5分でわかる、シンガポールメーデー演説 採用・人材戦略はどう変わるのか

こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。
2026年5月1日、ローレンス・ウォン首相は1,600人以上の労働組合関係者や政労使のパートナーに向けてメーデー演説を行いました。
シンガポールのメーデー演説は、その年の経済の見立てや企業への期待が同時に示される場として、大きな注目を集めています。
ウォン首相は、冒頭で国民を大きくねぎらうとともに、現在の環境を「新たな嵐が来ている」と表現しました。
今回は、メーデー演説の要点をお伝えするとともに、そこから読み取れるメッセージを採用・人材戦略の視点で整理してまいります。
【目次】
1.「2つの嵐」にどう向き合うか
2. 政府が企業に求める方向性とは
3. 採用市場は「止める」ではなく「見極める」フェーズへ
4. 今、企業が意識しておきたいこととは
5. 最後に
1.「2つの嵐」にどう向き合うか
演説の冒頭でウォン首相は、「一つ目の嵐がまだ収まらないうちに、もう一つのより大きな嵐が来ている」と述べました。
一つ目の嵐は、中東情勢によるエネルギーと供給網の混乱です。
ホルムズ海峡の閉鎖などの影響によるエネルギー価格と物流への影響が同国を含むアジア全体に出ているとし、今後のシンガポール経済にも波及が見込まれています。
結果として、成長の鈍化とインフレの上昇が同時に起こる、いわゆるスタグフレーション的なリスクを指摘しました。
また、この状況については「すぐには終わらない」とし、大きな懸念を示しました。
もう一つの嵐として触れたのが、AIによる産業構造の変化です。
ウォン首相は、多くの人が変化に不安を感じていることに言及しつつ、「AIによって仕事がなくなるのではなく、仕事の内容が変わっていく」と説明しました。
また、例としてGoogleの事例を挙げ、「AIによるコード生成の割合が、2年前の25%から現在は75%にまで拡大している」と紹介しました。
こうした変化は、業務の進め方や求められるスキルが大きく変わりつつあることを示しています。
これら2つの変化は、いずれも企業の採用・人材戦略に直接的な影響を与える要素と言えます。
2. 政府が企業に求める方向性とは
では具体的に、企業は何を求められているのでしょうか。
演説の中でウォン首相は、不確実性が高まる昨今、単に雇用を維持するだけでなく変化に対応できる人材を育てていく必要性があるとし、「企業も従業員を支える取り組みに積極的に関わってほしい」と呼びかけました。
スキル開発を支援する政府傘下のCTC (Company Training Committee) という仕組み (企業主導で人材育成を進めるための枠組み) についても触れ、すでに多くの企業が導入しており制度としても整備が進んでいることから、今回新たに「Tripartite Jobs Council (TJC)」の設立を発表しました。
これは、政府・企業・労働組合の三者が連携し、AI時代の人材育成と雇用を進めていく枠組みです。
さらに、今回の発表では、SkillsFuture SingaporeとWorkforce Singaporeの統合による新たな人材開発機関の構想も示されました。
これにより、企業が従業員のトレーニングや助成金を活用しやすい環境がより一層整備される見込みです。
3.採用市場は「止める」ではなく「見極める」フェーズへ
ウォン首相は、企業に対して単なるコスト削減ではなく従業員を支える姿勢の重要性を示しましたが、こうした環境の中で実際の採用市場はどうなっているのでしょうか。
人材開発省 (MOM) や弊社の調査データを見ると、足元では採用需要自体は大きく落ち込んでいるわけではありません。
一方で、企業の意思決定はより慎重になっており、増員よりも欠員補充を優先する傾向が見られています。
また、給与水準をめぐる企業と求職者のギャップも引き続き課題です。
求職者の期待が高まる中で、企業側のコスト意識とのバランスが採用の難易度を左右しています。
その一方で、すべての分野で採用が鈍化しているわけではありません。
コンプライアンスやエンジニアリング、金融領域などでは引き続き安定した需要があり、専門人材の確保は今後も重要なテーマとなりそうです。
4. 今、企業が意識しておきたいこととは
ウォン首相が示した通り、環境は確かに厳しさを増していますが、それと同時に人材育成や支援の仕組みはこれまで以上に整いつつあります。
こうした中で求められるのは、AIによる変化を前提とした人材戦略の見直しや、社内のスキル開発の強化です。
また、不確実性が高い環境だからこそ、報酬水準の適正化も重要なポイントです。
社内コミュニケーションを通じた安心感の醸成も、これまで以上に重要なテーマとなっています。
さらに、専門人材の採用についてはタイミングを見極めながら早めに動くことが結果に直結しやすい状況です。
5. 最後に
ウォン首相は演説の締めくくりに、これまでシンガポールが数々の危機を乗り越えてきた歴史に触れながら、「困難な時代であっても、私たちは互いに支え合い、乗り越えてきた」と振り返りました。
そして、これからの道のりは決して平坦ではないとしつつも、「どのような変化の中でも、誰一人取り残さない」という姿勢を改めて強調し、「これからも共に前に進んでいこう」というメッセージで演説を締めくくりました。
またウォン首相は、「政府はすべての労働者を守るが、すべての仕事を守ることはできない」とも述べています。
この言葉は、環境の変化に応じて、仕事やスキルのあり方が変わっていくことを示唆していると言えるでしょう。
企業にとっては、その変化にどう向き合うかが問われています。
不確実性の高い時代ではありますが、採用や人材戦略を一律に抑制するのではなく、自社にとって必要な領域に注力しながら柔軟に対応していくことが、これまで以上に重要になってきています。
本記事が、その整理の一助となれば幸いです。
なお、弊社では最新の市場データや実際の採用事例をもとに採用の進め方の見直しやポジションごとの難易度感、報酬水準の目安などを個別にご案内しています。
情報収集の一環としてでも構いませんので、気になる点があればお気軽にご相談くださいませ。
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