業界研究シリーズ第3回 シンガポールの教育業界 今注目のエドテック部門
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。
既存のサービスにITテクノロジーを掛け合わせて新しい価値を生み、それをビジネスとして提供する「X-tech」(クロステック)。
先日、本ブログでご紹介したフィンテック(Fintech)もその代表的な一つです。
この数年で目ざましい発展を遂げているフィンテックの他にも様々な例があり、最近同じく急成長を遂げていると言われているのが「エドテック(Edtech)」です。
今回は、そんなエドテックについて、シンガポールの事例とともに詳しくご紹介いたします。
【目次】
1.エドテックとは?
2.教育現場で活用されるエドテックの例
3.シンガポールのエドテック
4.最後に
1. エドテックとは?
エドテックとは、教育を意味する「Education」と、技術の「Technology」を掛け合わせた造語です。
最新のテクノロジーを教育領域で活用するビジネスまたはそのサービス、スタートアップ企業のことを指します。
元々国土が広く、人口の多いアメリカで、人々により多くかつ均等な学びの機会を提供するために広がったと言われています。
現在では、新型コロナウイルスパンデミック中のオンライン学習をはじめ、E-ラーニングなどの研修においても、エドテックは不可欠であり、今や教育とテクノロジーは切っても切れない関係にあると言っても過言ではありません。
日本でも、「GIGAスクール構想」という文部科学省が発表した指針により、小学校で1人1台のタブレット端末が支給されるなど、活用が広がっています。
今年発表されたReportLinker社のレポートによると、世界のエドテックにおける市場規模は 2021年に742 億米ドルに相当すると推定され、2031年までは前年比+14.5% で成長しつづけ、2031年末までに合計で 2,884 億米ドルを超えると予測されています。
2.教育現場で活用されるエドテックの例
2-1.オンライン学習
やはりオンライン学習はエドテックの代表的な例と言えるでしょう。
先ほどご紹介したコロナ禍中の学校におけるオンライン学習をはじめ、習い事のオンライン提供、企業での研修など、広く活用されている方も多いのではないでしょうか。
また、10年前からに遡りますが、2012年より利用されているアメリカのオンライン学習サービス「MOOC」もその一例です。
一流大学の講義を誰でも無料でオンライン受講でき、一定の水準をクリアすると修了賞も貰えるという内容でとても話題になりました。
MOOCの中にはスタンフォード大学が直接提供する「Cousera」や、ハーバード大学やMITの「edX」など、様々な大学がサービスを提供しています。
2‐2.VR機器を使用した疑似体験による学習
最近注目されているのが、仮想現実(VR:バーチャルリアリティ)機器を利用し、「もしも」を疑似体験しながら学びを得るというものです。
例えば学校では、実際には行けない海外などの場所をVRを通してバーチャルトリップとして体験したり、火事が起きたときの避難方法を学んだり。
企業においても、クレーム対応の練習や、大勢の観衆の前でプレゼンを行うなどのシミュレーションなど、様々な場面で活用されています。
普段の学習場面でなかなか実現させることができないことを仮想現実で体験できるのは、テクノロジーの恩恵ですね。
2‐3.学習管理プラットフォーム
生徒一人ひとりに合わせた学習スピードの管理、またはその進捗状況を教師や保護者がオンラインで確認するプラットフォームの活用が進んでいます。
一人ひとりに合わせた内容を表示させたり、課題をオンラインで提出したり、タイムリーな教材を配信するといったシステムがその具体例です。
また、最近では連絡帳をアプリで自動化し、保護者と教師がオンライン上のメッセージのやり取りを行うケースもあります。
3.シンガポールのエドテック
それでは実際に、シンガポールでのエドテック部門についてご紹介します。
シンガポールの通商産業省(MTI)は、この数年のコロナ禍において教育業界におけるエドテックの重要性がさらに高まったとしており、今後も教育事業におけるエドテックの発展に力を入れていくことが期待されています。
現在シンガポールには、約500社のエドテックのスタートアップ企業があります。
代表的な企業としては教師の研修や生徒の学習機会を提供する「XSEED」、学校管理をクラウドで行う「Cialfo」、そして日本にもオフィスを構えたオンライン学習の「EMERITUS」などがあります。
3‐1.シンガポールの高い教育水準
世界屈指の教育国家として知られるシンガポール。
教育水準がとても高く、学校にもよるものの、幼稚園のうちから英語、中国語の二言語はもちろんのこと、算数や文字を徹底的に学習します。
また、その後小学校に進学後はさらにステップアップ。卒業時には「PSLE」という卒業試験が行われ、その成績に応じて進学先が決められます。
この試験に不合格になると留年が決まるなど、当事者をはじめ保護者の心理的なストレスが大きすぎるなどを理由に、こちらは2024年以降は段階的な廃止が決定されていますが、国立大学は常に世界の大学ランキングにおける上位にランクインするなど、トップレベルの教育を維持しています。
今後も教育水準の維持、またはそれ以上を目指していくためには、エドテックを駆使した戦略が必要不可欠ではないでしょうか。
3‐2.「EdTech Plan」について
シンガポールの教育省(MOE)は、2020年から2030年の10年間において、小学校から大学までの教育機関でのテクノロジーの開発と利用を促す「EdTech Plan」という指針を発表しています。
学生一人ひとりに対しては、エドテックがオンラインプラットフォームのアクセスを提供することで、どこにいてもシームレスな学びを提供できること。
また、それだけではなく、将来的にデジタル社会で自立し、自発的に行動ができる人になるための教育として、テクノロジーを駆使する、という狙いがあります。
教師側もテクノロジーの力を借りて教育環境を整え、一人ひとりに合わせた教育を提供することや、生徒と教師のコミュニケーションのためのプラットフォーム活用についても述べられています。
EdTech Planについて、詳しくはこちらをご参照ください。
3‐3. シンガポールで私が感じた身近なエドテック例
実際に、3歳の子どもを育てる私がシンガポールで身近に感じたエドテック例についてご紹介します。
子どもの幼稚園では、日本の幼稚園ではよくある連絡帳がありません。
「Little Family Room」というスマートフォンアプリを使って先生とのコミュニケーションをはじめ、登園記録や日々の園生活の写真などが一括で管理されます。
こちらからの出欠連絡等もすべてこのアプリで行うのですが、あまりに沢山の情報量が網羅されているため、はじめは使い方に戸惑いました。
一方で、これまでの登園時間や体温、園で食べたものの写真やその週の平均園滞在時間までもすべて事細かに記録されているので、使うごとに便利に感じるようになりました。
また、コロナ禍において一時園が閉鎖された際は、オンラインプラットフォームを利用して先生とクラスメイトを繋いだ朝の30分のセッションなどが開催され、教育面におけるテクノロジーの進歩による恩恵を実感しました。
4.最後に
今回は昨今大きな成長を見せるエドテックと、シンガポールでの活用事例についてお届けしました。
今月の27‐28日の2日間、企業家や各国の有識者を集めたエドテックの見本市「Edtech Asia Summit 2022」が開催される予定です。
新規ビジネスやイノベーションののスタート地点としてもアジアのハブとして大きな役割を担っているシンガポール。
新型コロナウイルスのパンデミックを経て、数年ぶりに大型イベントが戻ってきていることを実感できるのは嬉しいですね。
これからますますの成長を見せるエドテック、目が離せません。
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