【最新】RTS Linkとは?シンガポールとマレーシアを結ぶ新鉄道|2026年開業で生活・労働市場に起きる変化
こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
シンガポールとマレーシアを繋ぐ新たな移送システムRTS Linkの建設工事が、2026年12月の開業予定に向けて、目下進行中であることはご存知の方も多いかと思います。
シンガポールとマレーシア間には「世界一短い国際列車」として長年親しまれたKTMシャトル・テブラウがありますが、RTS Link開通後にはKTMは廃線されるなど (2027年6月までに廃止予定)、さまざまな変化が今後起きてまいります。
今回のブログでは、RTS Linkにまつわる最新状況と、新線開通に伴い起こる変化や私たちにもたらす恩恵について、お届けいたします。
【目次】
1. RTS Link 最新状況 (2025年9月)
2. RTS Link開通に伴い、何が変わる?
3. シンガポールの労働市場では
4. 最後に
1. RTS Link 最新状況 (2025年9月)
シンガポールのウッドランズ・ノース駅と、マレーシアのジョホールバルにあるブキ・チャガル駅との二国間を繋ぐ新線RTS Link (Rapid Transit System Link) は、2026年12月の開業に向けて現在工事が進められています。
同プロジェクトは、プラサラナ・マレーシア社とシンガポールのSMRT社との合弁会社であるRTSオペレーションズ社 (RTSO) によって運営されています。
ジョホール海峡を横断する高さ25メートルの橋の上を走る独立型のLRT (Light Rail Transit - 軽量軌道交通) システムは、4車両編成、一回の移送で600名以上の収容が実現可能です。
ピーク時には各方向で毎時1万人の移送となる想定で、2駅間を約5分で駆け抜けます。
これによって一日に4万人の移動を支える交通システムとなることが期待されています。
またシームレスな移動を実現するため、税関・出入国管理・検疫施設 (CIQ) が併設され、どちらの方面からの出発でも、乗客は出発地でシンガポール / マレーシアの両当局の審査を受けることになっており、到着地での再度の入国審査は必要ありません。
今年2025年に入ってからは6月末にレールシステムの設置作業の約56%が完了したと報道されており、RTS列車内部の画像も公開。
7月末にはブキ・チャガル側のCIQ施設も完成し、車両運行の検証ステージに向けた段階に入ったことがレポートされており、プロジェクトは最終段階に入っています。
2. RTS Link開通に伴い、何が変わる?
新線RTS Linkが開通することで、今後シンガポール社会に起きるであろう変化には、このようなものがあります。
越境通勤者の増加
新線開通によってジョホールバルからシンガポール中心部までの交通所要時間が約1時間と、ぐっと短縮されます。これによって、マレーシアからシンガポールに通勤する人が増加し、シンガポールの職場の国際化・人材流動性の拡大が進むことが予想されます。また、シンガポールにもこれを機に一部製造業などをジョホールバルに移管する動きが見られます。
住宅・不動産市場への影響
シンガポールの住宅価格は高止まり傾向にありますが、新線開通後は「ジョホールバルに住み、シンガポールで働く」という選択肢がより現実味を帯びます。そのため、シンガポール国内の賃貸需要がやや緩和される可能性も示唆されています。また、通勤利便性の向上や再開発に伴い、ウッドランズ周辺の不動産価値上昇が見込まれています。
買い物・オフの行動変化
週末や祝日、また仕事帰りなど、シンガポール人がジョホールバルへ食事・買い物・エンタメ目的に出ることも増えそうです。従ってシンガポール国内の小売業・サービス業にとっては、価格競争に直面する可能性も出てまいります。一方で、シンガポールにも観光・ビジネス目的でマレーシア側から人が流入することで、イベントや文化交流の活性化が予見されています。
交通事情の改善
コーズウェイ(Causeway)の長年の悩みであったのが混雑。高速移動が可能な選択肢が増えることで、車やバスでの国境移動よりも鉄道移動を選ぶ人が増え、渋滞の緩和が期待されるところです。ただし自家用車の需要も依然高いことが見込まれ、完全な渋滞解消には至らないとの指摘もあります。
ウッドランズの都市機能が強化!
シンガポール側RTSターミナル「Woodlands North」駅は、LRTトムソン-イーストコースト線 (TEL) と接続します。これによって、交通上の通り道としての印象が強かったウッドランズが「北部の副都心」として、商業・居住・公共サービスの発展が期待されています。
社会・文化交流の活性化
国境を越えた通勤通学・買い物が日常化することで、シンガポール人とジョホール住民の交流がますます活性化すると言われています。互いの街に行くのがより「当たり前」になることで、文化的・人的交流が加速し、生活圏の一体化が進むでしょう。将来的な経済統合 (SEZ=ジョホール・シンガポール特別経済区)の基盤作りに向けた大きな前進となります。
3. シンガポールの労働市場では
RTSリンク開通によって多くの変化やメリットがもたらされる中、労働市場に与える影響も見過ごせません。
労働力不足や高い人件費といった慢性的な課題を抱えるシンガポールにとって、マレーシア側からより多くの通勤者を受け入れやすくなることで、人手不足を補えることが期待されています。
特に製造業、小売や飲食、介護などの分野への恩恵が大きく、競争力の維持と経済成長の安定につながると歓迎される向きです。
また、賃金上昇圧力の緩和にもつながるでしょう。
シンガポールとマレーシアの賃金格差は依然大きく、ジョホール在住者にとってはシンガポール勤務が魅力的に映ります。
従って低・中技能の仕事はジョホールからの通勤者が担い、専門性の高い職種はシンガポール人が担うという傾向が加速すると言えそうです。
4. 最後に
シンガポールとマレーシアを繋ぐ新たな移送システムRTS Linkについて、現状や今後見込まれる変化・影響についてお届けしました。
国家間を繋ぐ新たな電車ということで、利便性以上の大きな影響が今後出てきそうですね。
単なるミーハー心ではありますが、個人的には乗り心地や越境時のスムーズな入国も早く体験してみたいと感じています。
変化のスピードが速いシンガポールの風景に、またひとつ大きな変化が訪れることを楽しみに来年末の開業を待ちましょう。
また新情報が出ましたら、お届けしてまいります。
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