高齢化するシンガポールの労働力 - 長く働くことが「新しいスタンダード」に

人事担当者向けコンテンツSeptember 24, 2025 09:00

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

高齢化社会が加速するシンガポールでは、政府が高齢者への様々なサポート施策を発表しています。

また、労働市場も然り、急速に高齢化が進む一方で労働力の維持のためにリスキリング施策や定年年齢の引き上げなど、多くの対応を取っていることが注目されています。

2022年に定年と再雇用年齢が引き上げられて以降、60歳を超えても働き続けるプロフェッショナルは増加。

今や「60歳以降の働き方」は企業にとっても労働者にとっても避けて通れない重要なテーマとなっています。

そこで今回は、シンガポールでの定年年齢のおさらいをしつつ、キャリア転換のあり方やその準備についてご紹介してまいります。

【関連記事】
シンガポールの定年年齢・再雇用年齢引き上げへ【2024年3月発表】

【目次】
1.おさらい:シンガポールの定年・再雇用年齢
2. 高齢者雇用が進む背景
3.ミドルからシニアへの キャリア転換の成功事例
4.シニア雇用がもたらす組織へのプラス効果
5.長く働き続けるためにできること
6.最後に


1.おさらい:シンガポールの定年・再雇用年齢

シンガポール政府は人口の寿命の延びと労働力の持続性を踏まえ、法定定年・再雇用年齢を段階的に引き上げています。

2025年現在、定年は63歳、再雇用は68歳まで。来年2026年7月には64歳となることがすでに発表されており、2030年までには定年65歳、再雇用70歳までへと引き上げられる予定です。

この制度改正により、多くの労働者が「定年=引退」ではなく、「定年=次のキャリアステージ」と捉えるようになっています。

企業には、条件を満たす従業員に対して再雇用の機会を提供する義務があり、実際に多くのシニアが自発的に働き続けています。

人材開発省(以降MOM)が2024年に発表した調査でも、65~69歳の居住者の労働参加率が60%を超えており、これは世界的に見ても高い水準と言えます。


2.高齢者雇用が進む背景

シンガポールでシニア層の就労が広がる背景にはいくつかの要因があります。

第一に、平均寿命が80歳を超える中で、長い人生を支えるために「働き続ける」という選択が自然なものになっているという点が挙げられます。

次に、人材不足が続く労働市場において、経験豊富な労働者は企業にとって貴重な存在であり、そのスキルや知見に対する需要が高まっている点です。

さらに、シンガポール政府による支援策が充実していることが大きいでしょう。

高齢者雇用助成金(Senior Employment Credit)をはじめ、SkillsFutureやProfessional Conversion Programmeといった再教育・キャリア転換支援制度が整備され、労働者も企業も安心して新しい働き方に取り組める環境が整っています。

これらの要因すべてが重なり合い、シニア層が安心して働き続けられる環境がシンガポールで着実に広がっていると言えるでしょう。


3.ミドルからシニアへの キャリア転換の成功事例

近年は「働き続ける」だけでなく、「新たなキャリアへ挑戦する」動きも広がっています。

たとえば、金融業界からサステナビリティ業界へと転身したケースや、ホスピタリティ業界から医療事務へと挑戦した事例など、40代・50代・60代で異業種に飛び込む人が増えています。

従来は「40代以降のキャリアチェンジは現実的ではない」と思われがちでしたが、実際にシンガポールでは多くの成功例が生まれています。

特にテクノロジー、ヘルスケア、サステナビリティといった成長産業では、これまでのキャリアの経験が豊富な中高年層が積極的に採用されており、再教育やスキル習得によって十分に競争力を持てることが証明されています。

政府のリスキリング支援や企業側の柔軟な採用姿勢、そして個人の変化を受け入れる意欲が重なり合い、キャリア転換は「最後の手段」ではなく「戦略的な選択肢」として確立されつつあります。


4.シニア雇用がもたらす組織へのプラス効果

このような動きに柔軟に対応することは、多くのメリットも期待できます。

まず、経験豊富な社員を雇用し続けることで、それらの知識やノウハウを次の世代へと受け継ぐことができます。

また、年齢や経験が異なるメンバーで構成される多世代のチームは、多角的な視点を生み出し、創造性や回復力の向上にもつながります。

さらに、様々な年齢層の社員が活躍する職場は、多様性を重視する若手人材にも魅力的に映り、企業ブランドの向上も期待できるでしょう。


5.長く働き続けるためにできること

一方で、40代・50代・60代の個人が自身のキャリアを持続させるためには、主体的に取り組む姿勢が求められます。

まず大切なのは、学び続ける姿勢を持つことです。

特にデジタル分野や新興産業におけるスキルは絶えず変化し、今後ますます需要が高まると予想されるため、継続的なスキルアップは欠かせません。

加えて、人脈を活かすことも重要であり、同僚や同窓、業界ネットワークを通じて新しい機会がもたらされることも少なくありません。


さらに、フルタイム勤務にこだわらず、パートタイムや契約社員といった柔軟な働き方を受け入れることで、キャリアをより長く続けられるでしょう。

そして、自身のリーダーシップ経験や問題解決力といった汎用的なスキルを言語化し、積極的にアピールすることも競争力を維持する上で有効です。


6.最後に

今回は、シンガポールにおける定年・再雇用年齢について、そしてシニアの雇用・活躍の道筋についてお届けしました。

日本でも「人生100年時代」を迎えており、シンガポールと同様に定年延長やシニア雇用が大きなテーマになっています。

現在、日本では多くの企業が65歳までの継続雇用制度を導入し、70歳まで働ける環境整備も進行しています。


ここで大切なのが、「高齢者の雇用=社会の持続可能性」という視点です。

シンガポールは政府主導、日本では企業や地域社会の工夫という差はありますが、いずれも学び直しやキャリア転換を支える仕組みを整えることで、社会全体の活力を維持しようとしていると言えます。

これにより、企業は経験豊富な人材の知見を活かし、個人は新たなキャリアに挑戦できる環境が広がっています。

長く、柔軟に働ける時代へー。

シニア人材の活躍は、社会と企業の両方に力を与え、労働市場をより多様でダイナミックなものにしていく期待が込められています。
 

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