【2025年第3四半期】速報版:シンガポール労働市場調査結果、予想を上回る堅調さ

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

先月10月30日、シンガポール人材開発省 (以降MOM) は2025年第3四半期のシンガポール労働市場調査結果の速報版を発表しました。

同レポートによると、雇用情勢は予想を上回る回復を見せ、全体的には「安定した労働市場」が維持されており、企業・労働者ともに前向きな兆しが見えました。

その一方で、海外需要の影響を受けやすい一部の業種では引き続き慎重な動きも見られています。

今回は、同レポートより要点をお届けいたします。


【目次】
1.雇用者数は回復基調に
2. 失業率は低水準を維持
3. 求人倍率は引き続き高水準
4. 解雇と再就職動向
5. 今後の見通し
6. 企業ができること
7. 働く人ができること
8. 最後に


1. 雇用者数は回復基調に

2025年第3四半期の総雇用者数 (ヘルパー含む) は前期比で24,800人の増加となり、前期 (10,400人増) や前年同期 (22,300人増) を上回る伸びを記録しました。

居住者・非居住者ともに増加が見られ、特に建設業や製造業では外国人労働者の雇用が引き続き拡大しています。

業種別に見ると、製造業での雇用は4〜6月期の約900人から5,400人へと大幅に増加し、約6倍の伸びを示しました。

建設業も5,800人から1万3,700人へと拡大し、2倍以上の増加となっています。

また、ヘルパーを含むサービス業では6,200人から10,300人へと約1.7倍に増加し、堅調な回復が見られました。


国民および永住資格保持者 (PR)の雇用については、世界経済の不透明感を背景に、情報通信業や専門サービス業での雇用が伸び悩みました。

卸売業でも同様に国民・PR雇用が減少しています。

その一方で、医療・社会サービス分野や金融サービス業では雇用が増加傾向にあり、安定した需要を反映しました。

外国人労働者の動向を見ると、建設業や製造業を中心にワークパーミット (WP) 保有者の採用が目立つ結果となりました。

MOMは、同レポートで今後について「第4四半期も雇用の増加は続くが、セクターによってばらつきが出る」との見解を示しました。


2. 失業率は低水準を維持

2025年9月時点での失業率は、外国人を含む全体で2.0%、国民・PRは2.8%、国民は3.0%と、前期とほぼ同水準でした。

MOMは、本着地は「非景気後退期 (non-recessionary range) 」内にとどまっており、引き続き安定した雇用環境が維持されていると分析しています。

求人数については全体的に堅調ですが、業種による格差が広がっています。

情報通信や専門サービスの一部では雇用が伸び悩む一方、金融、医療、製造など内需を中心とした分野では採用が活発です。


3. 求人倍率は引き続き高水準

企業の採用意欲も緩やかに回復しています。

MOMの調査によると、44.1%の企業が第4四半期に採用を予定していると回答しており、前期よりもやや改善しました。

これは、新年度に向けた人員補充や新規プロジェクトの始動を見据えた動きと見られています。

ただし、外需に左右される業界では慎重な姿勢が続いており、今後の世界経済の動向が注目されます。


4. 解雇と再就職動向

人員整理 (解雇) 件数は3,500件と、前期の3,540件とほぼ変わらず低水準を維持しています。

解雇の多くは「事業再編や組織変更」に伴うものとのことで、景気後退による大量解雇の兆しは見られませんでした。

その一方で、再就職率や転職活動の活発化が引き続き見られ、特に医療・金融・教育分野では中堅層のキャリア転換も進んでいます。

政府も、中途・再就職支援策を強化しており、推進するCareer Conversion Programme (CCP) やMid-Career Pathways Programmeなどを通じてスキルの再教育を後押ししています。


5. 今後の見通し

MOMの見解では、2025年第4四半期以降も雇用は引き続き前向きに推移する見込みです。

ただし、企業の19.3%のみが昇給を予定していると回答しており、賃金の上昇率は緩やかになりそうです。

このため、今後は「給与水準よりも働き方や成長機会の魅力」で人材を惹きつけ、人材市場を活性化することが求められそうです。

また、人材獲得の競争力が増す中で、労働力の増加が難しい中では、企業は生産性やオートメーションへの投資を強化する必要があると指摘されています。


6. 企業ができること

同レポートや今回の結果を踏まえ、企業として意識しておきたいポイントは次の4点です。

・人材戦略の再構築
採用計画を見直し、2026年に向けた重要ポジションの確保を早期に行う

・スキル開発への投資
政府が提供するプログラムCCP、PSG-JR、SkillsFuture Enterprise Creditなどを活用し、社員のスキル転換を促す

・柔軟な働き方の導入
職務再設計やテクノロジー導入で、生産性を高めながら人材の定着を図る

・業界を超えた柔軟な対応力
海外市場の影響を受けやすい業種では、事業の多角化や社員の複数業務習得を通じて、変化への対応力をつけることが大切です

MOMは、同レポートで「企業はコスト削減だけでなく、スキルと生産性への投資を通じて回復力を高めるべき」と強調しました。


7. 働く人ができること

働く個人にとっても、今回のレポートは「自分の市場価値を見直すタイミング」であると言えます。意識しておきたいポイントは以下の通りです。

・スキルアップを最優先に:Career Health SGやSkillsFuture Level-Upでスキル強化を図る

・成長産業への転換を視野に:特にシンガポールでは金融・医療・エンジニアリング・デジタル分野では採用ニーズが継続

・柔軟性と学び直しの姿勢を持つ:変化への適応力が今後のキャリアの鍵

・新卒・中途支援策の活用:政府が提供するGRITプログラムやJobseeker Supportで新しいチャンスを掴む


AI化や自動化が進むなかで、単なる「専門スキル」だけでなく、変化に対応できる柔軟なキャリア思考こそが、今後の競争力につながるといえるでしょう。


8. 最後に

今回は、先日発表されたシンガポール労働市場調査結果の要点をお届けいたしました。

同レポートによると、シンガポールの労働市場は堅調に推移しつつも、質的転換の段階にあることを示していると言えます。

雇用の安定と経済の回復基調が続く一方で、企業も個人も「スキル」「生産性」「柔軟性」を軸に次の時代に備えていくことが求められています。

レポート全文はMOMの公式ホームページをご参照ください。


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