AI人材採用の落とし穴 変化する市場で見直すべき採用戦略とは

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

この度、弊社では、シンガポールのAI・ICT人材採用の最新動向をまとめたレポート「AI & ICT Talent Outlook 2026」を公開いたしました。

AI投資が加速する一方で、採用現場では「思うように人材が採れない」という声が増えています。

そこで本記事では、レポートの内容をもとに、その背景にある課題と見直すべきポイントを分かりやすくご紹介してまいります。


【目次】
1. AI需要の拡大と、採用の「難しさ」の正体とは
2. よくある採用のミスと、その見直しポイント
3. 最後に


1. AI需要の拡大と、採用の「難しさ」の正体とは

シンガポールにおけるAIへの取り組みは、年々加速しています。

今年2026年度には、National AI Councilの設立が発表され、議長には首相のローレンス・ウォン氏が就任。

さらに、National AI Strategy 2.0 (NAIS 2.0) のもと、2030年までに大規模な投資が予定されています。

こうした流れを受けて、企業のAI人材ニーズも急速に高まっているものの、人材の供給が追いついていないのが現状です。

特に、シニアクラスのAIエンジニアやデータサイエンティスト、サイバーセキュリティ人材は世界的に不足していると言われており、シンガポールの限られた人材市場ではその傾向がより顕著に表れています。

実際に、弊社が実施した調査でも、80.3%の採用ご担当者様が「候補者の給与期待の高さ」を最大の採用課題として挙げています。

ポジションが10〜16週間以上埋まらないケースも珍しくありません。

ただし、ここで重要なのは、AI人材採用の難しさは単なる人材不足だけが原因ではないという点です。

次からは、よくある採用のミスと、その見直しポイントについてご紹介してまいります。


2. よくある採用のミスと、その見直しポイント

「AIの専門家」にこだわりすぎている

まず1点目に挙げられるのが、多くの企業が、機械学習モデルの構築経験や高度な専門性を前提とした求人を出しているということ。

しかしながら、そのような人材は市場全体でもごく限られた存在です。

一方で、実際の業務を見ると、必ずしも高度な研究開発ではなく既存のAIツールを業務に活用するケースも多く見られます。

こうした背景から、最近では「AIの専門性」だけでなく、AIを業務で活かせるか (AI readiness) という視点が重要になっています。


給与水準が市場と合っていない

2点目に挙げられるのが、採用が長期化している企業の多くで見られる「給与設定と市場のズレ」です。

今年2026年の全体的な賃上げは緩やかと見られていますが、AI・テック領域では依然として高い水準が続いています。

例えば、シニアレベルのソフトウェアエンジニアは月給8,000〜15,000シンガポールドルが一つの目安となり、AI・機械学習領域ではさらに高い水準が求められます。

このレンジから外れている場合、応募が集まらず、結果的に採用期間が長期化する傾向があります。

実際、AIポジションで採用期間が6週間以上かかっている場合、給与設定やプロセスの見直しが必要なケースも少なくありません。


社内人材の可能性を見落としている

3点目が、社内の人材のポテンシャルの見落としです。

AI人材の不足が続く中で、外部採用だけに頼らない動きも重要になってきています。

多くの企業がAIスキルの育成を重要視している一方で、実際には外部採用を優先する傾向があります。

しかし、業務理解のある既存社員は、AI関連ポジションにおいて有力な候補者となるケースも多く見られます。

必要なのは、すべてを新しく採用することではなく、既存の人材にスキルを付加していく視点です。

結果として、採用コストの抑制だけでなく従業員の定着率の向上にもつながります。


求人票が理想像になりすぎている

どうしても優秀な人材を採用したいという想いが先行し、求人票に多くの条件を盛り込みすぎてしまうことで、本来マッチするはずの人材が応募を控えてしまうケースも見られます。

特にAI・ICT領域では、「すべての条件を満たす人材」は非常に限られているため、結果として応募母集団が狭まってしまいます。

まずは、そのポジションで達成したい成果を明確にし必要なスキルを見極めることが重要です。

要件を整理することで、より適切な人材と出会える可能性が高まります。


採用スピードが市場に合っていない

現在のAI人材市場では、優秀な候補者ほど複数のオファーを同時に検討しており、意思決定も非常に早い傾向があります。

そのため、選考に時間がかかりすぎると、条件面で劣っていなくても他社に決まってしまうケースが増えています。

一般的には、初回面接からオファーまでを3週間以内に収めることが一つの目安とされています。

採用プロセスのスピードは、企業の意思決定力そのものとして見られていると言えるでしょう。


3. 最後に

今回は、シンガポールにおけるAI人材採用の現状と、企業が陥りがちな課題、そして見直すべきポイントについてご紹介しました。

AI人材の採用は、単なる「人材不足」という一言では片付けられないフェーズに入っています。

むしろ今は、採用戦略の設計そのものが成果を大きく左右する段階と言えるでしょう。

・どのような人材を求めるのか
・市場に即した条件設定ができているか
・社内外のリソースをどう活用するか
・スピード感のある意思決定ができているか

こうした一つひとつの積み重ねが採用結果に直結していきます。

採用環境が変化し続ける中で、これまでの前提ややり方を見直すことが、これからの人材確保において重要なポイントとなります。

ぜひ、自社の採用戦略を見直すきっかけとして、本記事やレポートの内容をご活用いただければ幸いです。


\ レポートのご案内 /

今回ご紹介した内容の詳細や、最新の給与データ・採用トレンドについては、「AI & ICT Talent Outlook 2026」にてご覧いただけます。

シンガポールでのAI人材採用を見直す一助として、ぜひご活用ください。

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