シンガポールの屋外就労従業員の熱中症対策強化について

こんにちは。

リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。

シンガポールでは12月現在、暦上は雨季、一日の中でスコールの降る日も増えてきた印象ですが、引き続き気温は日中30℃を超える日が続いています。

地球温暖化により、シンガポールの平均気温はこの20年で26.9℃から28.0℃に上昇しているというデータもあり、日中の最高気温はどんどん上昇しています。

これを受けて、今年7月には国民がリアルタイムで熱中症注意報を受け取られるサービスを開始するなど、政府は様々な対策を取っています。

また、特に屋外で就労する労働者は熱中症にさらされるリスクが高いことから、今年2023年の10月にシンガポール人材省(MOM)は、MOH(保健省)とともに従業員の熱中症対策を強化しました。

そこで今回は、新たな強化施策について詳しくお届けいたします。


【目次】
1.熱中症強化対策の基本4原則
2.暑さ指数「WBGT」とは?
3.その他の施策
4.最後に


1.熱中症強化対策の基本4原則

MOMは、熱中症強化対策の基本4原則として「Acclimatise、Drink、Rest、Shade」を掲げています。


まず「Acclimatise」は、少しずつ順応していくということ。

シンガポールに赴任したばかりの労働者や、1週間以上の長期休暇から戻った労働者は、少なくとも1週間かけて1日の屋外での活動を徐々に増やしていくべきだとしています。

また、熱ストレスの影響を受けやすい労働者については、必要に応じて調整をすることを呼びかけています。

次に「Drink」は、水分の摂取です。

作業現場の近くに冷たくした飲料水を常備し、少なくとも1時間ごとに水分を補給することとしています。

また、作業強度に基づく水分喪失率に応じ、1時間あたり300ml以上の摂取を推奨しています。
 

「Rest」については、暑さ指数のWBGT(後述)と運動強度によって十分な休息の時間を確保するということです。

作業を再開する前に、作業者が日陰で十分な休息をとり、暑さから回復できるような状態であることを確認します。

また、可能であれば、休憩場所を作業場の近くに設けるようにしておくことも推奨されています。

休息の頻度は、WBGTが32℃以上に達した場合、1時間ごとに最低10分間の休憩を設けることが定められています。

WBGTが33℃以上になった場合は、作業強度に応じて10分~15分間の休憩を設けることとしています。

作業強度の度合いについてはこちらをご参照くださいませ。

 

最後に「Shade」については、休憩時には直射日光を避け、完全な日陰またはエアコンなどの効いた涼しい場所で休憩をするよう求められています。

作業場所の近くにテントを張るなどが具体案として挙げられています。


2. 暑さ指数「WBGT」とは?

なお、先ほど挙げた「WBGT」とは、一体どのようなものでしょうか。

WBGTは、Wet-Bulb Globe Temperatureの略で、日本語では「湿球黒球温度(℃)」と訳されます。

熱ストレスの度合いを図るもので、主に気温・湿度・風速・日射量などの環境要因を反映する測定値とされます。

「暑さ指数」とも呼ばれ、世界的に使用されています。

日本も例外ではなく、厚生労働省による職場の熱中症予防対策に使用されています。

WBGT専用の測定器を用いて数値(単位:℃)を算出します。

 

契約金額が500万シンガポールドル以上の建設現場、造船所、プロセス産業などの現場では、屋外での作業が長引く可能性が高いため、WBGT測定器を設置することが求められます。

その他の職場では、シンガポール政府が提供する「myENV」アプリを使用してWBGT測定値のモニタリングを行うことが可能です。

 

このWBGTが32℃以上の場合、激しい肉体労働を行う建設現場等の労働者は日陰で1時間に最低10分の休憩を取ることが義務付けられています。

持病のある労働者は、休憩時間を長くするか、医師の指示を仰ぐことが必要です。

 

3. その他の施策

このほか、雇用主は以下のポイントに留意して従業員の熱中症対策をするよう呼びかけています。

多くの屋外労働者が働く現場では、MOMによる臨時チェックが入ることもありますので、日頃から十分に遵守する必要があります。

 

・可能であれば、気温が比較的低い時間帯に業務を行うよう調整する。
一方で、日中の暑い時間帯に作業する際は、1時間ごとにWBGT(暑さ指数)をモニタリングする

・エアコンや扇風機のある涼しい場所で休憩を取る、また衣服はサイズに余裕のある、薄めの生地のものを提供する

・労働者一人ひとりの健康状態をこまめに確認し、熱中症の初期症状やその他危険な症状の有無を見逃さない。
また、スムーズなチェック体制を作るためバディシステムの導入を検討する

・万が一の場合の緊急対応計画を立て、報告手順を確認しておくようにする。
また、このような緊急事態に備えて、冷水や氷のう、水スプレー、クーラーボックスなどを常備しておくようにする

 

4. 最後に

今回は、2023年10月に発表された野外で就労する従業員のための熱中症強化対策について詳しくお届けしました。

シンガポールでは、このほか熱中症に関する基礎ガイドラインもあります。詳細はMOMのこちらをご参照ください。

引き続き気候が続くシンガポールですが、野外で就労する、しないに限らず、通勤中や日中の就労中にもこまめな水分摂取を心がけ、十分にお気をつけくださいませ。
 

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