シンガポールの2025年人口レポートが明らかにする、労働力にまつわる10のポイント


こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

シンガポール統計局 (DOS) と国家人口人材局 (NPTD) が今年9月に発表した「Population in Brief 2025」はご覧になりましたか。

これは今後の人口構造の変化がシンガポールの労働力にどのような影響を与えるかを示す重要なデータです。

2025年6月時点で、シンガポールの総人口は611万人と、2024年比で1.2%増加。

主に外国人労働者やその扶養家族、留学生などの非居住者が増えたことを要因としていますが、企業や社会にとって、これらの数字が2026年以降の人材動向、人員計画、多様性戦略に大きく影響を与えていくものと思われます。

そこで今回は「Population in Brief 2025」に示されたデータを読み解いていきます。

それぞれのデータは労働市場にどのようなインパクトを与えていくのでしょうか。


【目次】
1. 人口概要10のポイントと、労働市場インサイト
2. HR・ビジネスリーダーが取るべき戦略的アクション
3. リーラコーエンのご支援について

 

1. 人口概要10のポイントと、労働市場インサイト

 

1) シンガポールの総人口は611万人に到達

シンガポールの総人口は2025年6月時点で611万人となり、2024年6月比では1.2%増加しました。

この増加は主に非居住者の人口の伸びによるものと説明されています。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
外国人材はシンガポールのビジネス継続と産業成長に不可欠な存在です。人材獲得や国境を越えた人材移動の戦略は常々アップデートしていく必要があります



2)  非居住者人口は191万人へ、2.7%増

非居住者人口は、2024年6月の186万人から2025年6月には191万人へと2.7%増加しました。

非居住者は総人口のほぼ3分の1を占める計算となります。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
外国籍社員のコンプライアンス、定着を強化する必要があります
 

 

3) 国民人口は0.7%増の366万人

シンガポール国民の増加ペースは鈍化してきています。

2021年: 350万人
2022年: 355万人
2023年: 361万人
2024年: 364万人
2025年: 366万人

一方、永住資格保持者 (PR) は約54万人、数は安定しています。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
ローカル人材の獲得競争が激化。リスキリングや社内異動の機会強化が求められます



4) 65歳以上の国民が20.7%に

2015年の13.1%から大幅上昇しています。

2030年までに国民の約4人に1人が65歳以上となる見込みです。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
多様な年代構成の組織づくり、段階的なリタイア制度、シニアのメンタープログラムがより重視される社会に!



5) 国民の年齢中央値は43.7歳

2015年は40.7歳、2020年は42.2歳と、毎年0.3歳程度増加しており、労働力の成熟の進行を示しています。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
企業は生産性維持のため、継続学習とテクノロジー活用を強化する必要があります



6️) 若年層減少による労働供給の圧力

過去数十年にわたり低下を続けてきている出生率は2024年に0.97となり、2023年からは変化がありませんでした。

労働年齢である20〜64歳層の減少によって労働市場のひっ迫が予想されます。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
自動化、スキルアップ、柔軟な人員配置で生産体制を維持する必要性を示唆しています



7) 結婚・出生トレンドは低調

2024年の出生数は29,237人と、2023年の28,877人より1.2%とわずかに増加しています。

ただ2015〜2019年の出生数平均は32,900人でしたが、2020〜2024年は30,400人となっており、出生数の低下トレンドに変わりはありません。

一方で結婚件数は5.7%減でした (2023年は24,355件、2024年は22,955件) 。


【労働市場にもたらす影響と示唆】
 これら社会的要因は福利厚生、ワークライフバランス、育児・介護支援制度の拡充に影響していきます
 



8) 外国人労働者増は建設・住宅プロジェクトが牽引

総人口の増加は、チャンギ空港第5ターミナルや住宅供給拡大といったインフラプロジェクトを支える建設分野の労働許可証 (ワーク・パーミット) 保持者数の増加が主な要因とされています。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
技術職、物流、専門職人材への需要は引き続き強い状態にあります



9) 80歳以上の市民は2015年比で60%増

シンガポールでは法定退職年齢は63歳 (2025年12月時点) 。

これを2026年7月からは法定定年を64歳とする予定で、政府は2030年までに「定年65歳、再雇用70歳」とすることを発表しています。

人口の高齢化や平均寿命の伸びを背景に、「高齢層も働き続けられる制度」を整備する流れにあります。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
再雇用制度や柔軟なシニア活用は、持続可能な労働力に不可欠に



10) 5年間の人口成長率は1.5%に改善

日本と同様に人口減社会であるシンガポールですが、過去5年 (2020-2025年) で見ると年間人口増加率は1.5%となっており、その前の5年間 (2015-2020年) の0.5%を上回っています。

外国人人材の誘致によって、人口減を補っている形です。

【労働市場にもたらす影響と示唆】
シンガポールの労働力構成として今後ますます、現地人材と外国人材をどれだけ公平かつ将来を見据えた仕組みの中で統合できるかに左右されていきます



2. HR・ビジネスリーダーが取るべき戦略的アクション



人口構造の変化が加速し、労働市場の多様化が進むシンガポール。

社会の変容に合わせて、シンガポール企業の人材戦略にも従来以上の柔軟性と先見性が求められています。

こうした環境の中で、人事やビジネスリーダーが押さえておくべきポイントは多岐にわたります。

まず、伸び悩む国内労働力を補うために、社内でのキャリア異動の機会やリスキリングへの投資がより重要になります。

高齢労働者の経験や指導力を活かすためには年齢に配慮した人事制度設計も必要となり、多様・多層化する労働力構成にも対応するため福利厚生の見直しも求められるでしょう。


さらに、ローカル人材と外国人材が混在するチームが増える中で、組織として異文化理解力を高めることが不可欠となります。

特に製造、医療、物流、インフラといった人材需要の高い分野の業種では、採用戦略の最適化が喫緊です。

また、中小企業においては、労働力の現状把握、採用ブランド力の強化、リスキリング投資により、ローカル・外国人の双方から選ばれる組織を目指すことが活路になると思われます。

 


3. リーラコーエンのご支援について

人材紹介エージェントReeracoen Singaporeでは、こうした人口動態の変化を踏まえ、クライアント企業様が実効性のある人材戦略へと結びつけられるようご支援しております。

人口構造や業界動向にもとづく労働力分析を行い、各企業様の課題に沿った採用や配置の方向性のご提案、また外国人材の採用やオンボーディングに関する戦略の策定もお手伝いしております。

私たちは、データとエンパシー (共感)、そしてインクルージョン (多様性の尊重) を大切にしながら、企業様が将来にわたって強い組織を築けるよう、伴走型でサポートすることを目指しております。


2026年以降も変化を続けるシンガポールの環境の中で、人材に関するご相談やお悩みごとを気軽にお声がけいただける存在でありたいと、社員一同願っております。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 

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