【2025年を振り返る】アジアとシンガポールの主要ニュースと社会変化

こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
2025年、シンガポールを含むアジアでは、政治・経済・社会の各分野でさまざまな動きが見られました。
世界情勢の変化や国内政策の転換、自然災害の影響、さらには社会意識の変化など、多様な要素が地域全体の注目を集め、国内外で関心を呼ぶ一年となりました。
今回のブログでは2025年に起きた出来事や社会の変化などを振り返り、2025年リーラコーエンブログの締めくくりとしてまいります。
【目次】
1. 2025年、アジア・シンガポールで関心を集めた出来事
2. まとめ
3. 最後に
1. 2025年、アジア・シンガポールで関心を集めた出来事
1月 第47代米国大統領にドナルド・トランプ氏が就任
トランプ大統領が再就任してから、もうすぐ一年が経とうとしています。
この一年、米国は再び「自国優先」を軸に、関税引き上げや通商交渉の見直しを通じて保護主義を鮮明にし、同盟国にも防衛費や経済面での負担増を求めました。
対中国政策では強硬発言と実利重視の交渉姿勢が交錯し市場には不安定さが残り、外交面では中東やウクライナ情勢への影響力は大きい一方で、多国間協調は後退。
各国は米国依存のリスクを再認識し、独自路線を模索する動きを強めるなど、世界秩序が再編に向かう節目となりました。
【過去記事】第二次トランプ政権誕生に考える、アジア経済・雇用への影響
2月 ウォン首相、シンガポール予算案を発表
ローレンス・ウォン首相が国会にて2025年度の予算案をスピーチ。
「Onward Together for a Better Future Tomorrow」(より良い未来のために共に進む) というメッセージをと共に、確実性の強い社会情勢、経済の下振れリスクに対応すべく、シンガポール国民や企業がより団結し、強い国家の実現に向けた計画を発表しました。
計画内容には、国民への経済支援策強化や労働力の強化、法人税還付と企業イノベーションの推進支援などのプランが盛り込まれました。
【過去記事】2025年シンガポール予算案要点まとめ
3月 就労ビザの改定・変更を発表
近年、就労ビザ取得の厳格化が進むシンガポールですが、外国人の高度人材の受け入れを強化しつつ、シンガポール人の雇用を保護する狙いがあります。
今年2025年1月には、EP (Employment Pass) 取得時の最低給与額が5,600シンガポールドル (SGD)に設定変更され、その後Sパス、ワーク・パーミット (WP) の改定も発表されました。
これにより、2025年9月以降、Sパスの最低給与額は3,300 SGD (金融業界は3,800 SGD) に。
また、単純労働者向けな就労ビザである「ワーク・パーミット(通称WP)※」制度も条件緩和されました。
※日本国籍をお持ちの方については、一部の例外を除いてDependant’s Passを保有する方のみ申請が可能
【過去記事】2025年シンガポールの就労ビザ制度改定 知っておきたい変更ポイント
モンスーンの激化による水害発生
今年はマレーシア、インドネシア、タイなどで豪雨・洪水被害が相次ぎ、気候変動と都市インフラの脆弱性が大きな課題として挙がりました。
シンガポールも例外ではなく、長雨の日や降雨量自体も多く、長袖を羽織る機会も例年より多かったのではないでしょうか。
また3月にはミャンマー中部のマンダレー近郊を震源にマグニチュード7.7の大地震が発生し、建物倒壊やインフラ破壊で多数の死傷者が出ました。
激しい揺れが広範囲で観測され、タイやベトナムなどでも被害が出ました。
【過去記事】2025年は急増!シンガポールのモンスーン気候と増える豪雨への対策
学歴よりスキルが重要視される社会へ移行
シンガポール人材開発省 (MOM) がリリースをした「Job Vacancy Report 」(求人調査) によると、2024年の求人における約8割 (78.8%) が、「学歴を採用時に最も重要とする条件としていない」ことが分かりました。
前年の同調査での74.9%を上回る結果となっており、近年、企業が採用で重視するポイントが学歴などのポテンシャルよりも「応募者が実際に業務を遂行できるかどうか」という点になってきています。
この社会変化は企業側に職務に必要な成果やスキルに焦点を当てた募集要項の再設計を迫り、また採用対象を中途採用者や異業種からの転職希望者、職業訓練を受けた人材などに広げることで、より多様な人材と出会える可能性を広げるものとなっています。
一方、求職者にとっても学歴よりも「何ができるか」で勝負をしていく、実力勝負の社会に移行していくことを意味します。
過去の学歴に縛られず、自分の実力や可能性を活かして新たなチャンスに挑戦できる良いタイミングとも言えます。
【過去記事】学歴よりスキル重視?シンガポールの企業が「学歴偏重」を見直し始めた理由とは
5月 東南アジア半導体展示会・フォーラムの開催
東南アジアの半導体産業における重要な国際プラットフォームであるSEMICON Southeast Asia (東南アジア半導体展示会・フォーラム) 。
開催から記念すべき30周年である2025年はシンガポールでの開催となりました。
世界から企業・技術者・政策担当者・研究者など約25,000人が集い、最新技術・業界動向・産学官連携などを議論・展示しました。
近年の同イベントはマレーシアや香港などで開催されることが多くなっていましたが、シンガポールは半導体産業の研究・製造・国際企業の集積が進んでおり、地域の技術・人材・エコシステムの主要プレイヤーとして存在感を見せつけました。
5月 総選挙2025
2025年5月3日、シンガポールの行く末を大きく左右する国政選挙が開かれました。
与党の人民行動党 (PAP) が97議席中87議席を獲得し、国会で圧倒的な多数を維持。
得票率も約65.6%と前回より上昇し、ウォン首相への信任が示される結果となりました。
また若年層の政治参加が目立ったことも、今回の総選挙の特徴として注目されました。
【過去記事】2025年シンガポール総選挙のポイント振り返りー企業・労働市場への影響とは
東南アジアの観光業が回復 パンデミック前水準に
2024年のデータで、ベトナムは外国人観光客数がコロナ禍前2019年の98%まで回復し、東南アジアで最も高い回復率となったと報告されています。
ベトナムほどではありませんが、シンガポールもコロナ禍前の2019年に過去最高だった約1,910万人に届く水準に戻ってきており、2024年は約1,650万人の訪客数がありました。
シンガポールには特に中国・インドネシア・インドからの訪問が多いようで、2025年の訪問者数を1,700万〜1,850万人程度、観光収入を約290〜305億 SGD (約2,400〜2,500億円) と予測しています。
タイ–カンボジア紛争
7月、タイとカンボジアの国境紛争が激化し、死傷者や避難者が発生しました。
これを受け、マレーシア主導で停戦協議が行われ、両国は国境監視体制の合意を目指しました。
後10月には和平文書署名に向けたASEAN関連会議が開かれ、12月には外相特別会合で観察チームの展開や対話再開が進められました。
シンガポールは直接交渉には関与していないものの、ASEANの一員として地域安定、外交的調停努力の後押しを果たしています。
8月 シンガポール建国60周年
毎年8月9日のナショナルデーを盛大に祝うシンガポールも、2025年は建国60周年を迎えた今年は節目として、街中や文化行事が特に大きな盛り上がりを見せました。
ナショナルデー・パレードは特別規模で開催され、空軍ショーや華やかなパフォーマンス、花火などで節目を祝いました。
街では赤白の国旗やSG60の飾りが目立ち、市民参加型の祝賀イベントや作品展示が各地で実施されました。
観光施設や商業エリアもSG60テーマの企画や割引、文化・歴史を体感する催しが通年で行われたことで注目を集めました。
【過去記事】ナショナルデー2025 施政方針演説の要点 「We-First」社会の実現に向けたシンガポールの未来図とは
10月 マレーシアでのASEAN首脳会議開催
マレーシア・クアラルンプールで開かれたASEAN首脳会議には、トランプ米大統領や日本の高市早苗首相ら世界各国の指導者が出席しました (トランプ氏本人は会議には不在) 。
会議では、タイとカンボジアの和平協定がトランプ氏立ち会いのもとで署名され、地域の安全保障問題が大きなテーマとなりました。
シンガポールからは首相ローレンス・ウォンが参加し、ASEAN内外の経済連携を強調。
特にRCEP枠組みの下での貿易の自由化・公平性の推進を訴える発言を行い、地域の経済統合と WTOルール重視の立場を示しました。
また、ASEANビジネス投資サミットの場でも、加盟国間の市場統一や投資促進の議論にシンガポールが積極的に関与し、域内経済の活性化に向けた外交・経済面での影響力を発揮しました。
【過去記事】ASEAN Labour Officials Chart Path for an Inclusive & Future-Ready Workforce Beyond 2025 ※日本語訳記事はありません
デジタル詐欺、デマ情報への警戒呼びかけ
2025年中盤から後半にかけて、SNSやメッセージアプリ上で大規模な詐欺ネットワークが摘発・閉鎖されたとの報道が東南アジア諸国で相次ぎ、手口の巧妙化が広く認識されました。
シンガポールでも詐欺・不正請求の申告件数が増加。
2025年1〜8月の被害報告件数94件という数字は前年の倍以上に増え、総額約250万 SGDの損失につながっています (約2.8億円) 。
これを受けシンガポール政府は9月に警察など複数機関で連携した対策を発表し、銀行・通信・デジタル政府サービスへのアクセス制限など不正利用抑止策を導入しました。
また、10月には銀行各社が怪しい送金の抑止力としてデジタルトランザクションへの「クーリングオフ(24時間待機)」制度を導入、他にも国民向け啓発策を実施するなど警戒を呼び掛けています。
中には企業求人を装った求人詐欺の被害も報告されています。
【過去記事】これぞ就活ホラー!?気をつけたい求人詐欺とゴースティング
12月 東南アジア競技大会、開催
た第33回東南アジア競技大会 (SEA Games) で、シンガポールは過去最大級の規模となる926人の代表団を派遣し、48競技に出場しました。
大会は12月9日〜20日の日程で行われ、シンガポールは金52・銀61・銅89の計202個のメダルを獲得し、総合順位は5位に入る結果となりました。
2. まとめ

今年2025年も政治・経済・社会・環境面などさまざまな分野において出来事や変化が起きた年でした。
トランプ氏再就任による世界秩序再編の影響が議論され、シンガポールの就労ビザ改定やモンスーン被害、学歴よりスキル重視への移行など社会変化も顕著な年となりました。
5年ぶりの総選挙では与党PAPが圧勝。
建国60周年は盛大に祝い、旧正月やハリラヤ、タイプ―サムやディパバリなどの季節のお祝いはもちろん、F1グランプリやフィンテックイベントなども開催され、カラフルな一年となりました。
また、社会変化による人々の意識・価値観の変化も見逃せません。
学歴偏重からスキル重視採用への変化に伴い、社会人の学び直し (アップスキリング、リスキリング) が注目され、シンガポール政府も投資を増やしています。
個人単位でも健康への投資、自身の価値観に合った働き方の選択、新しい体験への積極性、デジタルの上手な活用、そして「自分にとって心地よい時間」を大切にする姿勢が強まった一年であったと言えます。
【過去記事】【2025総まとめ】シンガポールで加速した生活×働き方 5つの変化と採用トレンド
3. 最後に

2025年を振り返り、改めて激動の一年であったことを実感しております。
読者の皆様におかれては、どのような一年でしたでしょうか。
弊社リーラコーエンにとっては、例年通り多くのお客様の課題やご期待に向き合う日々でございました。
また、当ブログをご覧いただいたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
来年も皆さまにとって輝かしい一年となりますよう、お祈り申し上げます。
それでは、2026年にまた皆様のお目にかかれることを、楽しみにしてまいります!
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