【2025年第2四半期】シンガポール労働市場調査結果 確定版
こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。
今週、シンガポール人材開発省(以降MOM)は7月30日の速報版に続き、今年2025年第2四半期の労働市場調査結果の確定版をリリースしました。
前回の速報版では、世界経済の不透明感やテクノロジーの急速な進展といった逆風がある中でも、当地の労働市場は安定した失業率や解雇数から堅調さを示したとされた一方で、企業の採用意欲や賃上げ期待はやや後退し、外需依存型の分野では慎重姿勢が広がっていると示唆されていました。
今回は、改めて今週MOMが発表した「Labour Market Report Q2 2025(確定版)」をもとに、最終着地の数値とともに最新の労働市場動向をわかりやすくご紹介してまいります。
【目次】
1.雇用者数は回復基調に
2.失業率は低水準を維持
3.求人倍率は引き続き高水準
4.解雇と再就職動向
5.今後の見通し
6.企業ができること
7.労働者ができること
8. 最後に
1.雇用者数は回復基調に
2025年第2四半期の総雇用者数は最終1万400人の増加となり、第1四半期の鈍化から持ち直す結果となりました。
居住者雇用は引き続き拡大しており、特に医療や社会科学といった成長分野が大きな牽引役となっています。
一方で、非居住者雇用は建設作業員やバス・トラック運転手など、ワークパーミット保持者を通じて増加しました。
この動向からは、医療や社会サービスにおける人材需要が今後も続くことが読み取れます。
建設や物流分野では依然として外国人労働力に依存しているため、企業は長期的な人員計画を立てることが不可欠でしょう。
また、労働者にとっては、医療や社会科学の分野で専門性を高めるチャンスが広がる一方、その他の分野に従事する人材も今後の競争力を維持するためにリスキリングの必要性が増していると言えるでしょう。
2.失業率は低水準を維持
2025年6月時点での失業率の最終着地は全体で2.0%、居住者は2.8%、市民は2.9%となり、長期失業率も居住者で0.9%にとどまりました。
このような低い水準が維持されていることは、シンガポールの労働市場が引き続き強さを保っている証といえます。
一方で、外需に依存する専門サービスやICT分野ではやや減速の兆しが出ており、今後の動向を注視していく必要がありそうです。
3.求人倍率は引き続き高水準
2025年6月時点での求人数は最終7万6,900件となり、3月の8万1,100件から▲4,200件減少しました。
この影響で、求人率も3.2%から2.9%に低下しています。
しかし依然として全体の求人数は求職者数を上回っており、求人倍率は1.35と高水準を保っています。
採用需要は業種・職種によって堅調に推移している一方で、求職者にとっては、企業が求めるスキル要件に適合しなければ求人とのマッチングが難しく、専門性や即戦力性がこれまで以上に重視される状況となっています。
企業の採用意欲は維持されているものの、求める人材像は一層明確化し、「即戦力としての能力」や「実務適応力」がより重視される傾向が強まっていると言えます。
4.解雇と再就職動向
第2四半期の解雇者数の最終地は3,540人と、第1四半期の3,590人からわずかに減少しました。
解雇率は1,000人当たり1.4人にとどまり、全体としては低水準に抑えられました。
その一方で、再就職率は第1四半期の60.6%から56.3%へと低下し、特に非PMET層でその傾向が顕著に見られました。
また、短時間勤務や一時帰休を余儀なくされた労働者は620人でした。
解雇そのものは比較的少ないものの、再就職のスピードが鈍化していることは課題と言えるでしょう。
とりわけ非PMET層においては、新しい職種や業界への転換が容易ではなく、リスキリングやスキルアップを通じた再挑戦が浮き彫りになっています。
5.今後の見通し
シンガポールの2025年GDP成長率予測は1.5〜2.5%へと上方修正されましたが、年後半には成長の鈍化も予測されています。
そのため、多くの企業が賃上げを抑制し、採用においても慎重かつ選択的な姿勢を取るようになっている状況です。
労働市場の強靭性を維持できるかどうかは、企業が柔軟に仕事の設計を見直せるか、そして労働者がキャリアにおいて適応力を高められるかにかかっている状況と言えます。
6.企業ができること
MOMは、本レポートで政府の各種支援策を活用しつつ将来を見据えた人材投資を進めることが重要だと強調しました。
たとえば、Career Conversion ProgrammesやMid-Career Pathways、PSG-JR、SkillsFuture Enterprise Creditといった制度を取り入れることで、人材育成と組織の持続的成長を両立させることが可能です。
さらに、優秀な人材の確保と体系的なキャリアパスの設計に加え、必要に応じて短時間勤務制度を導入したり、生産性と連動した賃金体系を整備したりすることも、柔軟かつ持続可能な人材戦略の一環として求められています。
7.労働者ができること
労働者にとっては、キャリアのレジリエンスを高めることが課題となっています。
例えば、WSGのCareersFinderやSkillsFutureの研修プログラム、各種コーチング制度などを積極的に活用し、自身の市場価値を高めていくこと。
また、失業した場合には、最大6,000ドルを最長6か月間支給するSkillsFuture Jobseeker Supportといった制度(※シンガポール人限定)も活用できます。
加えて、医療、物流、デジタルサービスといった成長分野に目を向け、スキルの再構築を図ることが今後のキャリア形成に直結するでしょう。
8. 最後に
今回は、2025年第2四半期のシンガポール労働市場動向について詳しくお届けしました。
シンガポールの労働市場は依然として堅調さを保ちながらも変化の兆しを見せており、企業には仕事の再設計や人材育成が求められる一方、労働者には生涯学習を通じたキャリアの健全性維持が欠かせません。
弊社リーラコーエンでは、企業様と求職者様の橋渡し役として、最適な人材確保とキャリア形成をご支援しております。
採用をご検討中の企業様、あるいは新しいキャリアを模索されている求職者様も、ぜひお気軽にご相談ください。
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