【2025年版】シンガポールの住宅は本当に高い?HDBと住宅負担指数ランキング
こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
先日、住宅が中間所得層にとっての購入のしやすさを測る国際的指標、デモグラフィア国際住宅負担指数 (Demographia International Housing Affordability) 2025年版が発表され、シンガポールは8ヶ国・主要都市95市場の中で17位という結果になりました。
シンガポールの住宅事情と言えば価格の高さがイメージ先行しますが、この結果を意外に思われた方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、国際住宅負担指数から垣間見えるシンガポールならではの住宅事情、特に公営住宅であるHDBについてお届けしてまいります。
【目次】
1. 「デモグラフィア国際住宅負担指数」とは
2. シンガポール国民のホーム「HDB」
3. 家の値段とキャリアの関係
4. 最後に
1. 「デモグラフィア国際住宅負担指数」とは
デモグラフィア国際住宅負担指数レポートは、アメリカの都市政策コンサルタントのコックス氏が個人プロジェクトから始まり、現在では複数の研究機関や大学と連携して調査・発表されている権威あるレポートです。
オーストラリア、カナダ、中国 (香港)、アイルランド、ニュージーランド、シンガポール、英国、米国の8ヶ国の主要95都市を、中央値倍率 (住宅価格の中央値を世帯収入の中央値で割った価格対収入比)として知られる指標を使ってその住宅購入のしやすさを比較しています。
【住宅購入しやすい都市上位20】
1) Pittsburgh – アメリカ
2) Cleveland – アメリカ
3) St. Louis – アメリカ
4) Rochester – アメリカ
5) Edmonton – カナダ
5) Middlesbrough & Durham – イギリス
5) Oklahoma City – アメリカ
5) Omaha – アメリカ
9) Sheffield – イギリス
10) Cincinnati – アメリカ
10) Detroit – アメリカ
12) Buffalo – アメリカ
12) Louisville – アメリカ
12) Minneapolis–St. Paul – アメリカ
15) Indianapolis – アメリカ
15) Tulsa – アメリカ
17) Singapore – シンガポール
17) Kansas City – アメリカ
住宅購入しやすい(adffordable)との称号が与えられた上位20位のほとんどが広大な国土を有するアメリカの都市であることを考えると、都市国家であるシンガポールがランキングに食い込んでいる事実は驚嘆に値します。
これには、シンガポールが長年育んできた住宅政策が大きく関係しています。
2. シンガポール国民のホーム「HDB」
シンガポールの住宅事情について触れる時、欠かせないのはHDBの存在。
公営住宅ながら国民の約8割が暮らす、世界的にもレアな仕組みです。
Housing & Development Boardの冠文字をとってHDBの愛称で知られるこの公営住宅の歴史を辿ると、1960年に遡ります。
この頃はまだ不衛生なスラムや不法占拠地に住む人が多く、公共住宅に住んでいたのはたった9%!
こうした背景から公的な住宅を求める人々の声を受けて、1960年2月1日、住宅開発局(Housing & Development Board)が設立されました。
活動開始から3年足らずで21,000戸を建設したのを皮切りに、発足から10年で必要な供給数を確保、住宅危機を脱したという経緯があります。
HDBコミュニティはそれぞれの町で形成されており、現在27(24のTownと3つのestate)。
そのうち最大は約26万人もが暮らす、東部タンピネス!
各町の紹介(Housing & Development Boardより)
HDBの建物の構造はたいてい1階部分が通称ボイド・デッキ(Void Deck)と呼ばれるオープンスペースになっており、中にはホーカーやスーパーマーケット、クリニックや学習塾などが入って生活に密着していたり、憩いの場としてコミュニティ形成に貢献しています。
また国民の民族比率がHDB居住者の割り振りにも反映されており、一つ一つのHDBがまさにシンガポールの多様性を表す存在なのです!
ただし1960年からの歴史があるぶん、建物の老朽化も近年は課題となっています。
住民の高齢化も進んだぶん、特にエレベーターが設置されていない建物は住民にとって死活問題です。
2000年代からは、この問題が選挙での争点として白熱したこともあり、今では99%のHDBにエレベーターが設置されているのだとか。
一方で最近はコンドミニアムなど民間住宅に引けを取らないHDBも新たに登場してきており、中でもマリーナエリアにあるThe Pinnacle@Duxtonは世界で最も高額な公営住宅としても有名で、ここの50階は展望台として一般にも開放されています(入場料5SGD)。
このように、シンガポールを語るのに欠かせないHDBですが、一般的に公営住宅は低所得層を対象とした住宅システムであることを考えると、シンガポールは世界的にもレアな例と言えるでしょう。
参考ウェブサイト
Housing & Development Board
3. 家の値段とキャリアの関係
生涯で最も高い買い物である住宅。
この資金をどう捻出するか、という問題は一人ひとりの働き方やキャリアにも大きく関係してきます。
例えば住宅ローンや家賃が高額であるほど、人はリスクテイクよりも安定を、スタートアップ企業よりも大手企業を選びがちになり、ボーナスや昇進など条件が魅力的な会社を転職先に選びがちです。
これは、そのためにキャリアチェンジや、自身のやりたいことが後回しになってしまうという負の側面も意味します。
実際、2024年シンガポールは給与の伸び(インフレ調整後2.8%増)があったものの、人気エリアの住宅価格の高騰スピードには追いついていない事実があります。
ただ、今回発表のレポートにおいて17位という順位は、世界の主要都市と比較すればシンガポールは住宅事情が「悪くない」ことを示してもくれています。
HDB購入時の様々な助成金、年金(CPF)で住宅ローンを返済できるなど、シンガポール政府や国民の長年の努力によって現在の地位が保たれていると言えるでしょう。
HDB購入ができない外国人にとっては、コンドミニアムなどの賃貸はやはり大きな負担ではありますが…!
4. 最後に
ここまで、シンガポールの住宅は価格が高いながらも「購入可能」な範囲で長年供給してきた背景や人々の努力、またHDBに関する小ネタまでお届けしてまいりました。
限られたスペースを最大限、国民が安心して快適に暮らせるように設計が行き届いた公営住宅HDBの存在があってこそ、シンガポールは安定した国家運営を実現しています。
また、シンガポール人を雇用する企業にも、例えば福利厚生で家賃補助や引越しのサポートを組み入れる、長期的に給与が上がっていくキャリアプランの提示などが求められています。
単なる住宅のみならず、HDBはシンガポール人にとって故郷やコミュニティ、生活そのものの象徴のような存在でもあります。
時間がある時は、付近のHDBブロックを散歩してみてはいかがでしょう。
人々の暮らしを感じ、よりディープなシンガポール生活を堪能してみてください。
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