シンガポール人材市場の新潮流!柔軟性とCSRが採用の鍵に

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

この度、当グループは楽天インサイトグローバル様と共同で、アジア太平洋地域における人材の価値観と就業意識に関する調査を実施いたしました。

 

本調査では、シンガポールを含む12の国と地域、計12,181名のビジネスパーソンを対象とし、働き方、企業選びの基準、報酬期待、国境を超えた異動意欲などにスポットを当て、各国での回答内容を比較しました。

その結果、シンガポールでは「柔軟な働き方」や「社会的価値(CSR・サステナビリティ)」を重視する傾向が特に顕著であることが明らかになりました。

企業が採用のあり方を見直すなか、求職者は「目的」「成長」「生活とのバランス」を求め続けており、両者のギャップが今後の人材戦略における大きな課題となっています。


本記事では、調査結果をもとに、シンガポール市場における最新の人材動向と企業がとるべき対応策について詳しくご紹介いたします。

【目次】
1.シンガポール人材の主要なモチベーションとは?
2.柔軟な働き方でシンガポールがアジア首位に
3.CSRやサステナビリティが企業選びの基準に
4.海外赴任よりも国内志向が強まる
5.給与への期待は依然高水準
6.最後に:人事戦略の再構築が急務に


1.シンガポール人材の主要なモチベーションとは?

今回の調査では、シンガポールのビジネスパーソンが仕事選びや転職の際に重視する主な要因が以下の通り明らかになりました。

・給与(82%)
・スキル開発の機会(67%)
・ワークライフバランス(61%)

依然として「給与」は最も重視される要因であり、特に生活コストの高いシンガポールにおいては、収入の安定性と将来の昇給見込みが職場選びの大前提であることに変わりはありません。

一方で、注目すべきはそれに続く「スキル開発」や「ワークライフバランス」への関心の高さです。

近年、従業員は単に報酬を得るために働くだけでなく、「自らの市場価値を高められるか」「プライベートの充実を犠牲にせずに働けるか」といった観点を重視するようになってきました。

特に30~40代のミドル層では、自分のキャリアを中長期的にどう設計するかを見据えて企業を選ぶ傾向が強まっています。

従来の「報酬一辺倒」の時代から、「自己成長」や「生活との調和」を含む多元的なモチベーションへと求職者の価値観がシフトしていることが示唆されています。


企業側にとっては、この変化を採用・人材育成戦略にどう反映させるかが大きな課題と言えるでしょう。

たとえば、研修制度や社内異動による成長機会の提供、フレックスタイム制や有給取得の推奨といった人的資本への投資が競争力を左右する要素となっています。


また、入社後の定着率を高めるうえでも、従業員一人ひとりが「成長実感」や「自分らしく働ける環境」を得られているかを定期的に見直すことが重要です。

短期的な報酬だけではなく、長期的なキャリア形成や生活とのバランスを支援できる企業づくりが、今後のシンガポール市場での鍵を握ると言っても過言ではありません。


2.柔軟な働き方でシンガポールがアジア首位に

その他、他国と比較して特筆すべき項目も見ていきましょう。

シンガポールでは68%の従業員が出社と在宅勤務を併用する「ハイブリッド勤務」の機会を与えられていることが分かりました。

これは、全体平均の46%を大きく上回り、APAC地域内で最も高い水準でした。


シンガポール政府もワークライフハーモニーやテクノロジーを活用した業務効率化を推進しており、制度面・文化面の両方から柔軟な働き方を後押ししていることもあり、パンデミック以降も他国と比較して柔軟な働き方が定着している点は国内外の求職者にとって大きな魅力となっています。


企業にとっても、柔軟性を提供することは単なる「福利厚生」ではなく、優秀な人材を惹きつけ、定着させるための戦略的要素となっています。

特に中堅層・ミレニアル世代を中心に、仕事と家庭・プライベートの両立を重視する傾向が強くなっており、「いつ・どこで働けるか」は、もはや給与やポジションと並ぶ重要な意思決定要因となりつつあります。


一方で、企業側には、リモートワークの普及に伴う「パフォーマンス管理」や「チームの一体感の維持」といった新たな課題も考えられます。

成果ベースの評価制度や、信頼と自律に基づくマネジメントスタイルの導入が今後さらに求められるでしょう。

 

3.CSRやサステナビリティが企業選びの基準に

また、今回の調査において「企業のCSR(企業の社会的責任)やサステナビリティへの取り組みが職場選びの判断材料になる」と回答したシンガポール人は79%でした。

この数値はAPAC地域内でもかなり上位。シンガポールでは、給与や役職といった従来型の指標に加え、企業の「社会的な姿勢」が強く問われる時代に移行しつつあることが分かります。

こうした傾向の背景には、シンガポール社会に根付く価値観があります。

シンガポールは急速な経済成長を遂げてきた一方で、都市国家として環境保全や社会格差といった課題にも直面しています。

そのため、経済的な利益だけでなく、「社会全体への貢献」を企業に求める意識が広がっており、特に若年層の間ではその傾向が顕著と言えます。


実際に、環境問題に対する関心は年々高まっており、企業にも持続可能性を意識した事業活動や環境保護への取り組みが期待されています。

ボランティア活動や寄付、地域社会との連携など、社会貢献活動を行う企業への信頼も高まっています。


企業が人材を惹きつけるうえで、CSRやサステナビリティはもはや「加点要素」ではなく、「必須条件」になりつつあります。

今後さらに実効性のある社会貢献や環境施策をいかに打ち出すかが、採用競争力を左右する鍵となっていくことが読み取れるでしょう。


4.海外赴任よりも強まる国内志向

「海外赴任か、国内就労か」というトピックに対しては、他国と比較してシンガポールの労働者は海外赴任への関心が相対的に低いことが明らかになりました。

近隣国のベトナム(62%)やマレーシア(46%)と比べ、シンガポールでは43%が海外勤務を希望すると回答しています。

さらなる良い待遇・環境を求めて海外就労するというよりもシンガポール国内において求職者にとって魅力的な就労環境が整ってきていることが示唆された結果として、企業側としても競争力のあるローカル人材の活用をより重視する傾向が進みそうです。

 

5.給与への期待は依然高水準

最後に、昇給に関するテーマに対しては回答者の約4人に1人(25%)が「2025年に10%以上の昇給を期待している」と回答しました。

冒頭でご紹介した通り、給与に関する求職者の期待・モチベーションは非常に高い傾向が続いています。

その一方で、企業側は採用コストや生産性、また今後の不安定な経済状況を意識し、慎重な姿勢を崩していません。

なかなか埋まらないギャップへの対応策としては、給与以外の要素、たとえば「スキル開発機会」や「ワークライフバランス」などを強化することで、報酬に頼らない採用戦略が今後さらに重要になっていくでしょう。


6.最後に:

今回の調査結果は、私たちリーラコーエングループにとっても、改めて現状を振り返り、人材戦略を考える重要な契機となりました。

特にシンガポール市場においては、「柔軟な働き方」「社会的価値」「キャリア成長」への関心がこれまで以上に高まっており、企業側の提供価値が問われる時代に突入しています。


弊社シンガポール拠点長を務める須長は、同レポートで「サステナビリティや社会的意義のある職場環境は、もはや“あれば良い”ものではなく、候補者が職場選びの初期段階で重視する必須条件になっています」と現場の実感を述べています。

また、グループCEOの内藤兼二も「企業側が経済的なプレッシャーの中で採用の主導権を取り戻しつつある一方で、求職者の期待は一層高度化・多様化しており、そのギャップを埋めなければ優秀な人材の確保は難しくなる」としています。


現在、シンガポールでは「公正な労働慣行(Fair Employment Practices)」「グリーン経済の推進」「デジタル化の加速」といった国家的な方針のもと、労働環境そのものが大きく変化しつつあります。

企業がこの変化に適応し、求職者の価値観に応えることができるかどうかは、中長期的な競争力を左右する重要なポイントです。


弊社では、本意識調査を通してシンガポールで人材戦略を担う皆様にとって、現状の把握と未来への備えに役立つ情報を提供してまいります。

人材を「選ぶ」だけでなく、「選ばれる企業」であるために。

本レポートに関するお問い合わせはぜひアドバイザーまでお気軽にお申し付けくださいませ。

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