【2025年第3四半期】徹底解説!シンガポール労働市場調査結果

こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当です。
シンガポール人材開発省 (以降MOM) は、先日の速報版に引き続き、2025年12月11日に「2025年第3四半期労働市場調査結果」の最終着地値を発表しました。
そこで今回は、MOMが発表したデータとともに、当地の最新の雇用動向と今後の見通しを分かりやすく解説してまいります。
【目次】
1. 回復基調が鮮明に 一方で2026年に向けた慎重姿勢も
2. 雇用者数の増加はどの分野で増えたのか
3. 失業率は引き続き低水準 PME人材の需給はタイト
4. 求人数はやや減少も、専門人材ニーズは継続
5. 解雇は低水準 人材を手放さない企業の工夫
6. GDP成長率は上方修正 ただし外部リスクは継続
7. 企業が今、取り組むべきポイント
8. 働く人・求職者が意識したいこと
9. 最後に
1. 回復基調が鮮明に 一方で2026年に向けた慎重姿勢も
今年2025年前半は、世界経済の先行き不透明感を背景に、雇用市場はやや足踏み状態が続いていました。
ただ、第3四半期に入り雇用情勢は明確な回復傾向を示しています。
雇用者数は前四半期の2倍以上となる+25,100人増となり、失業率も全体で2.0%と低水準を維持しました。
また、専門職・管理職 (Professionals, Managers and Executives) を中心とした人材需要は引き続き底堅く、企業による解雇も低水準に抑えられた状況です。
このことから、雇用環境は全体として安定感を取り戻しつつあることがうかがえます。
一方で、企業の多くは来年2026年を見据え、採用人数や賃金水準、事業拡大については慎重な姿勢を強めています。
足元では回復の兆しが見えるものの、先行きに対しては慎重に舵を切るという「回復と慎重さが同時に存在する状況」が、現在のシンガポールの労働市場を特徴づけていると言えるでしょう。
2. 雇用者数の増加はどの分野で増えたのか
2025年第2四半期の+10,400人から大きな伸びを見せた第3四半期の雇用者数。どの分野での増加となったのでしょうか。
以下に内訳を詳しく見ていきましょう。
ローカル人材 (居住者) については、金融・保険サービスや医療・社会福祉分野が成長を牽引しており、専門性の高い分野を中心に雇用が拡大しています。
一方、外国人労働者 (非居住者) では、建設業や製造業での増加が目立ち、インフラ整備や産業基盤を支える分野で人材需要が高まっていることが顕著になりました。
このように、金融・医療といった知識集約型産業の強化と、建設・製造といった実体経済を支える分野の拡大が同時に進んでいる点は、シンガポールが中長期的な競争力を見据え、バランスの取れた産業構造転換を進めていることを示しています。
3. 失業率は引き続き低水準 PME人材の需給はタイト
2025年9月時点の失業率は、全体で2.0%、居住者では2.8%、シンガポール国籍者は3.1%、長期失業率は0.9%と、安定した水準で着地しました。
この数値からは、シンガポールの雇用市場は依然として引き締まっていることがわかります。
また、さらに注目すべき点は、求人倍率 (求人数÷求職者数) が1.49まで上昇した点です。
求職者1人に対して1.49件の求人がある状態であり、特に専門職・管理職 (PME) を中心に、依然として人手不足が続いていることがわかります。
4.求人数はやや減少も、専門人材ニーズは継続
全体の求人数は2025年6月の76,900件から、9月には69,200件へとやや減少しました。
一方で、本レポートによると、テクノロジー、エンジニアリング、金融、医療・ヘルスケア、そして管理職・オペレーションリーダーといった分野における専門職・管理職 (PME) の求人は引き続き堅調に推移しているとされています。
企業側にとっては「採用数は抑えつつも、必要なスキル人材は引き続き確保しなければならない」状況であり、求職者側にとってはスキルアップが最大の武器になる局面と言えるでしょう。
5. 解雇は低水準 人材を手放さない企業の工夫
3Q2025における解雇者数は3,670人と、従業員1,000人あたり1.6人という低水準にとどまりました。
特徴的なのは、企業が人員削減の代わりに短時間勤務制度 (ショートワークウィーク) や一時的なレイオフといった柔軟な制度を活用する動きが増えている点です。
こうした制度を利用した労働者は3Qで800人と、前四半期の620人から増加しているそう。
これは景気回復後の再採用コストを見据え、できる限り人材を社内に留めたいという企業の意図が反映された動きと考えられます。
一方で、解雇後6か月以内に再就職できた居住者の割合は55.4%と前期からわずかに低下しており、今後も雇用環境には注視していくことが求められます。
6. GDP成長率は上方修正 ただし外部リスクは継続
マクロ経済面では、シンガポール貿易産業省 (MTI) が2025年のGDP成長率見通しを約4.0%へ上方修正しました。
これは3Q2025の好調な経済パフォーマンスを反映したものです。
一方で、製造業、物流、テクノロジーなどの外需依存型産業では、引き続き世界経済の影響を受けやすく、採用計画を慎重に進めたり、賃金引き上げを抑制したり、将来的な人員整理を検討する企業も増加傾向にあります。
7. 企業が今、取り組むべきポイント
こうした環境下で企業に求められるのは、「採用」だけに頼らない人材戦略です。
シンガポール政府は既存人材の育成や職務転換を支援する制度を強化しており、例えばキャリア転換プログラム (CCP) や職務再設計向け補助金 (PSG-JR) 、2026年に上乗せされるSkillsFuture Enterprise Creditなどを活用することで、長期的な人材基盤を強化することが可能です。
また、PME人材の獲得競争が続く中では、企業のビジョンや成長機会、柔軟な働き方といった雇用価値 (Employer Value Proposition) を明確に示すことも重要になるでしょう。
賃金については、市場水準を正確に把握し、過度なコスト増を避けつつ競争力を維持するバランス感覚が求められます。
8. 働く人・求職者が意識したいこと
働くビジネスパーソンにとっては、今後もスキルが最大の差別化要因となることが予想されます。
特にAIやデジタル分野、サステナビリティ、部門横断的な業務経験などを意識した学び直しは、キャリアの安定性向上が期待できるでしょう。
シンガポール国籍の方を対象に政府が提供するSkillsFuture Jobseeker SupportやWSGのキャリアコーチングなどの支援制度、また新卒の方にとってはGRIT (Graduate Industry Traineeship) 制度などを積極活用していくことも後のキャリア形成やスムーズな就職活動において大きな助けとなるでしょう。
9. 最後に
今回は、MOMが発表した2025年第3四半期の労働市場調査結果の内容を詳しくご紹介してまいりました。
シンガポールの労働市場は回復しつつも、先行きには慎重さが求められる状況であること。
また、雇用は増加し、失業率も低水準を維持する一方で、求人数の減少や賃金・採用への慎重姿勢といった変化も見られる状況です。
企業にとっては、必要な人材を確保しつつ賢く戦略を立てることが求められ、働く方にとってもスキルのアップデートや制度活用が、将来のキャリアの安定につながります。
変化の多い状況だからこそ、焦らず、自分や自社に合った柔軟な対応を意識することが大切です。
人材採用のご相談、またはシンガポール転職のご相談はお気軽に弊社までご相談くださいませ。
また、本レポートについてより詳しくお知りになりたい方はMOMの公式サイトをご参照ください。
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