シンガポールの公立小学校ってどんなところ? 入学・学費・学校生活について保護者に聞いてみた【前編】
こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。
シンガポールへ子連れで移住を考えたり、すでに当地で子育てをしたりしている方にとって、子どもの学校選びや学校生活は気になるテーマのひとつではないでしょうか。
日本とは異なる環境の中で、どんな学校に通い、どんな毎日を過ごしているのかー。
インターナショナルスクールや日本人学校については、実際に通っているご家庭も多く周囲から情報を得る機会も比較的あります。
一方で、ローカルの公立小学校となると「どんな学校なのか」「どんな毎日を過ごしているのか」など、身近なところではなかなか情報が得られず気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、シンガポールのローカル小学校にお子さんを通わせている弊社社員に、実際の学校生活についてアレコレ聞いてみました。
学校制度や入学の仕組み、学費、授業、1日の過ごし方、食事、放課後の過ごし方など、まずは知っておきたい基本情報から、実際に通わせてみて感じたことまで、前編・後編の2回に分けてたっぷりとご紹介いたします。
前編では、まずシンガポールの公立 (ローカル) 小学校について、学校生活の基本から見ていきます。
※本記事では、シンガポール教育省 (MOE) の制度・公式情報と、今回取材した社員の体験談を分けてご紹介いたします。学校によって運用が異なる場合もありますので、最新の情報はMOEや各学校の公式情報をご確認ください
【目次】
1. シンガポールの学校制度はどうなっている?
2. 授業は英語?「Mother Tongue」とは
3. 日本人でも公立小学校に入学できる?
4. 公立小学校の学費はどのくらい?
5. シンガポールの学校は1年に4学期
6. 朝7時30分からスタート?公立小学校の1日
7. 給食がない!シンガポールの学校の食事事情
8. 学校が終わったらどうする?Student Careという選択肢
9. 前編まとめ|制度を知ると、シンガポールの学校が少し身近に
1. シンガポールの学校制度はどうなっている?
まずは、シンガポールの学校制度から見てみましょう。シンガポールの公立学校では、Primary (小学校) 6年間の教育が基本となっています。
Primary 1 (P1) からPrimary 6 (P6) までの6年間で、英語、数学、Mother Tongue Languageなどを学びます。
科学 (Science) はPrimary 3から始まります。
日本では「小学校6年・中学校3年・高校3年」という6・3・3制がよく知られていますが、シンガポールの教育制度は日本とは少し異なります。
特に小学校卒業前後には、日本とは違う大きな節目があります。
それが、PSLE (Primary School Leaving Examination) です。
小学校卒業時の大きな節目「PSLE」
PSLEは、Primary 6の生徒が受験する全国的な試験です。
PSLEの結果は、Secondary (中等教育) への進学や、学習ペースに合った進路を考える際の重要な要素となります。
以前は、中等教育で「Express」「Normal」などの学術ストリームに分かれて学ぶ仕組みでしたが、現在は生徒一人ひとりの得意分野や学習状況に合わせて、科目ごとに異なるレベルの授業を選べる仕組み「Full Subject-Based Banding (Full SBB)」 に変化しています。
日本の「小学校を卒業したら、基本的に地域の中学校へ進学する」という感覚とは、少し違うと言えるでしょう。
今回お話を聞いた社員からも、シンガポールの学校生活ではこうした進学を意識する場面が早くからあるという話がありました。
【関連記事】【PSLE2026】シンガポールのPSLEとは?企業が知っておきたい、働く親へのFWAと人材定着
2. 授業は英語?「Mother Tongue」とは

シンガポールの学校教育を語るうえで、欠かせないのが英語とMother Tongue Language (母語) です。
シンガポールの学校では、英語が授業の基本的な言語となっています。
一方、英語と並んでMother Tongue Languageを学ぶことが同国のバイリンガル教育の大きな特徴です。
公式のMother Tongue Languageは、中国語、マレー語、タミル語の3つです。
そのため、日本人家庭にとっては、 「英語で授業を受けながら、さらに中国語なども勉強するの?」という点が気になるところ。
今回お話を伺ったご家庭でも、学校生活を通して中国語に触れる機会があり、言語だけでなく、シンガポールの文化を知るきっかけにもなっているそうです。
なお、Mother Tongueについては、生徒の背景や状況に応じて異なる取り扱いがあるため、外国人家庭の場合も「日本人なら必ず中国語」というように一律に考えないほうがよいでしょう。
入学を検討する際には、子どもの状況に応じた最新のMOEの案内を確認することをおすすめいたします。
3. 日本人でも公立小学校に入学できる?
では、日本人などの外国籍の子どもでも、シンガポールの公立小学校に入学できるのでしょうか。
答えはYES。
シンガポールのローカル小学校には、外国籍の子どもも通うことができます。
教育省 (MOE) が管轄する一般的な小学校 (mainstream primary schools) への入学を希望する場合は、国籍や在留資格に応じた手続きを行います。
ローカルスクールでP1をスタートするための入学手続きは、シンガポール国籍や永住権 (PR) を持つ子どもと、外国籍の子どもで方法や時期が異なります。
シンガポール国籍・永住権を持つ子どもは、いくつかの登録段階に分かれて希望する学校への入学を申請します。
一方、外国籍の子どもは、別の登録手続きを経て空き状況などに応じて入学先が決まります。
なお、P1からの入学ではなく、すでに小学校に通っている年齢でシンガポールのローカル小学校への編入を希望する場合も、別の手続きが必要です。
SC・PRと外国人では、登録方法が違う
シンガポール国籍 (SC) ・PRの子どもについては、P1登録が複数のフェーズに分かれています。
Phase 1では在籍する兄弟姉妹がいる子ども、Phase 2Aでは保護者や兄弟姉妹がその学校の卒業生である場合など、それぞれの条件に応じて登録できるフェーズが設定されています。
さらにPhase 2B、2C、2C Supplementaryと続きます。
つまり、日本の小学校入学とは異なり、兄弟姉妹の在籍や保護者の卒業歴などが、学校への登録時の優先順位に関係する仕組みになっています。
また、居住地から学校までの距離も優先順位や入学枠を考えるうえでの要素となり、応募者が定員を超えた場合には抽選が行われることも。
一方、外国人の子どもは、別の登録プロセスを取る形となります。
MOEの案内によると、外国人の子どもは、事前の手続きを経たうえでPhase 3でP1登録を行う流れです。
外国人の場合、希望する学校に必ず入学できるとは限らず、空き状況なども関係します。
詳しい条件や最新の登録スケジュールについては、MOEのP1 Registrationを確認しましょう。
4. 公立小学校の学費はどのくらい?
学校選びを考えるうえで、やはり気になるのが学費です。シンガポールの公立・政府支援校では、国籍・在留資格によって月額の学費が異なります。
2026年9月時点でのPrimary Schoolの場合、シンガポール国民は学校費が無料で、月S$13の雑費のみ。
PRは月S$330、ASEAN出身の外国人の子どもは月S$595、ASEAN以外の外国人の子どもは月S$1,035の学校費が設定されており、これとは別に全員共通で月S$13の雑費がかかります。
※2026年時点。学校費とは別に、制服、教材、食事、交通、CCA (課外活動) などに費用がかかる場合があります
今回取材したご家庭でも、「学費」は公立学校に通わせてよかったと感じる理由の一つとして挙げられていました。
ただし、「公立だからほとんどお金がかからない」と考えるのではなく、学校費以外の費用も含めて考えておくことが大切です。
5. シンガポールの学校は1年に4学期
シンガポールの学校は、1年を4つの学期 (Term) に分けて運営されています。
日本の学校と同じように長期休暇がありますが、休みのタイミングは少し異なります。
基本的には、
* Term 1:1月~3月
* Term 2:3月~5月
* Term 3:6月~9月
* Term 4:9月~11月
という流れで、Term 2とTerm 3の間にはMid-Year Break、年末にはEnd-of-Year Breakがあります。
日本の「春休み・夏休み・冬休み」とは時期が異なるため、シンガポールで子育てをする場合には、学校の年間カレンダーを早めに確認しておくと安心です。
また、学期や休暇の具体的な日程は年度によって異なるため、最新の日程はMOEのSchool Terms and Holidaysで確認しておくと良いでしょう。
6. 朝7時30分スタート?ローカル小学校の1日
では、実際の学校生活はどんなものなのでしょうか。
今回お話を伺ったご家庭では、朝7時30分頃から学校が始まり、13時30分頃に下校する生活だそうです。
日本の小学校と比べると、朝からかなりみっちり授業がある印象ですね!
授業は短い時間で区切られており、今回の取材では1コマ30分程度とのこと。
そして、意外だったのが「休み時間の少なさ」です。
日本の小学校では、授業の合間に10分程度の休み時間が入ることが一般的ですが、今回のお子さんが通う学校では、日本の学校のような長い休み時間はなく、Recess (リセス) など決められた時間に休憩を取ります。
気になる宿題のボリュームについては、「思っていたより多くない」というのが保護者の印象でした。
もちろん学校や学年によって違いはありますが、日本人学校などと比べて「宿題が多い」という印象ではなかったそうです。
教室にクーラーがないことも?
シンガポールの学校というと、「暑い国だから教室には当然エアコンがあるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
ところが、今回お話を伺った学校では、教室にエアコンはなく扇風機などで暑さに対応しているそうです。
もちろん、これは学校によって設備が異なるため、すべての公立学校に当てはまるものではありませんが、こうしたところにも日本とは違う学校環境を感じるかもしれません。
7. 「給食がない!」シンガポールの学校の食事事情
シンガポールのローカル小学校で保護者が驚きやすいポイントの一つが、日本のような「給食」がないこと。
今回お話を伺った学校では、学校内の売店 (キャンティーン) で食事や軽食を購入するそう。
メニューには、チキンライス、ラクサ、フィッシュボール、プラタ、串ものなど、シンガポールのホーカーでも見かけるような料理が並ぶそうです。
「学校の食堂で、シンガポールらしいものを食べる」。
日本の小学校とは、かなり雰囲気が違いますよね。
今回のご家庭では、学生証を使って購入することもできるそうです。
学校によって利用方法は異なりますが、子ども自身が学校で食事を購入する経験もユニークですね!
また、学校によっては、食事だけでなくスナックを取る時間もあります。
今回のお子さんの場合は、リセスとスナックタイムがあり、日本の「昼休み+給食」というスタイルとは少し違った学校生活になっているようです。
8. 学校が終わったらどうする?Student Careという選択肢
ここまで読んで、「でも、学校が13時30分に終わるなら、働いている親はどうするの?」と思った方もいるかもしれません。
そこで知っておきたいのが、Student Care Centre (学生向けの放課後ケア) の存在 です。
Student Careは、学校が終わった後の子どもたちを預かり、学習や生活面をサポートする施設です。
MOEも学校を拠点としたケアセンターを、放課後のケアや支援の一つとして位置づけています。
学校内にStudent Careが設置されているケースもありますが、すべての家庭が必ず利用できるとは限りません。
今回お話を伺ったご家庭でも、学校内のStudent Careは人数に限りがあるため、学校外の施設を利用する選択肢があるそうです。
例えば、ショッピングモールなどにあるStudent Careでは、学校までスタッフが子どもを迎えに来てくれるケースもあるよう。
施設によって内容は異なりますが、夕方まで子どもを預かってくれるため、フルタイムで働く保護者にとっては、学校と仕事を両立するうえで重要な選択肢の一つです。
※費用や預かり時間、送迎の有無、学習サポートの内容などは施設によって異なるため、学校選びと合わせて確認しておくとよいでしょう
9. 前編のまとめ
今回の前編では、シンガポールの公立小学校について、学校制度や入学の仕組み、学費、授業、学校での1日の過ごし方、食事、放課後の過ごし方など、まず知っておきたい基本的な情報をご紹介しました。
日本と共通する部分もありますが、
・英語を基本としたバイリンガル教育
・Mother Tongue Language
・PSLEという小学校卒業時の試験
・国籍や条件によって異なるP1登録
・日本とは異なる学費体系
・給食ではなくCanteenでの食事
・放課後のStudent Care
など、シンガポールならではの特徴もあります。一方で、実際に子どもを通わせてみると、制度や仕組みを知るだけでは分からない「学校の雰囲気」や「日本との違い」も見えてきます。
後編では、実際に公立学校へ子どもを通わせてみて感じたことをさらに詳しく聞いていきます。「学校の様子が思ったより見えない?」「日本の学校と比べて、先生との距離は?」「運動会はない?」、そして、実際に通わせてみて感じた「公立学校に通わせてよかったこと」とは?
保護者だからこそ分かる、シンガポールの公立小学校のリアル。ぜひ後半をお楽しみに!
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