給与だけでは選ばれない時代へー2026年シンガポール人材市場に見る仕事に対する期待の変化

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

競争が激化するシンガポールの人材市場において、これまでは「競争力のある給与こそが優秀な人材確保と定着の最重要要素である」と考えられてきました。

実際にこの考え方自体は、今もなお大きくは変わっていないと言えるでしょう。

一方で、2026年の最新労働市場データを読み解いていくと、より多面的な実態が浮かび上がってきました。


弊社では、先日楽天インサイト様と共同でシンガポールの300名を超えるビジネスパーソンへ企業選びの志向性を調査しました。

その結果によると、給与は今なお重要な判断基準である一方で、それ「だけ」でキャリアの意思決定が完結するケースは徐々に少なくなっていることが分かりました。

近年のシンガポールの就業者は、報酬水準とあわせて、業務量の持続可能性、柔軟性、マネジメントの質、そして将来的なキャリアの安定性といった要素を総合的に評価する傾向が見られます。

こうした変化は、価値観が急に変わったというよりも、不確実な経済環境やテクノロジーの進展を受けて、より堅実にキャリアを考えようとする流れの一つと見ることもできそうです。

そこで今回は、最新の調査結果をもとに、従業員の優先順位がどのように変化しているのか、そして企業としてどのような視点を持つことが求められているのかを整理してまいります。


【目次】
1. 給与は「重要な土台」へーただし単独では決め手になりにくい
2. 「静かな情報収集層」の増加と見えにくい離職リスク
3. 年次制度より「毎週の働き心地」
4. ハイブリッド勤務は前提条件へ
5. AI時代に求められるのは「キャリアの安心感」
6. まとめ
7. 最後に


1. 給与は「重要な土台」へーただし単独では決め手になりにくい

今回の調査では、約69%の回答者が「一定の条件が整うのであれば給与面での調整を検討する」と回答しました。

とはいえ、これは報酬の重要性が薄れているわけではありません。実際には、多くの人が給与の調整には一定の範囲を設けており、10%を超える減額については慎重に考える傾向が見られました。

こうした結果からも、給与は今もなお大切な判断基準の一つであり続けていることがうかがえます。

実際に「給与はもう決め手ではないのでは」という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、「給与は引き続き重要な一方で、それだけで意思決定が完了する時代ではなくなっている」というのが現状に近いと言えるでしょう。

市場全体で報酬水準がある程度似通ってくると、最終的に比較されるのは仕事の質や働き方の持続可能性へと移っていきます。


2.「静かな情報収集層」の増加と見えにくい離職リスク

本調査では、約71.8%の回答者が何らかの形で転職関連の情報収集を行っていることも明らかになりました。

ただし、その多くは即応募を目的とした転職活動そのものではなく、求人の閲覧、相場感の確認、ネットワーキングなど、いわば「市場のベンチマーキング」が中心です。

これは、シンガポールのビジネスパーソンが不確実な環境下で選択肢を確保しておこうとする慎重な姿勢を垣間見る結果と言えるでしょう。

企業側にとって一つのポイントとなるのは、離職リスクが突然顕在化するわけではないという点です。

従業員のエンゲージメントの揺らぎは、退職届が提出されるよりも前から静かに進行している可能性があります。


3. 年次制度より「毎週の働き心地」

従業員の評価軸は、年次ボーナスや長期インセンティブといった制度面だけに留まりません。

むしろ現在は、週単位でどのような体験をしているかが意思決定に大きく影響していることも分かりました。

重要度が高い項目として挙げられたのは、

・業務量の持続可能性
・上司のコミュニケーションと一貫性
・柔軟性と裁量
・心理的安全性
・期待値と評価基準の明確さ

などでした。

日々の業務が過度に負荷の高い状態であれば、将来的な昇進や報酬の約束は説得力を持ちにくくなります。

この点は、「高待遇にもかかわらず定着しない」という課題の背景を考えるうえで、ひとつのヒントになるかもしれません。


4. ハイブリッド勤務は前提条件へ

ハイブリッド勤務については、約61.7%が希望しているという結果でした。

現在では、ハイブリッド制度そのものが競争優位になるというより、ある種の前提条件に近づいています。差別化要因となるのは、制度の有無ではなく、その運用の明確さと一貫性です。

無制限の自由よりも、「いつ出社するのか」「何を対面で行うのか」が明確であることのほうが、従業員の安心感につながる傾向が見られました。


5. AI時代に求められるのは「キャリアの安心感」

テクノロジー分野では、約65.9%が業務でのAI活用に前向きであり、約4人に3人がスキル向上を重要視していることが分かりました。

その一方で、「AIが自分の役割を置き換えるのではないか」という漠然とした懸念も無視できません。

ここで注目したいのが、従業員が求めているのが単なる「雇用の安定」ではなく、「キャリアの安定」であるということです。

スキルが市場で通用し続けるのか、成長機会が実際の昇進や役割拡大につながるのか、といったような未来を見据えた点が重視されています。

企業のアップスキリング施策も、具体的なキャリアパスと結びついて初めて、実質的な安心感を提供できると言えるでしょう。


6.まとめ

今回の調査結果から見えてきたのは、ビジネスパーソンの仕事に対する期待値の「再調整」が進んでいるという流れです。

給与は引き続き重要な要素ですが、それはあくまでベースとなる出発点であり、最終的な判断はより日常的な働き方や将来への見通しへと広がりつつあります。

ここで企業側にとって大切になってくるのは、制度の整備そのもの以上に「実際の自社従業員の働き方をどのように設計するか」という視点だと言えます。

まず、給与水準を市場に見合った形で整えることは前提となります。

その上で、業務量が無理のない範囲に収まっているか、役割や評価基準が明確になっているか、そしてマネジメントが一貫性を持って機能しているかどうかが日々の安心感を左右します。

ハイブリッド勤務についても、制度を設けるだけではなく、その目的や運用ルールを分かりやすく共有し、現場ごとのばらつきを抑えることが重要になっています。

また、AI活用やスキル開発に関しては、「学ぶ機会がある」というだけでは十分ではありません。

それがどのようなキャリアの広がりにつながるのかを具体的に描けることが、従業員の安心感につながります。

今後に向けては、将来のビジョンを示すことと同時に、毎週の業務体験を丁寧に整えていくことがこれまで以上に意味を持つと言えそうです。


一方で、働く個人にとっても環境の変化は無関係ではありません。

求人を閲覧したり、市場水準を確認したりする行動は、現在の労働環境では自然なものと言えるでしょう。

これは自身のキャリアを主体的に考える姿勢の表れとも受け取れます。

今後のキャリアを描く上では、給与条件だけでなく、日々の業務負荷や上司との関係性、裁量の有無、そしてスキル成長の機会が実際の役割拡大につながるかどうかといった点も含めて検討することが重要になりそうです。


特にAIが浸透していく中では、「今の職務が安定しているか」だけでなく「自分のスキルが将来も価値を持ち続けるか」という視点が欠かせません。

短期的な条件だけでなく、中長期的な持続可能性を意識した選択が、結果として安心感につながる可能性が高まっていると言えるでしょう。


7. 最後に

今回は、2026年に向けて変化しつつあるシンガポールの就業意識と、給与を取り巻く価値観の広がりについて弊社の調査結果をもとにご紹介してまいりました。

給与は引き続き重要な基準であり続ける一方で、それだけで意思決定が完結する時代ではなくなりつつあります。

働き方の持続可能性やマネジメントの質、柔軟性、そしてスキルの将来性といった要素が、これまで以上に重視されていることが今回の調査から見えてきました。

企業にとっては、制度や待遇の設計だけでなく、日々の業務体験そのものをどう整えていくかが問われる時代に入っているのかもしれません。

一方で、働く皆様にとっても、ご自身のキャリアをより長期的な視点で捉え直す一つの機会になるのではないでしょうか。


今後も市場環境やテクノロジーの変化は続いていきます。

そうした中で、企業と個人の双方が納得感を持てる関係性を築いていくことが、これからの競争力につながっていくと考えられます。

人材採用のご相談、または転職のご相談は弊社のコンサルタントまでお気軽にご連絡ください。

また、調査結果についても以下より無料でダウンロードいただけます。

こちらも併せてご利用ください。
 

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