シンガポール日系企業動向調査結果まとめ(2022年7月度)

こんにちは。

リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。

先日弊社では「45分でわかる、シンガポール日系企業の動向と採用マーケットの今」と題したウェビナーを実施しました。

ウェビナーの実施に先立ち、シンガポールでビジネスを行う日系企業様への直近の動向に関する調査を行い、ウェビナーではその結果もお届けしました。

そこで今回は改めて、アンケート結果のまとめをお届けいたします。

【目次】
1.アンケート対象と概要
2.新型コロナウイルスによる業績への影響・見通し
2-1.第3四半期(22年4月~6月)における新型コロナウイルスによる売上への影響の前年同期比について
2-2.2022年下半期(22年7月~12月)における新型コロナウイルスによる売上への影響の前年同期比について
2-3.2023年上半期(23年1月~6月)における新型コロナウイルスによる売上への影響の前年同期比について
2-4.今後3年スパンでのシンガポール経済の先行き予測について
3.人材採用の状況・見通し
3-1.現在の人材採用の状況について
3-2.今後1年間の採用計画について
3-3.採用を検討しているポジションについて:(人員を増やすと回答された方)
3-4.シンガポールでの人材採用に関して最も課題に感じることについて
3-5.その課題の原因について(上記の回答で課題を感じていると回答された方)
4. 最後に
 

1.アンケート対象と概要

在シンガポールの日系企業様130社に対し、新型コロナウイルスの影響による業績の予測変遷、そして直近の人材採用の見通しと課題についてお伺いしました。

幅広い業種の企業様よりご回答をいただきました。

ご回答いただいた方々にはこの場を借りてお礼申し上げます。


2.新型コロナウイルスによる業績への影響・見通し

それでは以下より実際の結果についてご紹介していきたいと思います。
 

2-1.第3四半期(22年4月~6月)における新型コロナウイルスによる売上への影響の前年同期比について

全体の約80%が“どちらでもない”または“プラスに影響” と回答しました。

約1年前に同様のご質問をお伺いした際の回答と比べ、顕著に改善傾向にあるという結果となりました。

実際にシンガポールでは国境制限や行動規制が緩和されたことにより、新型コロナウイルスに関する業績の影響は縮小傾向にあることが伺えます。

また、中でもプラスに影響すると回答した企業は、製造業・商社が半数以上を占める中、1年前の結果では影響を受けているとの回答が多かった建設、物流業における前向きな回答も増加傾向にありました。
 

2-2.2022年下半期(22年7月~12月)における新型コロナウイルスによる売上への影響の前年同期比について

こちらについても、1年前のアンケートと比較して“どちらでもない”または”プラスに影響”と回答した企業が67%から75%に増加しました。

一方でマイナスに影響と回答した企業は33%から25%と減少傾向にありますので、より業績の回復が進むと予測をしている企業が増えていることが分かります。
 

2-3.2023年上半期(23年1月~6月)における新型コロナウイルスによる売上への影響の前年同期比について

さらに来年の予測になると、1年前のアンケート(期間:2021年7月22日~8月12日)と比較して‘’どちらでもない‘’と’’プラスに影響’’と回答する企業の割合が71%から82%と増加しました。

また、マイナスに影響すると回答した企業もさらに28%から18%へ減少しています。

この結果から、2023年上半期にかけて、より多くの企業が回復を加速させる見通しであることが伺えます。

 

2-4.今後3年スパンでのシンガポール経済の先行き予測について

こちらは”緩やかに成長をする”と回答した企業が全体の55%(71社)で最多の結果となりました。

また、全体の75%で今後成長していくと前向きな回答が見られました。

これらの回答は商社・製造、建設業で多くを占めていました。

新型コロナウイルスの影響を受けたサービス業でも前向きな回答が多く見られました。


3.人材採用の状況・見通し

次に、人材採用に関する最新状況と見通しについての結果をご紹介します。


3-1.現在の人材採用の状況について

約63%の企業が”現在採用活動を行っている”または”最近採用活動が終了した”と回答しました。

実に2/3近い企業が採用活動中で、採用活動が活発になってきている状況が読み取れました。

一方で、採用を凍結している企業数にはあまり変化がなく、全体の12%→10%と微減した状況でした。
 

3-2.今後1年間の採用計画について

1年前のアンケートと比較し、ビジネスの回復に合わせて”人員を増やす”と回答した企業は34%から45%に増加しました。

その他、シンガポールでは欠員募集といった採用理由が多いため、半数以上の企業が“人員は現状維持”を選択し、欠員が出たら採用したいとの意向を示しました。

その一方で、3%の企業が“人員を減らしたい”と回答していました。

また、ビジネスの回復に合わせて今後1年で増員を計画している企業では約半数(52%)が1〜3名程度の採用を予定との回答が得られました。

 

3-3.採用を検討しているポジションについて:(人員を増やすと回答された方)

シンガポリアンコアの影響が大きく出た結果となり、最も多かったのがローカル業界経験者の現地人スタッフの採用でした。

一方で、1~2年前と比較すると業界未経験や新卒採用を希望するというケースが目立ち始めており、コロナ禍で主流だった業界経験者の厳選採用からポテンシャル採用が徐々に増えていることが見受けられます。

また、現地採用で日本人採用を検討していると回答した企業も20%近くに上りました。

今年4月以降、シンガポールと日本間の移動がコロナ禍と比較してスムーズになったことにより、弊社としても日本からの採用が以前より増えていることを感じています。
 

3-4.シンガポールでの人材採用に関して最も課題に感じることについて

全体の半数以上が(55%)母集団形成および母集団のマッチングに課題を感じていると回答し、最多の結果となりました。

弊社にもなかなか人が集まらない、または優秀な人材が見つからないといった声が多く寄せられております。

また、その他の課題としては“給与水準の高騰”や“ビザ取得手続きにおける課題”などの回答も一定数ありました。


3-5.その課題の原因について(上記の回答で課題を感じていると回答された方)

最多は“オファー時の給与や条件”、次いで“人事評価や報酬制度”が挙げられ、約40%の企業が条件面を課題と感じていることが分かりました。

昨今のインフレや売り手市場により、採用上の競合となるローカル企業や欧米の外資系企業も同じく採用に力を入れていることが背景として挙げられます。

また、1年前に弊社が東南アジアの求職者全体に行った調査で、「日系企業で働きたいか」という質問に対し「はい」と答えた割合がベトナムでは40%だったところ、シンガポールでは15%に留まっています。

原因としては前述のオファー時の条件面で欧米やローカル企業が選ばれてしまう、といったことが課題となっています。

オファー時の給与や条件、人事評価や報酬制度などはすぐに変えることは難しい要素ではありますが、適宜見直しを図りながらマーケットの水準に見合った改善をすることをおすすめいたします。


その他の課題としては、“専門スキルを持った人材が限られている”や“人材プールの縮小(コロナの影響により)”などが挙げられました。
 

4. 最後に

今回はシンガポールにおける日系企業動向調査結果についてお届けしました。

コロナ禍と比較し、ビジネスないしシンガポール経済について多くの前向きなご意見が得られた結果となりました。

弊社では今後もリアルタイムな情報をお届けするウェビナーを開催していく予定です。

詳細が決まりましたら改めてお知らせいたしますので、ぜひご期待頂ければ幸いです。

お困りのことや人材採用のご要望があれば、弊社の営業担当へお気軽にご相談くださいませ。
 

また、今回のウェビナー後半の動画は以下よりご視聴いただけます。ぜひ併せてご覧くださいませ。

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