【2026年第2四半期 速報版】シンガポール労働市場調査結果 雇用は19四半期連続で増加も、企業は引き続き慎重な採用姿勢

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

先日2026年7月31日、シンガポール人材開発省 (Ministry of Manpower : 以降MOM) は、2026年第2四半期 (4~6月) の労働市場速報 (Labour Market Advance Release) を公表しました。

今回の結果では、雇用者数が19四半期連続で増加した一方、人員整理の対象者数も前四半期から増加したことが分かりました。

また、企業の採用・賃上げ意欲には改善の兆しが見られるものの、MOMは「依然として企業は慎重な姿勢を維持している」と分析しています。

一見すると相反するようにも見えるこれらの結果ですが、データを詳しく見ていくと、シンガポールの労働市場は減速しているというよりも業界や職種によって採用動向の違いがより鮮明になっていることが分かります。

今回は、2026年第2四半期の労働市場速報から、日系企業が押さえておきたいポイントを分かりやすくご紹介してまいります。
 

【目次】
1. 雇用は19四半期連続で増加 建設業・製造業が全体をけん引
2. 人員整理は18%増加 背景には組織再編の動き
3. 失業率は引き続き安定 労働市場全体は底堅さを維持
4. 採用・賃上げ意欲は改善傾向 ただし企業は引き続き慎重姿勢
5. 企業が押さえておきたい3つのポイント
6. 最後に


1. 雇用は19四半期連続で増加 建設業・製造業が全体をけん引

2026年第2四半期の外国人家事労働者を除く総雇用者数は10,700人増となり、前四半期の9,400人増から約14%増加しました。

これで雇用は19四半期連続の増加となり、前年同期 (10,400人増) と比較してもおおむね同水準を維持しました。

業種別に見ると、建設業では雇用増加数が前四半期の2,500人から7,100人へと大きく拡大し、製造業も前四半期の200人減から2,900人増へと回復しました。

一方、サービス業は7,400人増から1,100人増へと増加幅が縮小しており、業界によって採用動向に違いが見られています。

MOMは、今回の雇用拡大は主に建設業・製造業における外国人材の採用増加によるものと説明しています。

一方で、シンガポール国民および永住権 (PR) 保持者の雇用も引き続き増加しており、運輸・倉庫、医療・社会サービス、公共・教育サービスなどで雇用が伸びたことが分かりました。

労働市場全体として雇用は拡大しているものの、すべての業界で同じように採用が活発というわけではなく、業種ごとの人材需要の差がより明確になってきていると言えるでしょう。


2. 人員整理は18%増加 背景には組織再編の動き

雇用が増加する一方で、人員整理の対象者数は3,830人から4,500人へと約18%増加しました。

労働者1,000人当たりの人員整理対象者数も、1.6人から1.9人へ上昇しています。

業種別では、製造業が800人、建設業が200人、サービス業が3,500人となり、いずれも前四半期を上回りました。

特に製造業や情報通信業など、海外経済の影響を受けやすい外需型産業での増加が目立ちました。

ただし、MOMは今回の人員整理について、主な要因は企業・組織の再編であると説明しています。

また、世界金融危機時には四半期あたり5,980~12,760人、新型コロナ禍でも5,640~9,120人が人員整理の対象となっていたことを踏まえ、今回の4,500人という水準は過去の景気後退局面と比較すると依然として低い水準であるとしています。

人員整理が増加したという事実だけを見るのではなく、その背景や規模もあわせて確認することが重要だと言えそうです。


3. 失業率は引き続き安定 労働市場全体は底堅さを維持

2026年6月時点の失業率は、全体で2.0%と前四半期から横ばいでした。

また、シンガポール国民の失業率は3.1%から3.0%へと改善しており、国民・永住権 (PR) 保持者を合わせた失業率も2.9%と横ばいとなっています。

人員整理が増加したにもかかわらず失業率が大きく悪化していないことからも、労働市場全体としては引き続き安定した状況にあることがうかがえます。


4. 採用・賃上げ意欲は改善傾向 ただし企業は引き続き慎重姿勢

MOMが実施した企業調査では、「今後3か月以内に採用を予定している企業の割合」は40.6%から43.9%へ上昇しました。

また、賃上げを予定している企業の割合も23.7%から29.3%へ増加していることが分かりました。

採用意欲や賃上げ意欲に改善が見られる一方で、MOMは、中東情勢が悪化する前の2026年2月時点と比較するとこれらの割合はいずれも依然として低い水準にあると分析しています。

そのため、企業は今後もしばらく採用や人件費への投資について慎重な判断を続ける可能性が高いと見られています。

MOMは、同レポート内で企業に対し、世界経済の先行きに不透明感が残るなか人材育成や組織変革を進めることで競争力を高めていくことの重要性にも言及しています。


5. 企業が押さえておきたい3つのポイント

それでは実際に今回の速報結果をふまえ、特に意識しておきたいポイントをご紹介いたします。


業界によって採用環境の差が広がっている
建設業や製造業では雇用拡大が続く一方で、サービス業では増加幅が縮小しています。

採用市場全体だけを見るのではなく、自社業界の動向を踏まえて採用計画を立てることが重要です。


採用市場は堅調でも、企業の判断はより慎重に
採用予定企業の割合は増加しているものの、MOMは依然として慎重姿勢が続いていると分析しています。

この先、採用人数を増やすというよりも、本当に必要なポジションへ優先的に投資する企業が増えていくことが予想されます。


採用だけでなく、人材育成・定着も重要に
MOMは、変化する事業環境に対応するため、事業変革と人材・組織の変革を継続的に進めることの重要性を示しています。

採用市場の変化に対応するには、新たな人材の確保だけでなく、既存社員のスキル向上や職務の見直しも含めた中長期的な人材戦略がこれまで以上に重要になってくるでしょう。


6. 最後に

今回は、2026年第2四半期 (4~6月) のシンガポール労働市場速報についてご紹介いたしました。

2026年第2四半期の労働市場速報では、雇用は19四半期連続で増加した一方で、人員整理も前四半期から増加する結果となりました。

しかし、前述の通りMOMは今回の人員整理の主な要因を組織再編と分析しており、失業率も引き続き低水準を維持しています。

また、採用や賃上げを予定する企業の割合には改善が見られることからも、シンガポールの労働市場が急速に悪化しているという状況ではなく、企業が外部環境を踏まえながら、より慎重に人材投資を進めている局面と考えられます。
 

2026年後半も、業界や職種によって採用環境は大きく異なることが予想されます。

採用市場全体の動向に加え、自社の事業環境や競合各社の動きも踏まえながら、採用計画や人材戦略を検討していくことが重要になるでしょう。


リーラコーエンシンガポールでは、最新の労働市場動向をもとに、企業様の採用活動や人材戦略をご支援しています。

シンガポールでの採用についてご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
 

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