シンガポールが2年ぶり世界1位!IMD世界競争力ランキング2026から読み解く、その強さとは


こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

2026年6月、スイスのビジネススクール 国際経営開発研究所・IMD (International Institute for Management Development) が発表した「世界競争力ランキング 2026年版」において、シンガポールが2年ぶりに世界第1位となりました。

今回は、ランキングの順位そのものではなく、変化の激しい世界経済の中でなぜシンガポールが長年にわたり「世界で最も競争力のある国」のひとつとして評価され続けるのか、その理由に焦点を当ててご紹介します。 

 

【目次】
1. IMD世界競争力ランキング2026の概要
2.ランキングから見えてくる、シンガポールの強さ
3. 高い競争力の裏側にある課題
4. 最後に

 

1. IMD世界競争力ランキング2026の概要

2026年6月、スイスのビジネススクールIMD(International Institute for Management Development)は、「世界競争力ランキング 2026年版」を発表しました。

このランキングは、「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つの分野から、世界70の国・地域の競争力を総合的に評価するものです。

各国の統計データに加え、企業経営者へのアンケート調査も反映されており、世界中の企業や投資家が注目する指標のひとつとなっています。


今年の調査において、シンガポールは2024年以来、2年ぶりに世界首位へ返り咲きました。

特に評価を大きく伸ばしたのが「ビジネスの効率性」です。

前年8位から一気に1位へ上昇し、総合順位を押し上げました。

また、「政府の効率性」は3位、「インフラ」は5位と引き続き高い評価を維持しています。
 

一方で、「経済状況」は前年1位から3位へ順位を下げ、「価格 (Prices)」の項目では69位 (70ヶ国中) となるなど、生活コストの高さは依然として課題として挙げられています。


それでも総合首位となった背景についてIMDは「今日の競争力は、単なるコストや市場規模ではなく、信頼できる制度によって支えられている」と分析しています。

不確実性が高まる国際情勢の中で、透明性の高い制度や安定した政策運営、企業が事業を継続しやすい環境が、シンガポールの強みとして改めて評価された形です。

こうした評価は、単に「経済が好調な国」というだけでなく、企業や人材が長期的に安心して投資・挑戦できる環境が整っていることを示しています。

なお、日本は前年より5位順位を上げて30位でした。


2. ランキングから見えてくる、シンガポールの強さ

では、このIMD競争ランキングから見えてくるシンガポールの強さについて、事例や制度を交えながら見ていきます。


世界中の企業が集まるアジアのビジネスハブ

シンガポールには、多くのグローバル企業がアジア太平洋地域の統括拠点を置いています。

その背景には地理的な優位性だけではなく、政治・経済の安定性、透明性の高い法制度、英語を公用語とするビジネス環境などがあります。

シンガポール経済開発庁 (EDB) によると、シンガポールは世界29の自由貿易協定 (FTA) を活用できるほか、600以上の港と接続する世界有数の港湾ネットワークや、アジア市場へのアクセスの良さを強みとしており、多国籍企業の地域統括拠点として高い評価を受けています。

企業が集まることで、金融、IT、製造、ライフサイエンスなど幅広い分野で新たな雇用やキャリアの機会が生まれていることも、シンガポールの大きな魅力です。



「ビジネスがしやすい国」を支える制度

今回のIMDランキングでシンガポールが特に評価されたのが「ビジネスの効率性」です。

企業活動を支える制度面では、シンガポール政府は長年にわたり行政のデジタル化や規制の透明性向上を進めています。

先述のEDBによれば、会社設立手続きはオンラインで完結でき、最短約1.5日で設立可能です。

また、知的財産保護制度や法人税制の分かりやすさ、海外企業への支援制度なども整備されており、スタートアップからグローバル企業まで事業を展開しやすい環境が構築されています。

IMDも2026年版ランキングの分析で「強固な制度こそが不確実な世界経済における競争力の源泉である」と指摘しています。

シンガポールへの高い評価を支えているのは一時的な経済成長ではなく、「企業が安心して投資・事業運営できる仕組み」そのものと言えるでしょう。

 

人材とイノベーションへの継続的な投資

競争力を維持するためには、人材への投資も欠かせません。

シンガポール政府は2025年に、新たな研究・イノベーション計画「RIE2030」を発表し、2026年から2030年までの5年間で370億シンガポールドルを投資することを決定しています。

AI、半導体、バイオメディカル、先端製造など、将来の成長産業への投資を進めるとともに、大学・研究機関・企業が連携したイノベーション創出にも力を入れています。

また、220を超えるインキュベーターやアクセラレーターがスタートアップを支援しており、新しいビジネスが生まれやすい環境づくりも進められています。

企業だけでなく、働く人にとっても新しい挑戦やキャリア形成の機会が豊富であることが、シンガポールの競争力を支える要因となっています。



高度人材を惹きつける人材政策

シンガポールは、企業だけでなく世界中の高度人材を呼び込むことを国家戦略の一つとして位置付けています。

その背景にあるのが、外国人プロフェッショナル向けの就労制度です。

代表的な就労ビザ「Employment Pass (通称EP)」は、一定以上の専門性や給与水準を満たす外国人材を対象としており、2023年からは新たな評価制度「COMPASS (Complementarity Assessment Framework)」が導入されています。

COMPASSは給与額だけでなく、学歴や専門性、多様性への貢献、企業の人材構成など複数の観点から申請者を評価する仕組みとなっており、シンガポール政府は「経済成長に貢献する高度人材を公平かつ透明性のある基準で受け入れる制度」と位置付けています。


さらに2023年には、世界トップレベルの人材を対象とした「Overseas Networks & Expertise Pass (通称ONE Pass)」も創設されました。

これは一定以上の高所得者や、学術・研究、スポーツ、芸術分野などで卓越した実績を持つ人材を対象としたビザで、転職や起業の自由度が高いことが特徴です。

このようにシンガポールは企業誘致だけでなく、世界中の優秀な人材が活躍できる環境づくりを、制度面から進めています。

また、英語を共通言語とするビジネス環境や、多様な国籍・文化を持つ人材が働く国際的な職場環境も、多くの外国人人材がシンガポールを選ぶ理由となっています。

シンガポール人材開発省 (MOM) によると2025年12月時点では約20万人強がEPを保有しており、多くの専門職・管理職人材が当地で活躍しています。

こうした人材政策とビジネス環境が相互に作用することで、シンガポールは企業だけでなく、世界中の人材からも「働く場所」として選ばれ続けています。

 

3. 高い競争力の裏側にある課題

ここまでシンガポールの競争力を支える要素について見てきましたが、 もちろんシンガポールにも課題はあります。

同ランキングでは、「価格 (Prices)」の項目では、70ヶ国・地域中69位となりました。

確かに、住宅価格や生活費の高さは、多くの駐在員や現地就職者も実感するポイントではないでしょうか。

その一方で、高い生産性や国際的なキャリア形成の機会、安定したビジネス環境などが総合的に評価された結果、今は多くの企業や人材がシンガポールを選んでいる、と言えるでしょう。

 

4. 最後に

2026年のIMD世界競争力ランキングで、シンガポールは2年ぶりに世界第1位となりました。

この結果は、単なる経済成長だけではなく、
・世界中の企業が集まるビジネス環境
・信頼性の高い制度
・人材・イノベーションへの継続的な投資
・暮らしやすい社会インフラ
といった、長年にわたり築き上げてきたビジネス環境や制度が世界から評価された結果と言えます。

海外転職やグローバルキャリアを考えている方にとって、シンガポールは今も有力な選択肢のひとつです。

ただ、近年では就労ビザ取得の難易度も上がってきています。

シンガポール転職にご興味のある方は、ぜひリーラコーエン・シンガポールに現在の転職市場や就労ビザの状況なども含め、お気軽にご相談ください。

【過去ブログ】IMD国際競争力ランキング2024版はシンガポールが4年ぶりに首位!

 

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