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EPビザ最低月額給与が2025年より引き上げへ【シンガポール就労ビザ】

人事担当者向けコンテンツMarch 06, 2024 10:00

こんにちは。

2024年3月4日、タン・シーレン人材相はシンガポール人材開発省(以降MOM)の予算審議の中で、来年2025年1月1日よりEPビザ申請のための最低月額給与を5,600シンガポールドル(以降SGD)に引き上げることを発表しました。

これまで、シンガポール政府はシンガポリアン・コア政策に基づきローカル人材の雇用を守る目的で外国人の就労ビザ取得要件の引き締めを行ってきました。

COMPASS制度が今年9月よりEPビザの更新申請にも適用されることが見えていた中での今回の発表。

早速、同審議の中で発表された新たな取り組みとともに詳しく見ていきましょう。

【目次】
1.EPビザ:2025年1月1日からの変更
2.今回の引き上げの背景
3. 造船セクターでの外国人労働者税(levy)の引き上げ・DRCの引き下げ
4.海外ネットワーク＆エキスパート・パス(Overseas Networks & Expertise Pass)アップデート
5.新たな取り組み:シンガポール人への海外就労経験の支援
6.最後に

1.EPビザ:2025年1月1日からの変更

今回、2025年1月1日より適用となるのはEPビザ新規申請のための最低月額給与額です。

現在の5,000SGDより600SGD引き上げられ5,600SGDとなります。

なお、金融セクターの場合はベース給与が他セクターよりも高いことを考慮し、現在の5,500SGDから6,200SGDへ引き上げられます。

$:シンガポールドル
出典:シンガポール人材開発省(MOM)

なお、更新分については再来年の2026年1月1日より適用となります。

タン・シーレン人材相は、現在のEPの有効期間が新規申請で2年間、更新申請で3年間のため、本変更に完全に適応するためには最長2028年までの猶予があるとしました。

本最低月額給与は、年齢が上昇するにつれて必要となる月額給与も上がります。最高額の一例としては金融セクターでの40代半ばで18,000SGDです。

COMPASS制度は引き続き適用となります。

Sパスについては今回の発表はありませんでしたが、現在の最低3,150SGD(※金融セクター:3,650SGD)が来年2025年9月1日からは3,300SGD(※金融セクター:3,800SGD)へ段階的に引き上げが予定されていることは以前発表されているとおりです。

2.今回の引き上げの背景

政府が定めるEP申請者の最低月額給与はローカルPMET(専門職、管理職、経営幹部、技術者など)の給与の上位3分の1を基準としたものとしています。

タン・シーレン人材相は、今回の引き上げについて「予め設定された給与額のベンチマークに基づき、定期的に見直しをすることで、ローカル人材にとって公平な競争条件が確保される」と述べており、COMPASS導入時と同じく、EP審査基準をクリアできる人材は本変更にも適応可能だとしています。

同時に、「シンガポールの経済成長のために優秀な人材を惹きつけ続けるとしても、各企業が公平にローカル人材の労働力を育成するためにワークパスの枠組みを強化する必要がある」と述べました。

今後もビザ要件の見直しについて、状況を見ながら引き続き行っていくとしています。

3.造船セクターでの外国人労働者税(levy)の引き上げ・DRCの引き下げ

また、併せて造船セクターにおける外国人労働者税(levy)の引き上げ、そしてDRCの引き下げも発表しました。

これは2026年1月1日より適用されます。

まず、人頭税としての外国人労働者税(levy)の引き上げについて。

同部門の基本技能労働許可証保持者の徴収額は現在400SGDですが、100SGD引き上げられ500SGDに変更となります。

また、高技能労働許可証保持者の徴収額については現行の300SGDより50SGD引き上げられ、350SGDとなります。

次にDRCの引き下げについてです。

DRCとは、企業の総従業員に対する外国人労働者の許容比率の上限を指します。

SパスおよびWP(ワークパーミット)保持者を対象にDRCを現行の77.8%から、 75.0%に引き下げられます。

今回の変更で、同業種の企業が雇用できるSパス・WPパス保持者は、現在の3.5名から、ローカル従業員1名につき最大3名となります。

4.海外ネットワーク＆エキスパート・パス(Overseas Networks & Expertise Pass)アップデート

今回の審議では、海外ネットワーク＆エキスパート・パス(通称ONEパス)についても触れられました。

ONEパスは、最低月額給与3万シンガポールドル以上、または技術・芸術・学術・スポーツの分野で「優れた業績」がある場合に取得ができるビザです。

アップデートがあったのは、本ビザの承認数です。

今年1月1日以降、シンガポールではすでに約4,200件のONEパス申請が承認されていることが明らかになりました。

また、これらは金融や情報通信技術などの成長セクターに集中しているとのこと。

タン・シーレン人材相は「人材不足が騒がれる昨今、企業が人材を追いかる時代だ」と述べました。

ONEパスについて詳しくはこちら

5.新たな取り組み:シンガポール人への海外就労経験の支援

また、今回の審議ではシンガポール人を対象とした新たな取り組みについても発表がありました。

新たに導入が発表されたのは「Global Business Leaders Programme(グローバル・ビジネス・リーダーズ・プログラム)」そして「Overseas Market Immersion Programme(オーバーシーズ・マーケット・イマ―ジョン・プログラム)」の2つの取り組みです。

いずれも海外で実務経験を積みたいシンガポール人数百人を対象とします。

まず、グローバル・ビジネス・リーダーズ・プログラムでは、シンガポール人の企業リーダーを育成するため政府が海外赴任やエグゼクティブ・マネジメント・プログラムなどの機会提供を支援するというものです。

海外市場イマージョン・プログラムは、海外進出を希望する企業を支援する取り組みです。

海外経験のほとんどない従業員を海外赴任やその他の研修に派遣するというものです。

「海外で経験を積んだシンガポール人の人材がシンガポールに戻ってくることは、経済に良い影響をもたらす」とし、シンガポール人が海外で就労することを前向きに支援する考えを示しました。

いずれの取り組みの詳細も、今年半ばに発表される予定だそうです。

6.最後に

今回は、2024年3月4日に発表のあったEPビザ最低月額給与の引き上げ、そして新たな取り組みに関する内容をお届けしました。

この他にも、定年年齢の引き上げについても発表されました。

こちらは改めて本ブログでお伝えできればと思います。

ローカル人材の育成へのさらなるテコ入れを図るとともに、ますます外国人が就労するためのハードルが上がるシンガポール。

今年9月からはCOMPASSによるEPビザ更新申請も適用開始され、新たな公正な雇用に関する新法律も施行予定、と多くの変更が予定されています。

目まぐるしく状況が変化するシンガポール人材市場ですが、お困りのことがあればお気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。

また、本ブログでも今回ご紹介した情報のアップデートがあればお伝えしてまいります。

ぜひご確認ください。

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