働きやすさでアジア1位に ― シンガポールのワークライフ・バランス最新事情

こんにちは。

リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。

コロナ禍を経た近年、「ワークライフ・バランス」はもはや福利厚生の一部にとどまらず、企業と従業員双方にとって重要なテーマとなっています。

給与だけでなく、働き方やウェルビーイング、そして働く意義そのものが重視される時代へと移り変わりつつあります。


そんな中、先日アメリカのHRテック企業「Remote.com 」が発表した今年2025年の「グローバル・ライフワーク・バランス指数」において、シンガポールがアジアで1位、世界25位(スコア57.85/100)にランクインしたことが分かりました。

これは、シンガポールにおける働き方や職場環境の前向きな変化を示すと同時に、企業に対して「優秀な人材を惹きつけるためには、より魅力的な福利厚生や制度の整備がますます重要になる」ということを示唆していると言えるのではないでしょうか。

今回は、同企業が発表したランキングを詳しくご紹介するとともに、シンガポールのワークライフ・バランス事情について深掘りしてまいります。

【目次】
1.グローバル・ライフワーク・バランス指数とトップ10
2.シンガポールの評価の内訳
3.在星企業のワークライフ・バランスの今
4.企業戦略としてのワークライフ・バランス
5.働く人にとってのワークライフ・バランス
6.最後に


1.グローバル・ライフワーク・バランス指数とトップ10

「グローバル・ライフワーク・バランス指数(Global Life-Work Balance)」は、同企業が2023年以降毎年実施している調査です。

有給休暇や公平な給与、医療制度へのアクセス、治安の良さ、週あたりの平均労働時間といった要素を加点しながら、世界各国でのワークライフ・バランスの状況や、先進的な取り組みを進める国またはさらなる改善が求められる国の現状を調査しています。

まずは本ランキングでトップ10を獲得した都市はどこだったのかを見ていきましょう。


1.オークランド、ニュージーランド
2.ダブリン、アイルランド
3.ブリュッセル、ベルギー
4.ベルリン、ドイツ
5.オスロ、ノルウェー
6.コペンハーゲン、デンマーク
7.オタワ、カナダ
8.キャンベラ、オーストラリア
9.マドリード、スペイン
10.ヘルシンキ、フィンランド


2.シンガポールの評価の内訳

世界25位と惜しくもトップ10には届かなかったものの、アジア1位という称号を手にしたシンガポール。

どのような点が評価されたのでしょうか。

以下に詳しく見ていきましょう。


労働時間
シンガポールでの平均労働時間は週42.6時間と、依然として長めです。

例えば日本(36.6時間)、韓国(37.9時間)と比べても多く、改善の余地があります。

一方で、同調査では「労働時間」だけでなく、医療制度や治安、経済安定性といった国としての要素が加味されており、総合的に高評価を得たことでアジア首位に位置づけられています。

有給休暇
シンガポールの雇用法では、勤続年数に応じて年間7〜14日の最低有給休暇が定められていますが、多くの企業はそれ以上を付与し、平均の年間有給休暇は18日と報告されています。

ただ、ランキング上位のアイルランド(32日)や韓国(30日)に比べると少ない水準です。

近年、人材確保に積極的な企業では、18日以上に加えフレキシブル休暇や家族ケア休暇を導入する例も増えているようです。このような包括的な休暇制度も加味されています。

医療・病気休暇
高水準の医療制度や80〜100%の手当が得られる病気休暇制度はシンガポールのワークライフ・バランスの大きな強みとなっています。

体調不良時に安心して休める仕組みが整っていることは、働く人にとって大きな安心感につながる点が評価されています。

安全性
シンガポールは世界でもトップクラスの治安(世界平和指数1.34)を誇り、安心して生活・就業できる環境が整っていることも大きく評価されました。

幸福度
今回のランキングでは10点中6.57と一定の評価を得ました。

その一方で、生活満足度の高い国と比べるとまだ改善の余地があります。


3.在星企業のワークライフ・バランスの今

近年のシンガポールでは、企業がワークライフ・バランスを整える取り組みを積極的に進めている姿が見られます。

コロナ禍をきっかけに多くの企業がハイブリッド勤務や在宅勤務を制度化し、昨年2024年には政府が労働法の改正・および職場法改正(Workplace fairness Legislation)の導入、さらには柔軟な勤務形態(FWA - Flexible Work Arrangements)など職場での労働環境を改善する動きが活発に見られています。

これらの制度が整うことにより、従業員はより安心して柔軟な働き方を選択できるよう期待されています。


また、同ランキングで評価された項目にもあったとおり休暇制度も多様化しており、法定日数を超える有給休暇や、ウェルネス休暇などの新たな休暇を導入する企業が増えているという報告もあります。

ウェルネス休暇とは、たとえばメンタルヘルス休暇やカウンセリング制度、あるいはジム会員費の補助といった取り組みなどが挙げられます。

さらに、家族支援制度の整備も進めている企業の動きも見られます。

育児や介護をサポートする休暇や補助金制度により、「より安心して働くことができる環境」を提供することで、従業員のロイヤリティが高まることが期待されます。

シンガポールでは、このような取り組みを段階的に企業が積極的に進めていくことにより、従業員の満足度を高めるだけでなく、優秀な人材を採用するための大きなアピールポイントにもなっています。


4.企業戦略としてのワークライフ・バランス

ここで改めて、企業戦略としてのワークライフバランスのメリットについて考えてみましょう。

まず、ワークライフバランスは求職者が仕事を選ぶ際の「上位3つの要因」のひとつ(調査:PwC, 2024)として注目されています。

そのため、柔軟な働き方や健康支援制度を整える企業は、国内外を問わず人材から選ばれやすくなる、と言えるでしょう。


また、バランスの取れた働き方をしている社員は生産性が21%高く、離職率も低いことがわかっています。

ジョブホッピングなど働き方の特性以外にも様々な課題による人材不足が続くシンガポールでは、新規採用だけでなく、いかに従業員を長く定着させるかが重要な課題となっています。


さらに、就労ビザ厳格化やONE Pass などに伴い、ハイレベルなグローバル人材受け入れ制度が広がる中では、ワークライフバランスを重視する企業文化が競争力のある人材を惹きつける大きな魅力となります。


5.働く人にとってのワークライフ・バランス

今回のランキングは、企業だけでなくビジネスパーソンにとっても「給与以外の条件にも目を向けることの重要性」を示しているとも言えます。

まず、働く人が仕事を選ぶ際には、ハイブリッド勤務や柔軟な勤務時間の有無はもちろん、ウェルビーイング施策やメンタルヘルス支援が整っているかも大切なポイントです。

また、家族やライフステージに応じたサポート制度があるか、管理職が業務時間外の境界をしっかり尊重してくれるかどうかも、働きやすさに直結します。


特にZ世代では、72%が「給与よりもワークライフバランスを重視する」と回答しており、若手世代の意識の変化が企業文化を少しずつ動かしていることも見逃せません。

こうした視点を持っておくことで、自分のライフスタイルや価値観に合った働き方を見つけることができ、結果的に長く勤め、自身のキャリア構築にもつながることが期待できます。


6.最後に

今回は、米企業が発表したグローバル・ライフワーク・バランス指数について、そしてシンガポールのワークライフ・バランス最新事情についてご紹介してまいりました。

今回のランキングでシンガポールがアジアでトップに立ったことは画期的とも言えるニュースです。

その一方で、長時間労働や実際の休暇取得の日数など、今後改善すべき課題も残されています。

企業にとって、ワークライフ・バランスは「単なる人事施策」ではなく、採用・定着・成長を支える経営戦略そのもの。
 

働く人にとっても、「給与以外にどれだけ自身の生活に投資してくれる会社か」が重要な判断基準になってきつつあります。

引き続き、シンガポールでは、仕事と生活の調和をどう実現していくかが、企業と働く人双方にとってのカギとなっていくことが予想されます。

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