シンガポール人材採用、優秀なジョブホッパーの見分け方
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールの平林です。
最近の調査によると、記録的な数のシンガポール人が今年中に辞職を予定しているそうです。
第1四半期の失業率は2.2%と低い数字にとどまっているところを見ると、多くの方は離職後すぐに転職をしていると考えられます。
ニューノーマルな働き方が一般的になった今、より良い環境を求めて転職をご検討中の求職者様が多いのは事実です。
一方で、企業側としてシンガポールの人材採用において驚かされるのは、その転職回数の多さではないでしょうか。
今では転職が当たり前となった日本ですが、特に終身雇用の文化が根強い日系企業では、ジョブホッパーに対してあまり良いイメージがないかもしれません。
しかしながら、即戦力採用に繋がりやすい一面もあり、特性を理解した上で採用を進めれば優秀な候補者獲得にもつながります。
そこで今回はシンガポールの人材採用における優秀なジョブホッパーの見分け方と採用のメリット/デメリットについてまとめてみました。
【目次】
1. そもそもジョブホッパーとは?キャリアビルダーとの違い
2. 優秀なジョブホッパー(キャリアビルダー)の見分け方
3. ジョブホッパー採用のメリット、デメリット
1. そもそもジョブホッパーとは?キャリアビルダーとの違い
「ジョブホッパー」の明確な定義は存在しないのですが、一般的には3年以内に転職を繰り返す人のことを指します。
しかしながら、シンガポールのマーケットでは、3年務めると在籍期間は長い分類となりますので、1~2年未満に転職を繰り返し、1社に定着しない人を指すかと思います。
転職回数に関しても明確な基準はないのですが、「20代の内に3回以上」や「1年未満の転職を複数回」などで判断されるかと思います。
また、キャリアに統一感がなく、業種や職種を跨ぐ転職回数が多い方もジョブホッパーと認識されるケースがあります。
逆に短期間での転職を繰り返しつつも、キャリアに一貫性があり、転職毎にキャリアアップを成功させる方を「キャリアビルダー」と呼びます。
2. 優秀なジョブホッパーの見分け方
それでは「優秀なジョブホッパー」 = 「キャリアビルダー」の見分け方を見ていきましょう。
見極めのポイントは以下の3つとなります。
ポイント1. キャリアの一貫性
先にもお伝えした通り、キャリアの一貫性が大きな見極めポイントとなります。
業界や職種に一貫性があるかないかは、その方の経験値にとても大きく影響するからです。
一見して一貫性に欠ける経歴でも、実は話を聞くと筋道が通っている場合もあります。
履歴書のみで判断するのではなく、可能であれば、ぜひ面接を通じて本人のキャリア遍歴を聞いてみてください。
またキャリアを通じて成し遂げてきたこと、今後挑戦したいことなどを深堀りすることで、その方の人物像の把握にもつながります。
ポイント2. 給与、ポジションの推移
次に確認したいのは、キャリアアップについてです。
転職の度に給与やポジションが上がっていることがポイントとなります。
ただし、給与やポジションは上がっていても、ポイント1のキャリアの一貫性が伴わないケースは要注意です。
給与アップのみが目的の場合もあり、他に良い待遇があると早々に転職してしまう可能性があります。
逆に給与が少し下がっていたとしても、一貫性が伴う転職であればあまり気にする必要はありません。
新たな業界への挑戦やプロジェクトにより一時的に下がっているケースもあり、大きな推移で見て右肩上がりであれば問題ないかと思います。
また必要に応じてリファレンスチェックを行うことで、より安心感が伴い、ミスマッチが防げます。
ポイント3. 退職理由と志望動機
最後に重要なポイントは、過去の退職理由と今回の志望動機です。
ジョブホッパーとは異なり、キャリアビルダーの場合は計画的な転職が多いかと思います。
中長期的な自身のキャリア目標から逆算し、転職を通じて実績を積み重ね、短期的な目標を達成します。
ですので、突発的な転職がある場合は要注意です。
また退職理由や志望動機に納得感があり、前向きな理由が多いか、もポイントです。
転職とは大きな意思決定が伴う場面となり、理由を深堀りすることで人物面の把握にもなりますので、ぜひとも面接の際に確認してみてください。
3. ジョブホッパー採用のメリット、デメリット
ネガティブに捉えられがちなジョブホッパーですが、採用に伴うメリットもあります。
優秀なジョブホッパー採用のメリット、デメリットを見ていきましょう。
メリット
- 様々な企業を経験していることで、幅広い経験による知見がある
- キャリアアップに対して貪欲に取り組み、向上心がある
- 計画性および決断力、行動力があり、業務促進につながる
- ビジネスにおける幅広い人脈がある
数多くの企業を経験することで、実務経験だけでなく企業毎の特性や文化、業務プロセスの違いなどの知見があります。
採用することで社内に新しい風が吹き、組織の活性化にもつながるかと思います。
またキャリアや業務、成果に対して実直に向き合い、過去の経験や人脈を上手く用いて企業成長を促進させるでしょう。
転職という意思決定を繰り返すことで、計画性だけでなく行動力もあり、ビジネスにおける意思決定も早い傾向にあるそうです。
デメリット
- 中長期的なポジションを任せにくい
- 採用、育成コストと在籍期間のバランスがとりにくい
- プロジェクトベースの採用になりがち
短期的な経験や目標達成に重きをおく傾向があるため、中長期的なポジションは任せにくいところです。
選考の際には採用背景と期待する役割、および期間を明確化した上で採用決定を行うことが重要です。
また選考の際には多かれ少なかれ採用、育成コストがかかり、在籍期間とのバランスがとりにくく敬遠されることも事実です。
そのため、プロジェクトベースの採用(契約社員など)から検討し、業務を進める中で企業と本人の希望をもとに正社員雇用を行うことも一つの方法です。
最後に
今回はシンガポール人材採用における優秀なジョブホッパーの見分け方をお伝えしました。
ジョブホップが一般的なシンガポール、転職回数や在籍期間のみでお見送りを決めつけるのは少々勿体ないのかもしれません。
履歴書や面接を通じて、転職の背景や今後の展望を深堀りすることで、ぜひとも優秀なジョブホッパーを発掘していきましょう。
人材の採用に関するご相談は、弊社までお気軽にご連絡くださいませ。
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