変化の多いビジネス下における従業員の満足度向上 3つのアプローチとは
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。
ご存知の通り、シンガポールでは旧正月前後のボーナス支給後に離職する従業員の多さから、人材市場が最も活発な時期を迎えます。
先日弊社が行った日系企業様へのアンケート結果においても、年明け以降、実に半数以上の企業様が欠員ポジションの補完または従業員の増員のための採用活動を行っていると回答されています。
一方で、1人の求職者が2~3社の内定を得る昨今の売り手市場、また今年後半以降のEPビザ取得の難化に伴い、いかに会社の魅力付けを行い優秀な人材を集めるのか。
また既存の既存の従業員の満足度ないしはエンゲージメントを高め、欠員ポジションを最小限に務めるかといった課題について最近弊社へのお問い合わせが増えています。
そこで今回は、このような課題へのアプローチについていくつかご紹介したいと思います。
【目次】
1.そもそも、従業員満足度を左右する要因とは
2.明確な社内コミュニケーション・チャネルの確立
3.福利厚生の見直しを行う
4.柔軟性のある企業文化の醸成
5.最後に
1.そもそも、従業員満足度を左右する要因とは
アメリカの臨床心理学者ハーズバーグが19世紀のアメリカ産業社会下において提唱した「二要因理論」というものがあります。
二要因理論とは、従業員は仕事をする上でどのようなことに幸せを感じ、逆にどのようなことでモチベーションが下がるのか、それぞれの要因を分析したものを指します。
1つ目の要因は、「動機付け要因(モチベーター)」と呼ばれるものです。
これがないからと言ってすぐにモチベーションの低下にはならないものの、あればあっただけ業務へのモチベーションないしは所属企業への帰属意識を高められるものです。
例えば仕事へのやりがい、個人の仕事量、透明性のある評価基準、成長の機会などが挙げられます。
もう一つの要因は「衛生要因(ハイジーンファクター)」です。
この要因はネガティブに捉えてしまうと職場や組織へ不満をより感じやすくなるというものです。
例えば企業風土、社員間でのコミュニケーションや上司との関係、労働環境、福利厚生などがあたります。
本理論によると、2つの違いや特性を理解しながら、従業員がどちらかに不満を感じることがないよう、それぞれへのアプローチを考えていかなければならないとしています。
それでは実際に、従業員の総合的な満足度を高めるためにはどのようなアプローチが有効でしょうか。
以下にいくつかご紹介いたします。
2.明確な社内コミュニケーション・チャネルの確立
まず一つ目に、社内コミュニケーションのチャネルを明確に確立させることが挙げられます。
例えば、従業員のつなぎ止めや獲得の有効策として大きく挙げられる給与面ですが、昨今の厳しい経済状況下、ビジネスの状況も鑑みなければならず、上げ続ける訳にいかないケースも想定されます。
このような場合、従業員には事前に会社の業績をはじめ、ボーナスの評価基準や計算方法を明確に説明することが1つの対策として挙げられるでしょう。
会社の現状と将来の計画について透明性をもって共有することで、一人ひとりが納得感を持って業務に取り組むことができます。
またその他にも、給与面以外で従業員を評価する仕組みや場をつくるというのも良いでしょう。
給与を例に取ってご紹介しましたが、社内コミュニケーションの質は、従業員の士気、ひいては離職率に直接影響するものです。
一つ一つ小さなコミュニケーションでも見直してみることをおすすめいたします。
3.福利厚生の見直しの実施
二つ目に、既存の福利厚生・手当の見直しの検討が挙げられます。
この数年の目まぐるしく変化する状況下において、従業員の働き方や生活を守る福利厚生や手当を充実させることは満足度に直結する策であると言えるでしょう。
特に昨今のインフレにおける駐在員の手当の処遇についてはお悩みの方も多いと思います。
先日行った日系企業様に向けた調査によると、現在付与している主な駐在員手当は以下のとおり多種にわたりました。
※出典:2022年日系企業様動向アンケートより
(調査期間:2022年12月28日~2023年1月18日、回答社様数:167)
特に80%以上の企業が健康診断や海外旅行保険を付与しており、 健康・安全に関わる手当を優先的に導入しています。
また、半数以上の企業が、赴任・帰任手当、一時帰国手当、海外勤務手当、転勤時の輸送費 、家賃負担、現地税会社負担 、単身赴任・留守宅手当などの生活に関わる手当を導入していました。
これまで一度も福利厚生や手当の見直しを行ったことがない場合は、ぜひこの機会に見直しを検討されてみてはいかがでしょうか。
4.柔軟性のある企業文化の醸成
オフィスへ戻る風潮も徐々にみられるものの、今後より時間や場所、スキルの面でフレキシブルかつシームレスな対応を求められる場面が増えていくでしょう。
最近多くの研究において、仕事の仕方についてより自主性を与えられた従業員は、しばしば生産性が高く、エンゲージメントが高いことが分かっています。
また、柔軟な働き方を推奨することで、これまで時間の制約や出社制限のある人材にも採用の幅を広げ、活躍の機会を与えることができます。
社員一人ひとりにスケジュールを任せ、期待された結果を出せるような企業風土作りもまた従業員の満足度を高めることができるでしょう。
5.最後に
今回は従業員の満足度向上への3つのアプローチについてご紹介いたしました。
シンガポールでは昨年も大きな変化がありましたが、特に今年はCOMPASSなどの人材市場へのさらなる影響が見込まれています。
いかに既存の従業員のエンゲージメントを高めつつ、ローカル人材または駐在員雇用を調整するか。
大きな課題に対し、引き続き向き合い、それぞれに合った策のトライ&エラーを重ねる必要に迫られています。
お困りのことがあれば、お気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。
本記事が少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
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