業が2027年の採用計画で考えたいこと

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

AIの活用が進むなか、昨今企業の業務の進め方や求められる人材・スキルにも変化が生まれています。

弊社が実施したASEANにおける企業・消費者動向調査では、シンガポールの企業の33%が、AI・テクノロジーを今後の成長機会として挙げています。

これは、調査対象となったASEAN各国・地域のなかで最も高い割合です。

一方、キャリアチェンジを検討している一部の回答者にとっても、AIは転職を考える要因の一つとなっています。

こうした動きは、AIが単なる業務効率化の手段としてではなく、企業の事業戦略や働く人のキャリア形成にも関わるテーマになりつつあることを示しています。

今後は、AIをどのように活用するかだけでなく、それによって人が担う仕事や役割がどう変わるのかについても考えていく必要があるでしょう。

このような変化を踏まえ、今考えたいのは、AIの導入を単純な人員削減に結びつけることではありません。

AIによって仕事の内容がどう変わるのかを見極め、必要な人材やスキルを計画的に確保・育成していくことが重要です。

今回は、最新の調査結果をもとに、シンガポールの企業が2027年に向けた採用・人材計画を考えるうえで押さえておきたいポイントについて解説してまいります。

【目次】
1. 調査から見えてきた、AIと人材をめぐる変化
2. 人員削減ありきではなく、4つの視点から人材計画を考える
3. AI時代にも重要な、人の判断力と関係構築力
4. 最後に


1. 調査から見えてきた、AIと人材をめぐる変化

先日、弊社と楽天インサイト様が実施した「THE GREAT RESTRUCTURING 2026年版 ASEAN消費者・企業動向調査」では、シンガポール企業の33%が、AI・テクノロジーを最も大きな成長機会として挙げました。

この割合は、今回調査したASEAN各国・地域のなかで最も高い結果となりました。

また、キャリアチェンジを検討しているシンガポールの回答者 (38人) に限ると、32%がAIや自動化をその要因の一つとして挙げています。

これは、収入の向上 (37%) に次ぐ割合でした。

この調査結果からは、AI・テクノロジーが企業にとって成長機会として認識される一方で、働く人にとってもキャリアを考えるうえで無視できない要素になりつつあることがうかがえます。
 

今回の調査は、AIの導入によって雇用がどの程度増減するのかを測定したものではありません。

AIへの投資が進んでいることだけをもって、今後、人員削減が進むと判断することもできません。

このため、企業に求められるのは、こうした変化を踏まえて自社の業務や組織に必要な人材をいかに見極めていくかを考えていくことだと言えます。


2. 人員削減ありきではなく、4つの視点から人材計画を考える

AIの活用を進める企業にとって、重要なのは導入するかどうかだけではありません。

AIによって業務や役割がどう変わり、どのような人材が必要になるのかを具体的に考えることが求められます。

ここでは、シンガポール企業が今後の人材計画を考えるうえで、押さえておきたい4つの視点をご紹介します。


自動化できる業務だけでなく、役割全体の変化を捉える

AIの導入によって、これまで人が担っていた業務の一部を効率化できる可能性があります。

しかし、それによって職種そのものが不要になるとは限りません。

例えば、定型的な作業やデータ分析の一部をAIで支援できるようになっても、結果を解釈して判断すること、関係者と調整すること、最終的な責任を持つことなど、人が担うべき役割は残ります。

そのため、人材計画を立てる際には、職種や部門単位で採用人数を減らすことを先に考えるのではなく、各ポジションのどの業務が変わり、どのような役割やスキルが引き続き必要なのかを整理することが大切です。

AIによって仕事がなくなるかどうかを一律に判断するのではなく、業務内容の変化を具体的に把握することが今後の採用計画を考える第一歩となります。


スキル不足が顕在化する前に、人材育成に取り組む

AIの活用が進めば、既存の従業員に求められるスキルも変化していく可能性があります。

必要なスキルが不足していることが明らかになってから採用を始めるのでは、採用に時間がかかるだけでなく、社内で活躍できる人材を十分に生かせないことも考えられます。

まずは、今後の事業計画やAI導入の方針を踏まえ、既存の従業員に求められるスキルを整理すること。

そのうえで、研修やリスキリング (学び直し) の機会を提供し、必要な能力を計画的に身につけられる環境を整えることが重要です。

また、調査では、キャリアチェンジを検討する一部の回答者が、AIや自動化を転職を考える要因として挙げています。

回答者数が限られているため、これを就業者全体の傾向と捉えることはできませんが、企業にとっては、従業員が今後のキャリアや必要なスキルを考えられる環境づくりも重要な視点です。

人材育成の道筋が明確であれば、従業員が変化に対応しながら、社内で新たな役割に挑戦することにもつながります。


AIへの投資と連動させ、必要なポジションを見極めて採用する

AIやテクノロジーへの投資は、それだけで人材採用の必要性がなくなることを意味しません。

導入した技術を実際の業務に生かすためには、運用や管理、改善を担う人材が必要になる場合もあります。

重要なのは、採用を一律に抑えることでも、反対に人数を増やすことでもなく、事業の成長に必要なポジションを見極めることです。

例えば、AIの導入・運用を担う人材に加え、テクノロジーを活用して業務プロセスを改善する人材や、データをもとに意思決定を支援する人材など、企業の状況によって優先すべき役割は異なります。

AIに投資する企業であっても、必ずしも採用人数を減らす必要があるわけではありません。

新たに必要となる人材がいる一方、既存の業務の効率化によって採用ニーズが変化する可能性もあります。

AI導入の計画と採用計画を別々に考えるのではなく、両者を連動させることで、限られた採用予算をより効果的に活用しやすくなります。


導入するツールだけでなく、従業員への説明も大切にする

AIの導入にあたっては、新しいツールや業務プロセスを整えるだけでなく、それによって従業員の仕事がどう変わるのかを伝えることも重要です。

会社がAIを導入する方針を示しても、自分の担当業務や今後期待される役割がわからなければ、従業員は変化を前向きに受け止めにくいかもしれません。

どの業務でAIを活用するのか、従業員にはどのような役割が期待されるのか、必要なスキルを身につけるためにどのような支援があるのか。

こうした点を具体的に説明することで、従業員が自分の今後のキャリアを考えやすくなります。

AI導入を円滑に進めるためにも、従業員との対話や情報共有を、人材定着の観点からも大切にしたいところです。


3. AI時代にも重要な、人の判断力と関係構築力

AIによって定型業務や分析業務の一部が効率化されても、すべての業務を技術に置き換えられるわけではありません。

状況に応じた判断が求められる場面や、顧客・取引先との関係構築、複数の関係者の意見を調整する場面などでは人の経験や判断力が重要になります。

また、業務の結果に責任を持ち、予期しない問題に対応することも欠かせません。

こうした能力は、業務を細かな作業に分解し、自動化できるかどうかだけを基準にすると、必要性が見落とされる可能性があります。

いよいよ年末に差し掛かり、来年に向けた人材計画を立てている企業様も多いのではないでしょうか。

AIで効率化できる業務を見極めると同時に、人が担うべき役割や、今後さらに重要になる能力についても検討することが大切です。

技術の導入計画を立てる段階から、必要な人材やスキルを考慮しておくことが、将来の組織づくりにつながります。


4. 最後に

今回は、シンガポール企業のAI・テクノロジーへの投資動向や、一部の求職者のキャリア意識に関する調査結果をもとに、2027年に向けた採用・人材計画の考え方についてご紹介してまいりました。

お伝えしてきたように、AIへの投資が進んでいるという事実だけでは、企業全体の採用人数を増やすべきか、減らすべきかは判断できません。

大切なのは、AIの活用によって既存の業務や役割がどう変わるのかを見極め、今後必要となる人材やスキルを明確にすることです。

そのためには、採用計画だけでなく、社内での人材育成やリスキリング、従業員への情報共有も含めて考える必要があります。

「何人採用するか」だけでなく、「どのような仕事を、誰が、どのようなスキルで担っていくのか」。

こうした視点から人材戦略を考えることが、AI時代の事業成長を支える組織づくりにつながるのではないでしょうか。

AIの導入に伴う組織や業務の変化を踏まえ、今後の採用計画を検討されている企業様は、弊社リーラコーエン シンガポールまでお気軽にご相談ください。


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