【2026年第3四半期】シンガポールの雇用者数が前期比2倍以上に増加 雇用拡大の背景と押さえておきたいポイント

こんにちは。
リーラコーエン シンガポール マーケティング担当の野上です。
2026年10月30日、シンガポール人材開発省 (Ministry of Manpower:以降MOM) は、2026年第3四半期 (7~9月) の労働市場に関する速報値を発表しました。
今回の発表によると、第3四半期の総雇用者数は前期比で27,700人増加しました。
これは、第2四半期の11,400人増と比較すると2倍以上の増加となり、前年同期の25,100人増も上回っています。
シンガポールの雇用市場は引き続き拡大していますが、今回の雇用増加を詳しく見ると、非居住者の雇用が全体の伸びの大部分を占めており、建設業や製造業がその増加を支えています。
また、シンガポール国民や永住権 (PR) 保持者を含む居住者の雇用については、公共サービスや生活に不可欠なサービス分野が主な成長要因となりました。
つまり、雇用者数が増加しているからといって、すべての業界や職種で同じように採用が活発になっているわけではないようです。
今回は、2026年第3四半期の労働市場速報から、シンガポールの雇用動向と、企業・求職者双方が押さえておきたいポイントを詳しくご紹介してまいります。
【目次】
1. シンガポールの雇用者数は27,700人増加 前期から大幅に拡大
2. 居住者・非居住者で異なる雇用増加の背景
3. 雇用が増加する一方で、人員整理も発生
4. 企業が2027年の採用計画で意識したいこと
5. 求職者が転職活動で押さえておきたいポイント
6. 最後に
1. シンガポールの雇用者数は27,700人増加 前期から大幅に拡大
2026年第3四半期の総雇用者数は27,700人増加し、前期から増加幅が大きく拡大しました。
今回の速報値で押さえておきたい主なポイントは、以下の5つです。
・雇用者数:第3四半期は27,700人増加。第2四半期の11,400人増、前年同期の25,100人増を上回る
・居住者・非居住者の雇用:どちらも増加が加速。特に非居住者が全体の雇用増加の大部分を占める
・失業率:9月時点で全体2.0%。居住者は3.0%、シンガポール国民は3.1%で、いずれも8月からわずかに上昇
・人員整理:第3四半期は4,800人。第2四半期の4,620人から増加した一方、従業員1,000人あたりの人員整理件数は2.0人で横ばい
・企業の採用意欲:今後3カ月以内に採用を予定している企業は9月時点で42.3%。8月の30.5%から上昇したものの、7月の水準には届いていない
※出典:MOM「Labour Market Advance Release 3Q 2026
今回発表されたのは速報値のため、居住者・非居住者それぞれの正確な雇用増加人数や、業界別の詳細な雇用動向、求人件数などについては今後の発表が待たれます。
これらの詳細は、2026年12月中旬に予定されている確定版レポートで明らかになる見込みです。
MOMは今回の結果について、シンガポールの労働市場は引き続き拡大しているものの、業界によって状況にはばらつきがあるとの見解を示しています。
特に、居住者の雇用については、生活に不可欠なサービスや公共サービスが成長を支える一方、世界経済の先行き不透明感を背景に、海外市場向け産業では雇用の伸びが引き続き限定的だったと指摘しています。
雇用者数の増加だけでなく、どの業界が成長をけん引しているのかにも注目する必要がありそうです。
2. 居住者・非居住者で異なる雇用増加の背景
今回のレポートで特に注目したいのが、居住者と非居住者で雇用増加を支えた分野が異なるという点です。
MOMによると、第3四半期は居住者・非居住者のどちらも雇用が増加しましたが、全体の増加幅の大部分を占めたのは非居住者でした。
特に、建設業と製造業における非居住者の雇用増加が、全体の伸びを支えています。
一方、シンガポール国民および永住権 (PR) 保持者を含む居住者については、生活に不可欠なサービスや公共サービスが雇用増加の主な要因となりました。
このように、同じ雇用拡大でも、どのような人材がどの分野で必要とされているかによって状況は異なっています。
例えば、建設業ではプロジェクトの進行に伴う人員確保、医療・公共サービスではサービスを支える人材の確保など、業界によって採用の背景や必要となる人材は異なります。
また、金融サービスのように専門性が求められる分野では、必要なスキルや経験も異なります。
そのため、シンガポールの雇用市場を理解する際には、国全体の雇用者数だけでなく、どの分野で雇用が増えているのかにも目を向けることが重要です。
3. 雇用が増加する一方で、人員整理も発生
雇用者数が大幅に増加した一方で、今回のレポートでは人員整理 (Retrenchment) の対象者数も増加していることが分かりました。
第3四半期の人員整理対象者数は4,800人となり、第2四半期の4,620人から増加しました。
ただし、従業員1,000人あたりの人員整理件数は2.0人で、第2四半期から変化していません。
MOMは、人員整理の主な要因として企業の事業再編 (Business Reorganisation) を挙げています。
また、海外市場向け産業 (製造業、情報通信、金融サービス) の一部では、引き続き人員整理の水準が高い状態にあると指摘しています。
このことからも、雇用の拡大はすべての企業や業界で一様に進んでいるわけではなく、事業環境の変化に応じて組織や人員体制の見直しが続いていることがうかがえます。
ここで注目したいのは、同じ業界の中でも、採用と人員整理が同時に発生する可能性があるという点です。
例えば、製造業全体では雇用が増加していても、企業によっては事業の見直しに伴って特定の職種で人員整理を行う一方、別の企業では新たな事業やプロジェクトに向けた採用を進めている場合があります。
エンジニアや半導体関連、銀行、デジタル分野などの専門職についても、業界全体の動向だけでなく、個々の企業がどのようなスキルを持つ人材を必要としているのかを確認することが大切です。
4. 企業が2027年の採用計画で意識したいこと
今回のレポートでは、企業の採用意欲に改善が見られました。
2026年9月時点で、今後3カ月以内に採用を予定している企業の割合は42.3%となり、8月の30.5%から上昇しました。
ただし、7月の水準には届いておらず、企業の採用意欲が一様に高まっているわけではありません。
また、今後3カ月以内に賃上げを予定している企業の割合も、8月の16.9%から、9月には19.9%へと上昇しています。
一方で、今後3カ月以内に人員整理を予定している企業の割合は、8月の2.8%から、9月には3.1%へとわずかに増加しました。
MOMは、世界経済の不確実性が続くなか、企業は採用や賃上げについて依然として慎重な姿勢を維持しているとの見解を示しています。
採用意欲には改善が見られるものの、今後の経済環境を見極めながら、人員体制を慎重に検討していることがうかがえます。
こうした動向を踏まえ、2027年の採用計画を考える際には、単に採用人数を増やすのではなく、事業にとって本当に必要なポジションやスキルを見極めることが重要です。
例えば、以下のような視点で採用計画を整理してみるとよいでしょう。
事業の遂行に不可欠なポジションを把握する
確定しているプロジェクトや事業計画を進めるうえで、どのような人材が必要なのかを整理します。
事業の成長に直結するポジションを優先的に検討することが重要です。
専門性や規制対応に関わるスキルを確認する
技術面や法規制への対応など、企業の事業運営に欠かせない専門知識・スキルを持つ人材が社内にいるかを確認します。
外部からの採用が必要なのか、既存社員の育成で対応できるのかも検討したいポイントです。
採用要件や給与条件を見直す
採用が難しい場合は、候補者が少ないと判断する前に、求人票の内容を見直すことも一つの方法です。
記載している応募条件はすべて入社時点で必須なのか、一部のスキルは入社後の研修や実務を通じて習得できないか、また、提示している給与は実際の職務内容に見合っているかなどを確認しましょう。
なお、採用したいポジションや業界に応じた給与水準を把握する際には、弊社の「Singapore Salary & Hiring Guide 2026/2027」もぜひ参考にしてください。
本ガイドでは、15の業界グループと5つの主要職種における給与データを掲載しています。
採用するポジションや業界の給与水準を確認し、専門性の高い人材や採用競争の激しいポジションについて、適切な報酬条件を検討する際にご活用いただけます。
※掲載されている給与水準は参考値であり、2026年第3四半期にすべての職種で給与が上昇したことを示すものではありません
5. 求職者が転職活動で押さえておきたいポイント
今回の雇用拡大は、シンガポールで転職を考えている方にとっても前向きなニュースと言えそうです。
一方で、2026年9月時点の失業率は全体で2.0%だったものの、居住者は3.0%、シンガポール国民は3.1%となり、いずれも8月からわずかに上昇しています。
つまり、雇用市場全体が拡大しているからといって、すべての求職者にとって転職活動が容易になっているわけではありません。
転職活動を進める際には、まず自分が希望する業界や職種で、どのようなスキルや経験が求められているのかを確認することが大切です。
また、外国人としてシンガポールで働く場合は、就労ビザの要件も転職先を検討するうえで重要なポイントとなります。
シンガポールの雇用市場全体の動きだけでなく、自身の経験やスキルがどのような企業・ポジションで求められているのかを把握しながら、転職活動を進めていきましょう。
6. 最後に
今回は、MOMが発表した2026年第3四半期の雇用市場速報をもとに、シンガポールの雇用動向と、企業・求職者が押さえておきたいポイントをご紹介しました。
2026年第3四半期は、雇用者数の増加幅が前期から拡大し、採用意欲にも回復の兆しが見られました。
一方で、業種によって雇用の動きには違いがあり、企業の採用や賃上げに対する姿勢も、引き続き慎重さがうかがえます。
MOMは今回のレポートの結論として、世界経済の不確実性や急速な技術変化に対応するため、企業には事業環境に合わせた変化と人材への投資が、労働者には自身のスキルを継続的に磨いていくことが求められるとしています。
今後もシンガポールの雇用市場は、さまざまな要因の影響を受けると考えられます。
最新の雇用統計や採用市場の変化を確認しながら、自社の採用戦略やキャリア形成に役立てていきましょう。
リーラコーエン シンガポールでは、最新の労働市場動向や採用市場の変化を踏まえ、企業様の採用活動から求職者様のキャリア形成まで、人材面から幅広くサポートしております。
シンガポールでの採用や転職についてご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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