シンガポールの家計事情をのぞき見!平均世帯収入・支出・住宅費など解説

こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
「シンガポールは物価が高い」というイメージは、当地の在住者はもちろん、シンガポール国外に住む方にも定着しているのではないでしょうか。
実際にシンガポールで生活していると、住居費や食費、教育費など、生活コストの高さを感じる場面も少なくありません。
では、シンガポールで暮らす家庭は、実際にどのくらいの収入があり、毎月どのくらいのお金を使っているのでしょうか。
今回は、シンガポール統計局 (Singapore Department of Statistics) が公表している統計情報をもとに、シンガポールの家庭の「収入」と「支出」を見ていきます。
※本記事では2025年の最新データを中心に紹介しています。家計支出については、シンガポール統計局が公表している最新の「Household Expenditure Survey」が2023年調査のため、支出項目には2023年のデータを使用しています
※金額はすべてシンガポールドル (SGD) で表記しています
【 目次 】
1. シンガポールの世帯収入はどのくらい?
2. 世帯員1人当たりの収入は?
3. シンガポールの平均的な世帯人数は?
4. シンガポールの家庭は毎月いくら使っている?
5. シンガポールの「家計」を数字で見ると
6. 最後に
1. シンガポールの世帯収入はどのくらい?

まず気になるのが、シンガポールで暮らす家庭は、実際にどのくらいの収入を得ているのかという点です。
シンガポール統計局によると、2025年の居住世帯の月間世帯収入の中央値は12,446 SGDでした。
「中央値」とは、世帯を収入の低い順から高い順に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する世帯の収入を指します。
つまり、2025年はシンガポールの居住世帯の半数が月12,446 SGDを上回る収入を得ており、もう半数は12,446 SGDを下回っていたことになります。
2024年の11,558 SGDと比べると、2025年は7.7%増加しています。
ここで押さえておきたいのが、「平均値」と「中央値」の違いです。
平均値は、一部の非常に所得が高い世帯があると、全体の数値が引き上げられることがあります。
そのため、「一般的な家庭の収入」をイメージする場合には、中央値のほうが実態を捉えやすい場合があります。
今回の記事では、シンガポールの一般的な家庭の収入をイメージしやすくするため、2025年の中央値を中心に見ていきます。
※ここでいう「世帯収入」は、シンガポール統計局が「Household Market Income」として定義する所得を指します。雇用による所得だけでなく、投資や賃貸などによる所得も含まれ、政府による給付や税金を反映する前の金額です
2. 世帯員1人当たりの収入は?

「世帯収入」だけでは、家族の人数によって生活水準が大きく変わります。
そこで参考になるのが、世帯員1人当たりの所得です。
2025年の居住世帯の月間世帯収入 (市場所得) の中央値は、世帯員1人当たり4,160 SGDでした。
2024年の3,837 SGDからは、8.4%増加しています。
これは「シンガポールで働く1人の平均給与が4,160 SGD」という意味ではなく、あくまで世帯収入 (市場所得) を世帯人数で割った数字です。
3. シンガポールの平均的な世帯人数は?
2025年のシンガポールの居住世帯数は約148.7万世帯。
平均世帯人数は3.06人でした。
つまり、シンガポールでは「夫婦+子ども」といった家族世帯だけでなく、単身世帯や夫婦のみの世帯なども含めると、1世帯あたり約3人というのが現在の平均的な規模です。
なお、世帯人数は住宅タイプによっても違います。
2024年のデータでは、
・HDB 1・2ルーム: 1.92人
・HDB 3ルーム: 2.45人
・HDB 4ルーム: 3.18人
・HDB 5ルーム・Executive: 3.56人
・コンドミニアム等: 3.14人
・戸建て住宅: 4.13人
となっています。
住宅の広さだけでなく、「どのような世帯が住んでいるか」にも違いがあることが分かります。
4. シンガポールの家庭は毎月いくら使っている?

ここからは支出を見てみます。
シンガポール統計局が公表する最新の家計支出統計「Household Expenditure Survey 2023」によると、2023年の平均月間世帯支出は5,931 SGDでした。
前回統計2017 / 2018年の5,163 SGDから、年平均2.8%のペースで増加しています。
世帯員1人当たりでは、月1,986 SGDです。
では、この5,931 SGDを何に使っているのでしょうか…?
最も大きな支出は「住宅」
2023年の平均月間世帯支出を項目別に見ると、最も大きいのが住宅・住宅関連費です。

特に目を引くのが、住宅関連の支出です。
2023年の平均は月2,122 SGDで、平均月間世帯支出5,931 SGDの約3割を占めています。
ただ注意したいのは、この金額が「毎月支払う家賃」そのものではないという点です。
この統計上の「住宅・住宅関連」には、住宅の光熱費や家具・家電、住宅の維持管理など、家賃以外の住宅関連の支出も含まれています。
また、シンガポール統計局では、持ち家に住む世帯について、実際には支払っていない「帰属家賃 (imputed rent) 」という住宅サービスの価値も別途算出しています。
そのため「シンガポールの家庭は平均して毎月2,122 SGDの家賃を払っている」という意味ではありません。
住宅費を見る際は、実際に支払っている家賃だけでなく、統計上どのような項目が含まれているのかにも注意する必要があります。
食費は月1,422 SGD
住宅に次いで大きな支出が食費・外食などです。
2023年の平均は月1,422 SGD。
その主な内訳を見ると、
・食料品・ノンアルコール飲料: 456 SGD
・ホーカーセンター、フードコート、コーヒーショップなど: 491 SGD
・レストラン・カフェ・パブなど: 403 SGD
となっています。
シンガポールには「外食文化」が根付いているため、食費というとスーパーなどで購入する食材だけを想像しがちですが、外食関連の支出も大きな割合を占めています。
交通費は月951 SGD
交通費は平均で月951 SGDです。
そのうち主な内訳は、
・自家用車などの道路交通: 678 SGD
・公共交通: 174 SGD
・航空旅客輸送: 93 SGD
となっています。
シンガポールは公共交通機関が発達している一方、自家用車を所有する世帯では交通関連費が大きくなります。
教育費は月404 SGD、医療費は月474 SGD
教育費は平均、月404 SGD。
そのうち、主な項目として大学教育が117 SGD、塾やその他の教育コースなどが127 SGDとなっています。
医療費は平均、月474 SGDでした。
中でも外来診療などの支出が大きく、医療費は前回統計 (2017 / 2018年) の320 SGDから、最新2023年には474 SGDへ増加しています。
住宅タイプによって月々の支出は大きく違う
シンガポールの家計事情を考えるうえで、もう一つ重要なのが「どんな住宅に住んでいるか」です。
2025年の居住世帯を見ると、
・HDB: 77.2%
・コンドミニアム・その他のアパート: 17.9%
・戸建て住宅: 4.7%
となっています。
つまり、シンガポールの世帯の約4分の3がHDBに住んでいることとなります。
2023年の平均月間世帯支出を住宅タイプ別で見てみると、さらに違いが分かります。

HDB世帯と比較すると、コンドミニアム世帯、戸建て世帯では平均支出が大きく異なります。
そのため、「シンガポールの生活費は月●●SGD」と一つの数字だけで考えるのは難しいと言えるでしょう。
5. シンガポールの「家計」を数字で見ると

ここまでのデータを整理すると、シンガポールの家計は次のように捉えることができます。
収入
2025年の月間世帯市場所得の中央値: 12,446 SGD
2025年の世帯員1人当たり中央値: 4,160 SGD
平均世帯人数: 3.06人
支出
2023年の平均月間世帯支出: 5,931 SGD
世帯員1人当たり: 1,986 SGD
住宅・住宅関連: 2,122 SGD
食費・外食など: 1,422 SGD
交通費: 951 SGD
医療費: 474 SGD
教育費: 404 SGD
当然のことではありますが、世帯の所得、人数、住宅タイプ、子どもの有無、自家用車の所有などによって、家計の状況は大きく変わります。
そのため上記の情報は「平均的なシンガポール人がこの金額で生活している」という単純なものではありませんが、シンガポールでの生活のリアルを知るための情報として、参考になるはずです。
ちなみに、シンガポール統計局の公開情報には、よりシンガポールの家庭像を浮き上がらせるような情報が盛りだくさんで、興味深いものも多くあります。
例えば海外旅行の行先 (エリア) や外食先はどのようなタイプの飲食店か、何をオンライン購入しているのか…などなど、見ているだけで面白い情報満載です!
6. 最後に

シンガポールへの転職や海外就職を考える際、「日本より給与が高いかどうか」だけで判断するのは難しいものです。
例えば、給与が上がったとしても、住宅費や食費、教育費などが大きくなれば、実際に自由に使えるお金は変わってきます。
一方で、シンガポールではHDB、コンドミニアム、戸建てなど、住む場所や住宅タイプによって生活コストも大きく変わります。
だからこそ、シンガポールでの転職を考える際には、「いくら稼げるか」だけでなく、「その収入でどのような生活をするのか」まで考えておくことが大切です。
シンガポールでの転職を検討している方は、求人情報を見る際にも、給与額だけではなく、住宅費や交通費、家族構成などを含めた生活全体のバランスを考えてみることをおすすめいたします。
【 参考資料 】
本記事では、主にシンガポール統計局の以下の統計を参考にしました
- Key Household Income Trends, 2025
- Household Expenditure Survey 2023
- General Household Survey 2025
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