こんにちは。

リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。

先日、シンガポール人材開発省(MOM)は2023年の求人動向に関する統計結果「Job Vacancies 2023」を発表しました。

2023年12月時点の求人件数は79,800件と、2022年3月の124,400件から徐々に減少している一方で、求人数の中で新規ポジションの求人が占める割合が2018年以降で最も高くなるなど、日々ダイナミックに変化するシンガポールの経済・労働状況が垣間見られた結果となりました。

今回は本レポートについて、詳しくお伝えしたいと思います。

【目次】
1.新規ポジション/PMETポジション求人が増加
2.スキル採用へのシフト
3.半年以上ポジションが埋まらない求人の割合は減少
4.まとめ
5.最後に

1. 新規ポジション/PMETポジション求人が増加

冒頭でもご紹介したとおり、今回の求人統計では新規ポジションの求人が47.3%と全体のほぼ半分を占めました。

これは、2018年以降最も高い水準でした。また、2022年の38.7%からわずか1年で10%上昇しています。

これらの新規ポジションの大半は事業拡大によるもので、シンガポールの経済成長とそれに伴う労働力の需要の変化を顕著に反映した結果となりました。

業界別の内訳は情報・通信(72.8%)が最も高く、次に建設 (65.7%)、飲食サービス( 57.2%)、小売(55.6%)と続きました。

Professionals、 Managers、 Executives 、Techniciansの略「PMET」の求人割合は57.2％でした。

こちらは2013年の39.2%から2022年には56.0%、2023年には57.2%と着実に上昇を続けています。

MOMは、上昇の背景として、特に情報・通信、金融・保険サービス、専門サービス、医療・社会サービスなどの分野で即戦力となるスキル人材に対する需要が高まった結果だとしています。

PMET求人数が最も多かった情報・通信の職種では、ソフトウェア、ウェブ、マルチメディアのエンジニア職やシステム・アナリストの求人が多く、需要の高まりが顕著に見られました。

また、事業開発および営業専門職の求人も、事業の拡大に応じて増加しました。

シンガポールの成長分野の一つである医療関連の分野においても、看護師といった専門職の需要も堅調に増加しました。

MOMは、同レポートで「リストラや事業改変は引き続き実施されているものの、特にテクノロジー領域に強いスキル人材の需要が高まっている」と見解を示しました。

また、人材不足の中、企業は自社が優秀な人材を獲得するため前年と比較してもこれらの職種に多くの給与を支払うケースが多かったとしました。

2.スキル採用へのシフト

採用活動において見られた大きな変化として、学歴よりも職務に関連する経験やスキルを重視する傾向が強まっていることが分かりました。

特に情報・通信分野でのPMETの採用で見られているそうです。

「学歴を採用の主な決定要因としない」という求人の割合は、2017年の67.1％から、2022年には73.6％、2023年には74.9％と年々上昇傾向にあることも分かりました。

また、68.3％の雇用主が、「候補者が関連する職務経験やスキル、仕事に対する前向きな態度があれば、そのポジションに必要な資格より低い資格でも採用することに前向き」だと回答しています。

応募者の関連する経験やスキルセットも考慮するという雇用主の意欲が高まっている風潮が高まる中、候補者の枠を広げ、優秀な人材を採用したいという意図も垣間見られる結果となりました。

3.半年以上ポジションが埋まらない求人の割合は減少

2023年は、半年以上ポジションが埋まらないPMET以外の求人の割合が前年の27.1％と比べ、23.5％と減少したことが分かりました。

この10年間で10%以上の減少をしており、MOMは「テクノロジーの導入、職務の再設計や累進賃金モデルによる賃上げなどを通じて、人手不足を緩和する努力が成功したことを反映している」と減少の背景を説明しました。

4.まとめ

MOMは、今回の結果がシンガポール経済や人材市場が取り巻く変化と進化によって生まれた新たな機会を反映しているという見解を示しています。

同レポート内では、今後の変化にも柔軟に対応できるよう、従業員はスキルアップや再教育のチャンスを逃さず、常に情報に敏感であるよう求めるとともに、企業にも従業員のスキルアップの場を提供するよう促しています。

また、「より柔軟で幅広い人材に門戸を開いている雇用主ほど、欠員補充に成功している」とし、より多くの候補者へ積極的にチャンスを提供すべく、スキルベースの採用を推奨していくよう求めています。

さらに、昨今自社の魅力付けの一つとなるフレキシブルワークスタイルなどを取り入れ、よりインクルーシブな企業風土の醸成が今後必要となるという見解を示しました。

5.最後に

今回は、先日MOMより発表された2023年求人統計結果「Job Vacancies 2023」の要点をお届けしました。

より詳しいデータについてはこちらよりご確認くださいませ。

本レポートにあるように、今後成長分野でのスキル人材の需要はますます高まっていくことが予想されます。

その一方で、現在の人材市場状況から優秀な人材を短期間で獲得するハードルは高いのが現状です。

今後の採用計画を立てる上でも、今回お届けした内容がお役に立てれば幸いです。

人材採用にお困りの際は、お気軽に弊社までお問い合わせください。
 

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