シンガポール採用トレンド2026 / 企業・HRがいま準備すべき10のトレンド

こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

年の瀬が近づく中、2026年を見据えた動きが活発化するシンガポール ー 企業はテクノロジーの進化、スキルシフト、グローバル人材の流動性によって形成される新たな採用フェーズに入っています。

人材開発省 (MOM) が発表した最新の労働市場データによると、2025年第3四半期の成長率は2.9%と堅調で、サービス業とテクノロジー分野がこれをけん引しています。
 

一方で求職者は、柔軟性、仕事の意義、企業への信頼をより重視するようになっており、「競争力のある採用」の定義がポストパンデミック時代において大きく変化しています。

本記事では、政府データ、弊社リーラコーエンの地域調査、APAC全体の市場動向をもとに、2026年のシンガポール雇用市場を形づくる「2026年の採用トレンド 10選」をご紹介してまいります。


【目次】
1. 2026年の採用トレンド 10選
2. 2026年に向けてHRが押さえておきたいポイント
3. 最後に

 

1. 2026年の採用トレンド 10選



トレンドその1. 学歴よりスキル:コンピテンシー重視の採用へ

シンガポールの採用現場において学歴よりもスキルを重視する近年の傾向は、今後加速していくと見られています。

Skills Future Singaporeによると、雇用主の65%以上がデータ分析、AI、サイバーセキュリティなどの分野において、学位よりも資格やプロジェクト実績を評価しています。

この流れの中で、企業が教育機関やリスキリングの組織・プラットフォームと連携を強化し、「スキルファースト採用」を戦略に組み込む動きが広がっていくでしょう。
 

【過去ブログ】学歴よりスキル重視?シンガポールの企業が「学歴偏重」を見直し始めた理由とは


 

トレンドその2. AIを活用した採用が主流に

AIによる選考スクリーニングや面接アシストは既に一般化しつつありますが、2026年は「ガバナンスとバイアス防止」が焦点になりそうです。

2025年にMOMが発表した公平な採用・データ倫理ガイドラインでは、アルゴリズムに対する「人の目」つまり人間によるモニタリングが必須とされています。

人材採用をする企業にとっては、自動化の効率性と透明性の高い選考プロセスをどう両立するかが、法的・レピュテーションリスク回避のカギと言えます。

 

 

トレンドその3. テック&グリーン人材の需要が供給を上回る

シンガポールの「National AI Strategy 2.0」と「Green Economy Blueprint」により、再生可能エネルギー、ロジスティクス・テック、半導体製造などで雇用が拡大。

経済開発委員会 (EDB) は、2026年半ばまでにAIやサステナビリティ関連で20,000件以上の新規ポジションが生まれると予測しています。

エンジニア、サステナビリティ・アナリスト、データ専門職の争奪戦が激化し、国境を越えたクロスボーダー採用も重要です。
 

【過去記事】シンガポール、デジタル国家施策「Smart Nation2.0」を発表
 

 

トレンドその4. 契約社員・ハイブリッド職が新たな主流に

正社員が依然、国の雇用の柱ではあるものの、契約・プロジェクトベースの雇用も急増しています。

MOMによると、3社に1社がIT、マーケティング、ファイナンスなどの戦略領域で契約スタッフを活用しています。

企業には契約社員の報酬体系やエンゲージメント方針の見直しが求められます。

 

 

トレンドその5. 人間中心のリーダーシップが離職防止の鍵に

弊社リーラコーエンが実施した2025年人材意識調査では、シンガポールの72%のプロフェッショナルが「共感性と柔軟性」を給与より重視しています。

今評価される企業は、心理的安全性、キャリア成長、誠実なリーダーシップを提供できる組織と言えます。


 

トレンドその6. リージョナル・モビリティとONE Pass採用が加速

富裕層向け移住コンサルHenley&Partners社によるHenley Passport Indexでシンガポールは引き続きトップを維持し、グローバル人材のハブとしての高い地位を維持しています。

2023年に新設されたビザであるONE Passも海外からの優秀層人材の呼び込みに貢献しており、グローバルでのプレゼンスの高さが伺えます。

これによって、多文化チームやリモートリーダーシップに対応したオンボーディング・定着施策が企業には有効です。
 

【過去記事】ONE Passの魅力を徹底解説!世界のトップ人材がシンガポールを選ぶ理由

 

トレンドその7. データプライバシー&AI規制対応がHRの重要業務に

シンガポールで導入される予定の新しい法律、職場公正法 (Workplace Fairness Bill) と、個人情報保護法 (PDPA) のルール強化により、採用プロセスにおけるデータ管理体制が一段と厳格化される動きを見せています。

候補者データの扱いにおける倫理性・同意の取得が信頼構築の必須要件となってまいります。


 

トレンドその8. 雇用企業のブランディングが戦略領域に

採用競争が激化する中、企業の評判はオファーの成否を左右します。

弊社のデータでは、ブランド発信を積極的に行う企業は候補者のエンゲージメントが30〜40%高いことが分かっており、2026年以降はHRとマーケティングが連携して企業文化を発信する「物語化」が鍵となりそうです。


 

トレンドその9. 給与の透明化とペイ・エクイティが浸透

MOMの給与透明化ガイドライン導入を受け、多くの企業が2026年までに求人票へ給与レンジの記載を予定しています。

ペイ・エクイティとは「同じ仕事をしているのに、女性のほうが給料が低い」「ローカルより外国人に高い給与を」といった不当な給与差別をなくすことを意味します。

透明性の高い給与体系は、候補者の信頼を高め、口コミでの評価向上にもつながるでしょう。


 

トレンドその10. リスキリングが究極の定着戦略に

世界経済フォーラムは、2026年までに従業員のコアスキルの44%が変容すると予測しています。

体系的なリスキリングプログラムに投資する企業は、離職率の低下と内部登用の強化を実現しています。

従って社員教育予算は単発での研修から「キャリア成長を測れる仕組み」へと移行し、HR改革の大きな機会になるでしょう。


【過去記事】VUCA時代に求められるアップスキリング/リスキリングとシンガポールでの取り組み

【要注目】今後需要が拡大するスキル71選が発表

 


2. 2026年に向けてHRが押さえておきたいポイント


2026年に向けて、シンガポールの採用市場では業界動向や求職者の価値観も大きく変化しています。

最も採用が活発になる業界としては、テクノロジー、グリーンエネルギー、ロジスティクス、金融、ヘルスケアが挙げられます。

MOMと通産省 (MTI) はこれらに加えて、士業などのプロフェッショナルサービス領域やデジタル製造の分野でも今後さらなる拡大が見込まれると発表しています。


スキル重視へと移行する採用市場で優秀な人材を惹きつけるためには、企業側の透明性と柔軟性が重要です。

その企業に入ることで「何が学べるか」「どんな成長が見込めるか」が重視される時代です。

明確な職務要件の提示、柔軟な働き方の提供、キャリア成長の機会を可視化することが、従来の肩書きやオフィス環境以上に候補者を引きつける要素になります。


採用プロセスにAIを導入する際には、効率化だけに注目するのではなく、倫理面の整備が不可欠です。

公平性、データ同意、人間によるレビューを含む社内AIポリシーを整えて選考プロセスの透明性を確保することが、企業ブランドを守る鍵となります。

これらのポイントを押さえることで、企業は2026年の採用競争をリードする基盤を築くことができるはずです。

 

3. 最後に



昨今の採用トレンドや、来年シンガポールで起こることから、2026年の採用トレンドについてお伝えしてまいりました。


総括すると、テクノロジーと共感力、データと信頼、効率性と人間性を両立できることが採用成功への近道です。

ローカルとリージョナルの境界が薄れるシンガポールで、採用の未来は「目的に基づく戦略」と「持続的な人材育成」にあります。

弊社リーラコーエンは企業様・求職者様それぞれへのシンガポール採用・転職のご支援はもちろん、企業ブログやニュースリリース、メルマガなどを通じての情報発信にも今後も励んでまいります。

皆様の2026年のシンガポール生活も満ち足りたものとなりますよう、社員一同お祈り申し上げます。

 

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