シンガポール就職前に知っておきたい「Racial Harmony Day」と公平な採用制度

こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。
毎年7月21日は、シンガポールで「Racial Harmony Day」として知られる記念日です。
学校教育の一環として、多民族・多文化社会への理解を深める日として広く知られていますが、その背景にある考え方は教育現場だけでなく企業や職場にも深く根付いています。
近年では、採用や昇進などにおける公平性をより一層高めるため「Workplace Fairness Act (職場公平法) 」の整備も進められています。
これは、外国人を含むすべての求職者にとって重要な制度となっています。
そこで今回は、これからシンガポールで働きたいとお考えの方に向けて、「Racial Harmony Day」の成り立ちと、知っておきたい採用制度についてご紹介いたします。
【目次】
1.「Racial Harmony Day」はなぜ設けられたの?
2.シンガポールでは「公平な採用」が法律で守られる時代へ
3.シンガポールで就職活動をするときに確認したいポイント
4. 就労ビザ取得予定の方が知っておきたい「Fair Consideration Framework」
5. 不公平な対応を受けたと感じた場合は?
6. 最後に
1.「Racial Harmony Day」はなぜ設けられたの?
「Racial Harmony Day」は、1964年7月21日にシンガポールで発生した人種間暴動を教訓として制定された記念日です。
当時、イスラム教の預言者ムハンマドの誕生日を祝う行列の最中に人種間の衝突が発生し、暴動へと発展しました。
この出来事では23人が亡くなり、454人が負傷。
事態を収束させるため、シンガポール全土で外出禁止令 (カーフュー) が発令されるなど社会に大きな影響を与えました。
この歴史を風化させないため、シンガポール教育省 (Ministry of Education) は1997年に「Racial Harmony Day」を制定しました。
現在では毎年7月21日に学校でさまざまな教育活動が行われ、生徒たちは民族衣装を着たり、多様な文化や宗教について学んだりしながら、「異なる背景を持つ人々と共に生きること」の大切さを学んでいます。
一見すると学校行事のように思えますが、その理念は社会全体にも受け継がれています。
多民族国家であるシンガポールでは、多様性を尊重し、誰もが公平に活躍できる環境づくりが重要な価値観の一つとなっており、その考え方は職場にも反映されています。
2. シンガポールでは「公平な採用」が法律で守られる時代へ
こうした考え方を制度として支えるのが、「Workplace Fairness Act (職場公平法) 」です。
この法律は2025年に議会で可決され、2027年末までに全面施行される予定となっています。
Workplace Fairness Actでは、以下の5つの属性について採用・評価・研修・昇進・解雇などの場面で不利益な扱いをすることが禁止されます。
・年齢
・国籍
・性別・婚姻状況・妊娠・育児・介護
・人種・宗教・言語
・障がい・精神的健康状態
企業は応募者の能力や経験、適性を基準に採用を行うことが求められ、これまで以上に公平で透明性の高い採用活動が期待されています。
法律が施行されるのがまだ先だから、今時点では関係がないと思う方もいるかもしれません。
しかし、現在もTAFEP (Tripartite Alliance for Fair and Progressive Employment Practices) が定める「Tripartite Guidelines on Fair Employment Practices」に基づき、公平な採用は企業に求められています。
また、このガイドラインに違反した企業に対しては人材採用に関する行政上の措置が取られる場合もあり、シンガポール人・外国人を問わず公平な採用活動を行うことが企業の基本姿勢となっています。
3. シンガポールで就職活動をするときに確認したいポイント
公平な採用に関する制度が整備されているからこそ、シンガポールで働くことを検討している求職者自身も企業の採用姿勢や職場環境に目を向けることが大切です。
シンガポールで就職活動をする際は、給与や仕事内容だけでなく、次のような点も企業選びの参考にしてみましょう。
・求人票の内容が具体的か
仕事内容と関係のない応募条件が記載されていないか確認しましょう。
例えば、業務内容と直接関係のない言語能力などが求められている場合には、その理由を確認してみるのも一つの方法です
・面接を通じて職場の雰囲気を知る
面接は企業が応募者を見る場であると同時に、応募者が企業を知る機会でもあります。
面接官とのやり取りや職場の雰囲気、多様なバックグラウンドを持つ社員が自然に活躍している様子などは、その企業のカルチャーを知るヒントになるでしょう
・相談・苦情対応の仕組みが整っているか
Workplace Fairness Actでは、企業に苦情対応の仕組みを整備することも求められる予定です。
現時点ですでに相談窓口や社内制度が整っている企業であれば、安心して働ける環境づくりに積極的に取り組んでいる企業とも読み取れます
5. 就労ビザ取得予定の方が知っておきたい「Fair Consideration Framework」
シンガポールで外国人が働く場合、多くの方はEmployment Pass (EP) またはS Passを取得します。
主にこれらの就労ビザで採用を行う企業は、「Fair Consideration Framework」に基づき、求人を政府の求人サイト「MyCareersFuture」に一定期間掲載し、公平な採用活動を行うことが求められています。
これは、シンガポール国内の求職者にも応募機会を提供したうえで、企業が能力や適性を総合的に判断して採用を行うための制度です。
Employment PassやS Passを求めて就職活動を行う方にとっても、透明性の高い採用プロセスが整備されていることを知っておくと安心です。
6. 不公平な対応を受けたと感じた場合は?
万が一、就職活動中に不公平な対応を受けたと感じた場合には、まず企業の相談窓口や苦情処理制度があれば、そこで相談することが推奨されています。
それでも解決しない場合は、TAFEPへ相談することが可能です。
必要に応じて調査や調停などの手続きが行われる仕組みも整備されています。
7. 最後に
今回は、Racial Harmony Dayの成り立ちから企業選びのポイントまで詳しくご紹介いたしました。
毎年7月21日のシンガポールの「Racial Harmony Day」は、学校で行われる記念日というイメージが強いかもしれません。
しかし、その背景には多民族・多文化国家であるシンガポールが築いてきた「誰もが公平に活躍できる社会を目指す」という考え方があります。
現在では、その理念は採用制度や労働法にも反映されつつあり、海外からシンガポールで働く人にとっても大切な制度となっています。
これからシンガポールでの就職を目指す方は、給与や仕事内容だけでなく「公平な採用を実践している企業か」「安心して働ける環境が整っているか」という視点も企業選びの一つの基準として取り入れてみてはいかがでしょうか。
ご不明な点や不安な点がありましたら、お気軽に弊社のキャリアコンサルタントまでご相談ください。
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