シンガポール新卒給与は4,500Sドルで横ばい 大学就職調査から見る採用市場の変化

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

3月に入り、日本では卒業式や入学式の準備が進む季節となりました。

新たな門出を迎える学生やご家族にとって、慌ただしくも特別な時期ではないでしょうか。


一方、シンガポールでも毎年この時期にシンガポール教育省(MOE)から発表される学生に関する就職データがあります。

それが、「Graduate Employment Survey (通称:GES)」です。

これはシンガポール国立大学 (NUS)、南洋理工大学 (NTU)、シンガポール経営大学 (SMU)、シンガポール工科デザイン大学 (SUTD)、シンガポール社会科学大学 (SUSS)、シンガポール工科大学 (SIT) の6大学の卒業生の就職状況や給与に関する調査結果をまとめたものです。

本データは、企業にとって新卒人材の採用動向や給与水準は採用戦略を考える上でも重要な指標の一つと言えるでしょう。

そこで今回は、シンガポールの主要大学が発表した最新の就職調査をもとに新卒給与の動向や就職市場の変化についてご紹介してまいります。


【目次】
1. 新卒初任給の中央値は4,500シンガポールドルで横ばい
2. 分野別ではIT・デジタル分野が依然トップ
3. 正社員としての就職率は74.4%に低下
4. 就職活動はやや長期化の傾向
5. 日系企業にとっての採用戦略のヒント
6. 最後に


1. 新卒初任給の中央値は4,500シンガポールドルで横ばい

今回の調査結果では2025年卒業生の初任給中央値は月額4,500Sドルとなりました。

これは2024年と同水準。前年から大きな変化は見られませんでした。

過去数年の推移を見ると、
2023年: 4,295 シンガポールドル
2024年: 4,500 シンガポールドル (前年比約4.8%増)
2025年: 4,500 シンガポールドル (横ばい)

2023年から2024年にかけては給与の上昇が見られましたが、2025年は一旦落ち着いた形となっています。

世界経済の不透明感が続く中で、企業が人件費や採用計画を慎重に検討している状況が背景にあると考えられます。
 

2.分野別ではIT・デジタル分野が依然トップ

(出典:Straits Times)

学部別の初任給を見ると、最も高かったのは情報・デジタル技術分野で5,500シンガポールドル (以下、SGDと表記) でした。

この水準は2023年から3年連続で変わっていません。

デジタル人材への需要は依然として高いものの、近年はテクノロジー企業を中心に採用調整の動きも見られていることから、給与水準の急激な上昇は落ち着きつつある状況です。


一方で、他分野では緩やかな給与上昇も見られました。例えば、以下の学部です:
・ビルト・エンバイロメント (建築・都市環境) :4,268 SGD (前年比+4.1%)
・人文・社会科学:前年比+2.4%
・工学:前年比+1.6%

このように、多くの分野でわずかながら給与が上昇しています。

なお、初任給が最も低かった分野は芸術・デザイン・メディアで、中央値は3,840 SGDでした。

ただし、この分野においても前年比では小幅ながら上昇しています。


3.正社員としての就職率は74.4%に低下

給与が安定している一方で、今回の調査で注目されたのが就職率の変化です。

2025年卒業生の就職状況は次の通りでした。
・就職内定率 (パートタイム・フリーランス含む) : 88.9%
・実際に就職した割合 : 83.4%
・正社員として就職した割合 : 74.4%

特に正社員の就職率は、前年の79.4%から5ポイント低下しています。

2023年の83.7%と比べると、約9ポイント下がったことになります。


一方で、正社員以外の働き方を選ぶ卒業生もやや増えている傾向が見られました。

・パートタイム就業:7.2% (前年6.0%) 
・フリーランス:1.8% (ほぼ横ばい)


4. 就職活動はやや長期化の傾向

今回の調査では、就職活動の難易度がやや上がっている可能性も示唆されています。

卒業生の中で「正社員に応募したが採用に至らなかった」と回答した割合は8.5%で、前年の5.7%から増加しています。

この背景には、世界経済の先行き不透明感や地政学リスクの高まり、また企業の採用計画の慎重化といった要因があると見られています。

特に情報通信分野などの外需の影響を受けやすい業界では、2024年と比べて採用活動がやや鈍化しているとの指摘もあります。


その一方で、今回の調査結果は必ずしも新卒市場の大きな悪化を示しているということではありません。

回答者のうち92.2%がシンガポールの労働力人口 (就業者または求職者) に含まれており、多くの卒業生が積極的に就職活動を行っているという結果になりました。


また、実際に仕事を得た人の約4分の3は正社員として採用されています。

つまり、採用までにやや時間がかかるケースは増えているものの、最終的には多くの卒業生が安定した雇用を得ていると言えます。

大学側は今回の結果について、「採用活動はやや緩やかになっているものの、新卒向け求人は引き続き存在しており、就職市場を過度に悲観する必要はない」との見解を示しています。


5.日系企業にとっての採用戦略のヒント

今回の調査結果は、シンガポールの新卒採用市場が大きく悪化しているわけではないものの、企業側がより慎重に採用を進めているという状況を示しました。

こうした環境の変化は、日系企業にとっても採用戦略を見直す一つのきっかけになるかもしれません。

今回のデータを見て分かるとおり、シンガポールではITやデジタル分野を中心に外資系企業との給与競争が激しく、新卒給与の水準も比較的高い傾向にあります。

そのため給与面だけで人材を惹きつけるのではなく、研修制度やキャリア形成、安定した経営基盤など、長期的な成長機会を含めた企業の魅力をどのように伝えるかが重要になってくると言えるでしょう。


また今回の調査では、正社員としての就職率が前年より低下しており、学生にとって就職活動がやや長期化する傾向も見られました。

こうした状況を逆手に取ると、企業側にとってはこれまで出会えなかった人材と接点を持てる機会が広がる可能性もあるということになります。


シンガポールでの新卒採用を検討している場合、市場動向を踏まえながら自社の強みや働く魅力をどのように発信していくかが今後ますます重要になっていくと言えるでしょう。


6.最後に

今回は、シンガポールの大学卒業生を対象とした最新の就職調査をもとに、新卒給与の動向や就職率の変化についてご紹介しました。

2025年の調査では、新卒初任給の中央値は4,500 SGDと前年から横ばいとなる一方、正社員としての就職率はやや低下する結果となりました。

企業の採用姿勢がこれまで以上に慎重になっている様子がうかがえる一方で、多くの卒業生が最終的には就職しており新卒採用市場が急激に悪化しているわけではないことも見えています。


また一方で、今回の調査データはシンガポールの将来の人材パイプラインを考えるうえでも重要な示唆を与えていると言えます。

今後、企業がどのように新卒人材と向き合っていくべきかについては、次回の記事で詳しくご紹介してまいります。

皆様にとって本記事が少しでも当地での新卒採用に際してご参考になれば幸いです。


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