ウェビナーまとめ:シンガポール採用市場の今とMOMアップデートについて

こんにちは。

リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。

先日弊社ではシンガポールの日系企業様の動向および採用市場の最新情報をお伝えするウェビナーを実施いたしました。

おかげさまで約200社ものご担当者様よりお申込みをいただき、大盛況にて終了しました。

今回は特別にウェビナー後半でご説明したシンガポール採用市場における最新情報と、MOMからのアップデートについてご紹介したキーポイントを抜粋してお届けいたします。

【目次】
1.シンガポール採用マーケットの今
2.近年のMOMアップデートまとめ
2-1.公正な雇用の促進(Fair Consideration Framework )について
2-2.MyCareersFuture(旧Jobsbank)の掲載厳格化
2-3. COMPASSの導入(2023年9月1日以降開始)
2-4.Employment Pass(EP)の状況
2-5. Spassの状況
2-6.DP(帯同ビザ)の就労について
3.最後に

1.シンガポール採用マーケットの今

こちらは弊社が週次でシンガポールの大手求人サイトの求人数および求職者の推移を記録したデータです。

通常シンガポールの採用マーケットは旧正月前後に求人、求職者ともに増えてピークを迎えますが、2021年5月以降は求人数(グラフ内青線)が増え続けています。

一方で、求職者数(グラフ内オレンジ線)に関しては停滞しており、需給バランスが崩れている状況です。

現在は一気に売り手市場が加速しており、新規採用の難易度が高い求人マーケットとなっています。

自社社員の定着を第一優先にしながら、採用上の競合企業を意識した柔軟な採用形態が求められています。


それでは実際に、このような状況の中、自社に合った優秀な人材を採用するにはどうしたら良いのでしょうか。

求職者が企業を選ぶ際に重視する一社一社の「企業力」には、不変的な要素と可変的な要素があるかと思います。

変えられないものとしては企業概要やブランドイメージ等が挙げられます。

一方で、すぐには変えられなくとも長いスパンで変更が加えられそうな労働条件や従業員の待遇は、ぜひ定期的な見直しをすることをおすすめいたします。

また、その際にはシンガポール国内の日系企業の競合のみならず、ローカル企業ともに比較すると良いでしょう。


併せて、求職者へ自社の魅力の伝え方、惹きつけ方といった広報的なものや、スピード感を重視した採用プロセス、面接時の態度などの実行力を備えることも大切です。

昨今、求職者一人に対してオファーが複数出ることが当たり前となりました。

いかに自社を差別化し、最後の一押しまでを行うか、また求職者からのネゴシエーションに対してどのような判断をするかといった判断基準についても、事前に準備をしておくことをおすすめいたします。

 

2.近年のMOMアップデートまとめ

ここからは、シンガポリアンコア政策の中でも直近で変更が見込まれる点および重要なポイントについてご紹介いたします。
 

2-1.公正な雇用の促進(Fair Consideration Framework )について

こちらは2014年8月にシンガポリアンコアを実現させるために施行されたものですが、直近で2020年10月1日よりMOMより新たなアップデートが入っています。

それは、人材紹介会社も採用活動を行う企業が年齢、民族、国籍、性別、宗教、身体障害の有無などに基づいて雇用の差別をしていないかなどの確認とともに、公正な雇用を推進しなければならないというものです。

以降、弊社のような人材会社は現在3ヶ月に一度、実際に各企業様に向けて推薦した人材のリストの提出をしております。

そのほか、求人募集の広告記載の内容やアプリケーションフォームや面接での質問で差別的な質問があった場合はMOMのウォッチリストに入ってしまい、改善計画の提出が求められたり、最悪の場合ビザの発給停止の措置が取られたりするケースがありますので注意が必要です。

ぜひ今一度、採用活動における質問内容に差別的表現等が含まれていないかご確認いただくことをおすすめいたします。
 

2-2.MyCareersFuture(旧Jobsbank)の掲載厳格化

MyCareersFutureとは、前述したFCF政策の一環でシンガポール人に雇用の機会を提供するために作られた政府管轄の求人ポータルサイトです。

導入されてから暫く経ちますが、外国人の就労ビザ申請時に事前の広告掲載、採用プロセスの報告が必須とされています。

また、2020年8月より、広告掲載基準および適応範囲が変更になっています。

より多くのVISA申請において、長い期間の広告掲載が義務付けられるようになりました。

現在の掲載条件は以下の通りです。

(1)従業員数が10名以上
(2)月給が20,000SGD以下のオファー
(3)28日間の事前掲載が必要(以前は14日間)
(4)EPとSpassの申請(以前はEPのみ)

なお、上記を満たすケースでも、一定のポジションで社内異動かつ赴任期間が5年以下の場合は掲載が免除できます。

ただし、証明となる追加書類の提出が求められますので注意が必要です。

政府運営のサイトということもあり、求職者からの信頼感が厚く、優秀な人材や多くの登録者がいるようですので、EPやSパスの取得有無に関わらずご使用がまだの方は、ぜひ一度ご利用されてみることをおすすめしております。

なお、弊社では掲載代行サービスも行っておりますので、書き方等がご不明な方はぜひお気軽にご相談くださいませ。


2-3. COMPASSの導入(2023年9月1日以降開始)

今年度発表された、EP/Sパス発行に際するポイント制度です。

背景として、政府は全ての申請に対して平等で透明な審査をするため明確な基準を設けるという狙いとともに、さらなるローカル人材の育成や雇用創出に期待するためとしています。

EP/Sパスの最低月額給与金額の変更の制度と混同される方が多くいらっしゃいますが、COMPASS制度はまた別の制度となり、来年2023年の9月1日より導入されます。

審査項目は大きく2つ。個人に属する項目としては給与とスキル、企業に属するもので国籍の多様性とローカル人材の比率となります。

COMPASSについての詳細はこちらからご確認ください。


2-4.Employment Pass(EP)の状況

この2‐3年で変動の大きい外国人のビザ発行のための最低給与額ですが、さらに来月からも新たな引き上げが実施されます。

9月1日以降、EPビザ取得のための最低金額が5,000SGDに引き上げられます。

また、金融セクターの最低金額は5,500SGDとなります。

なお、既存EPの更新に関しては一定の猶予期間があり、来年9月1日より最新基準を適用しての更新となります。

ただし、更新申請も直近ではかなり厳しくなっているそうで、更新時に今までと比べて著しく上げる申請をした場合はMOMより確認が入ることもあるそうです。
 

2-5. Spassの状況

こちらも9月1日以降、取得最低金額が3,000SGDに引き上げられる予定です。

更に、来年の2023年9月1日から3,150SGDへ、2025年9月1日からは3,300SGDへと段階的に引き上げられる見通しです。

(金融セクターは来月9月1日より3,500SGDとなります。)

また、既存Spassの更新に関しては、EP同様に一定の猶予期間があります。

来年の9月1日より最新基準の3,000SGD〜での更新となる予定です。また、SパスについてはLevyやQuotaの取得枠数の削減も予定されています。

まずLevyの金額は3年かけて引き上げが予定されています。

現在、上限いっぱいまたはその直前までSパスの枠を使用されている企業様については、今後枠がなくなることを想定し、シンガポール人の雇用を増やすといった対応が求められます。

 

2-6.DP(帯同ビザ)の就労について

こちらは直近の変更ではありませんが、未だよく知られていないのが帯同ビザをお持ちの方の就労についてです。

2021年5月1日以降のLOC申請および更新不可に伴い、DPの方の就労には別途就労ビザの取得が必要になりました。

その後、EP/Sパス以外にも、DP保持者に限り国籍を問わずWork Permitの申請および就業が可能となりました。

MCFの掲載義務がなく、Sパスと比較するとQuota(枠)も多く、最低給与額がないことから、直近ではDP+WPで就労される方が増えています。

また、これによりパートタイムでの雇用も増加傾向にありますので、雇用形態の見直しなどのご参考にしていただければ幸いです。
 

3.最後に

今回は先日のウェビナー内容のまとめについてお届けしました。

ウェビナーでもお伝えしましたが、弊社では人材のご紹介のほか、ビザ申請代行やMCF申請代行をはじめ、業界エキスパートとの面談アレンジや人事コンサルティングなどの幅広いサービスを実施しております。

お困りのことがありましたらぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

また、今後もこのようなウェビナーを随時実施してまいります。

実施の際は、改めてお知らせいたしますので奮ってご参加いただけますと幸いです。

 

今回のウェビナーは動画でもご確認いただけます。ぜひご視聴くださいませ。

【シンガポール】シンガポールの日系企業の動向と採用マーケットの今(ウェビナー保存版)

 

【登壇者プロフィール】
副島 康介(そえじまこうすけ)
Reeracoen Singapore Pte.Ltd / Reeracoen Vietnam Co.,Ltd /Reeracoen Philippines Inc.
Regional General Manager 

大学卒業後、新卒でエン・ジャパン株式会社に入社し、中途採用支援領域にて営業とマネジメントを経験。
2015年に株式会社ネオキャリア/Reeracoen(リーラコーエン)に入社し、フィリピン拠点の立ち上げに従事。
2016年1月にシンガポール拠点に異動し、2017年より同拠点の責任者に就任。
現在はシンガポール、ベトナム、フィリピンの3ヵ国の統括責任者として会社経営に携わっている。

木村 さとみ(きむら さとみ)
Reeracoen Singapore Pte. Ltd. Sales Manager

大学卒業後、新卒で株式会社リクルートに入社し、経理、国内人事労務支援、海外人事として欧米エリアを担当。
2018年に株式会社ネオキャリア/Reeracoen(リーラコーエン)に入社し、マレーシアでの法人顧客の採用支援並びに候補者の就職支援を行うキャリアアドバイザー(Japandesk責任者)としての業務に従事。
2022年1月よりシンガポール拠点に異動し、現在セールスマネージャーとして法人顧客の採用支援に従事。
 

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