2026年後半のシンガポール人材市場予測 採用・定着で企業が備えるべきこと

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

早いもので、6月ももう半ば。

2026年も折り返し地点を迎えています。

サッカー・ワールドカップの最中ですが、当地では建国61周年のナショナルデーの準備が水面下で始まり、来るお祭りムードに街が華やぎ始めた今日この頃。

さて、人材市場はと言うとローカルスクールの6月のスクールホリデーが終わりに近づき、新卒人材が本格的に就職市場へ参入する時期となっています。

また、多くの企業様では2026年後半の採用計画や人員配置の見直しが進められているタイミングです。

シンガポールの失業率は引き続き低い水準を維持していますが、専門スキルを持つ人材の不足や賃金上昇圧力は続いており、企業にとっては採用・定着の両面で対応が求められる状況でもあります。


今回は、2026年上半期の労働市場データをもとに、後半の採用市場で注目すべき変化や、今から備えておきたいポイントについてご紹介してまいります。


【目次】
1. 上半期データから見える3つの変化
2. 2026年後半に企業が注意したい5つの採用リスク」
3. 特に採用が難しい人材カテゴリーとは
4. 離職リスクと給与見直しの重要性
5. 2026年後半に向けた採用アクションプラン
6. 下半期チェックリスト
7. 最後に


1. 上半期データから見える3つの変化

求人数は減少しても、人材不足は続いている

2026年3月時点の求人数は76,400件と、2025年12月の84,100件から減少しました。

一見すると採用市場が落ち着き始めたようにも見えますが、実際には専門人材を中心に採用難が続いています。

また、失業率は全体で2.0%と低水準を維持しています。

一方で、企業が求める専門スキルを持つ人材は依然として不足しており、採用市場の厳しさは大きく変わっていません。


続く賃金上昇圧力

2026年の実質賃金上昇率は4.0〜4.3%と予測されており、過去10年平均の3.1%を上回る見込みです。

企業側としては、新規採用時のオファー水準だけでなく、既存社員の給与競争力についても確認が必要なタイミングと言えるでしょう。


スキル不足が採用課題の中心に

弊社の調査によると、採用担当者の65%が現在募集しているポジションにおいて必要なスキルを持つ人材の不足を感じていると回答しています。

このことからも、現在の市場は単純な「人手不足」というよりも、「必要な経験や専門性を持つ人材が見つからない」という状況が続いていると言うことができます。


2. 2026年後半に企業が注意したい5つの採用リスク

2026年後半は採用需要だけでなく、人材の確保や定着に関わるさまざまな課題への対応も求められていくでしょう。

特に企業が押さえておきたいのは、採用活動や人材定着に影響を与える以下の5つのポイントです。


給与相場とのギャップによる離職リスク

2022〜2023年頃に採用した中堅社員の中には、市場相場と比較して給与水準に差が生じているケースがあります。

市場が活発化する後半は、こうした社員が転職活動を始める可能性も高まるため、事前の確認が重要となります。


AIスキル人材の獲得競争激化

AIを業務に活用できる人材への需要は、引き続き当地の多くの業界で高まり続けています。

需要の増加に対して供給が追いついておらず、今後も採用競争の激化が予想されます。


バイリンガル対応人材不足の長期化

英語に加え、日本語を含む複数言語で業務対応ができる人材への需要は依然として高い状況です。

特に専門スキルと語学力を兼ね備えた人材は限られており、採用期間が長期化するケースも見られています。


新卒採用のタイミング競争

2026年卒業生の市場流入により、若手人材を採用する機会は増えています。

一方で、優秀な人材は早い段階で内定を獲得する傾向もあるため、企業側のスピード感が重要になります。


中堅社員の転職意欲上昇

弊社の調査では、47%の求職者が過去12か月以内に転職を検討したと回答しています。

年央評価 (中間評価) や昇給時期を経て、自身の市場価値を見直す人も増えるため、後半は離職リスクが高まりやすい時期と言えるでしょう。


3. 特に採用が難しい人材カテゴリーとは



2026年後半も、特定のスキルを持つ人材を中心に採用競争が続く見込みです。

以下に現段階で不足しているという職種をご紹介いたします。


AI・データ関連人材

AI導入や業務効率化への投資が進む中、データ分析やAI活用の知識を持つ人材への需要は引き続き高い状況です。

多くの業界で同じ人材層を求めているため、採用競争はさらに激しくなると予想されています。


財務・コンプライアンス関連人材

FP&A、リスク管理、コンプライアンスなどの分野では、規制対応や経営管理機能の強化を背景に安定した需要が続いています。


サステナビリティ関連人材

当地でのESGやサステナビリティへの取り組みが広がる中、関連知識を持つエンジニアや専門職への需要も高まっています。


バイリンガル対応人材

顧客対応、営業、サプライチェーン、財務経理などでは、語学力と専門スキルを兼ね備えた人材への需要が引き続き高い状況です。

こうした人材は多くの企業が獲得を目指しているため、採用競争が激しく採用活動が長期化する傾向があります。


4. 離職リスクと給与見直しの重要性

採用市場の動向を見るうえで、採用だけでなく定着にも目を向ける必要があります。

人材獲得競争が続く中では、新規採用予算だけでなく既存社員の処遇やキャリア開発、エンゲージメント向上も重要なテーマとなります。

市場相場とのギャップが大きくなる前に対応することで、予期せぬ離職リスクを抑えることにもつながるでしょう。


5. 2026年後半に向けた採用アクションプラン

2026年後半の採用市場では、必要な人材を必要なタイミングで確保するために早めの準備がこれまで以上に重要です。

ここでは、後半の採用活動を見据えて企業が優先的に取り組みたいポイントをご紹介いたします。


7月ごろ:採用計画の具体化および既存社員の給与見直し
9〜10月の入社を想定している場合は、7月中に採用活動をスタートさせることが理想です。

中堅人材の採用には一般的に6〜12週間程度かかるため、早めの準備が採用成功につながります。

また、既存社員の給与競争力を確認しておくことも大切です。

市場相場との乖離がないかを確認し、必要に応じて見直しを検討しましょう。

欠員補充よりも、優秀な社員の定着を図る方が結果的にコストを抑えられるケースも少なくありません。

 

8月ごろ:新卒社員のオンボーディングおよびAI関連スキルの強化
新卒社員の早期離職を防ぐためには、入社後90日間のサポート体制が重要です。

教育計画や定期的なフォロー体制を整えることで、定着率向上につながります。

また、AI人材の採用だけでなく、既存社員のスキルアップも重要な選択肢です。

後半に向けてこれらの人材が需要がさらに高まることが予想されるため、早めの準備が求められます。


9〜10月ごろ:第四四半期の採用計画を見直す
年末に向けた採用需要は例年10月以降に高まります。

採用活動を前倒しで進めることで、より多くの候補者にアプローチできる可能性も高まるでしょう。


6. 下半期チェックリスト

また、採用市場の変化に対応するためには、採用活動だけでなく人材の定着や育成も含めた総合的な視点が重要です。

最後に、自社の準備状況を確認するための以下のチェックリストを活用してみてはいかがでしょうか。


□ 9〜10月入社予定の採用計画が整理されている

□ 採用が難しいポジションを早めに把握している

□ 既存社員の給与競争力を確認している

□ 新卒社員のオンボーディング計画が整っている

□ AIやデジタル領域の人材戦略を検討している

□ 第四四半期の採用予算を見直している

 

7. 最後に

今回は、2026年後半のシンガポール人材市場の見通しについてお届けしました。

失業率は安定している一方で、専門スキル人材を中心とした採用難や賃金上昇圧力は今後も続くと見られています。

また、採用だけでなく、既存社員の定着や育成への取り組みもこれまで以上に重要になるでしょう。

とはいえ、こうした変化は突然始まるものではなく、多くはすでに市場に現れている兆候でもあります。

だからこそ、採用計画や人材戦略を少し早めに見直しや準備を進めておくことで、必要な人材の確保や定着につなげることができるでしょう。

2026年後半が、自社にとってより良い採用と組織づくりにつながる期間となるよう、今回の内容が少しでも参考になれば幸いです。
 

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