ダボス会議2024より 新興テクノロジーに関する5つのまとめ

こんにちは! 

リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

世界経済フォーラム(World Economic Forum、以下WEF)が毎年1月に開く年次総会(通称ダボス会議)では開催期間中、時事的な課題や話題についての議論が連日至るところで交わされます。


※ダボス会議とは――毎年1月、世界の政治・経済界をけん引するリーダーや有識者がスイス・ダボスに会して世界が抱える課題について議論するイベント。

毎年豪華な顔ぶれが世界中から揃うこと、また歴史の重要な局面でその存在感を発揮してきたこともあって、注目度の高いイベントです


今回のブログでは、今年のダボス会議で特に白熱した人工知能(AI)など新興技術についての議論を、WEF取締役であり第4次産業革命センター・ディレクターのジュルゲンス氏のレポートから紐解いて(私の意訳も併せて)、お届けします。

世界経済の未来を占う重要なトークテーマでもあるので、アップデートしていきましょう!


【目次】
1.世界の大半はまだアナログで、断絶されている
2.来るべき量子経済への備えが今から必要
3.宇宙技術は、地球にとって必要不可欠である
4.AIは、私たちがより「人間らしく」生きることを支えてくれる
5.継続的な対話が、私たちに利益をもたらす
6.最後に

 

1. 世界の大半はまだアナログで、断絶されている

デジタル機器のスクリーンを眺めてばかりの生活をしていると忘れがちですが、私たちの世界はデジタルとのやりとりがまだ限定的な、極めてフィジカルな世界です。

今日のデジタル技術が私たちの生活を根本から変化させるレベルに至るまでには、まだ複雑なプロセスと、それに伴う膨大な時間が要ります。

いくら技術が優れていようとも、すべてが即座にテクノロジーに置き換わるわけではない、ということを忘れてはなりません。

■EDISON Allianceーー上記を見越して、WEFは2021年にEDISONアライアンスを発足。健康・金融・教育における250以上のイニシアティブを通して、2025年までに10億人のデジタルサービスや接続価格、アクセス等を向上・加速させることを目指しています


2.来るべき量子経済への備えが今から必要

量子テクノロジーに関する議論も活発でした。

量子コンピューティングは、遅くとも2030年までには、今日のAIに匹敵するような形で世界経済に更に大きな影響を与えることが予想されています。

そのためダボス会議内での議論では、この領域での熟練且つ高度に学際的な労働(人材)を確保するため各国政府・企業は今すぐ行動を開始すべきだとの提言がされました。

量子コンピューティングはサイロの中で開発――つまり他の領域と断絶され連携のない環境で開発されるのではなく、さまざまな領域と接続された環境で開発されるべきだという議論も挙がりました。

IBMの欧州・中東・アフリカ部門会長のアシス氏は「開発者のエコシステムを構築すれば、量子をめぐる産業が生まれていくだろう」と延べ、AIがどのように量子コンピューティングと接点を持ちうるのか、また、意思決定のキーマンたちが来るべき量子経済に備えるために、AIに関する現在の議論からどのように学ぶことができるのかといった課題を提起しました。

これを受けてWEFは政策立案者、産業界、学界が量子エコシステムを構築し、すべての人に利益をもたらすための青写真ガイドを発表。

SandboxAQのヒダリーCEOは、「デジタルデバイド(情報格差)のように、量子デバイド(量子格差)が生じることは受け入れられない」と警鐘を鳴らしました。


3.宇宙技術は、地球にとって必要不可欠である

この先10年での世界的リスクの上位4つは気候変動に関連しています(異常気象、地球システムの危機的変化、生物多様性の喪失と生態系の崩壊、天然資源不足)。

人工知能(AI)、ロボット工学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、量子コンピューターなどが急速に進歩する第4次産業革命の技術は、これらのリスクの課題解決に役立てることができ、特に宇宙技術においてそれが顕著です。

プラネット・ラボPBCの共同設立者兼CEOであるマーシャル氏は、地球画像システムが、持続可能な経済への移行を可能にする画期的なデータを生み出すと強調。

例えば森林伐採の監視・追跡から自然災害の予測・対応まで、その用途は多岐にわたり、更にそこにAI技術を加わることで機能が拡大し、強力な未来のシナリオ・シミュレーションが可能になると論じました。

これに対して、「AIと地球システムモデルを高性能コンピューティングとで組み合わせることで、特定の状況や気候リスクをシミュレートすることができる」とEuropean Space Agency(欧州宇宙機関)のアシュバッハー事務局長も発言。
 

また、2030年までに170万基の人工衛星が新たに宇宙に設置されるとの予想から、宇宙そのものの持続可能性についても議論が及びました。

その場にて、宇宙を利用する者・事業体などは、コストと影響の効率性を考慮しなくてはならないこと、また一部は宇宙の持続可能性を無視して事業を進めているとの指摘がありました。

これらを議論した「低軌道と高軌道における競争の調整」のセッションでは、人工衛星の打ち上げにも持続可能性の基準を設けるべきで、宇宙空間に更なるデブリ(ゴミ)を発生させるような対衛星実験を禁止する原則を設けるべきだという意見で一致。

これらの枠組みにはすべての国が宇宙能力を活用できるようにするという側面も加え、すべての関係者が世界的な協力と交流が必須であるという見解で合意しました。

 

4.AIは、私たちがより「人間らしく」生きることを支えてくれる

AIはすでにさまざまな領域の産業を変革しています。

「AIによって、人間はこれまで以上に優れたツールと能力を利用できるようになります」とはOpenAIのCEOであるアルトマン氏の弁です。

例えばヘルスケア領域におけるAIの変革的な利用法として、AIを活用することで医療従事者と患者間のやりとりを効率化するのみならず、より共感的な相互作用を促進することにも役立つ、としています。

それが更に量子技術など他の技術との融合が進むことで、よりパーソナライズされたサービスの実現・課題解決につながる可能性がある、とも言われています。

WEFがこれにより立ち上げた「女性の健康イニシアティブ」は、世界の女性のヘルスケアを改善することで2050年までに世界経済に1兆USドルの貢献ができるという認識に裏打ちされたもので、これによる各プロジェクトを通して、世界すべての国内総生産が1.7%向上する可能性があるということがセッションにおいて強調されました。

 


5.継続的な対話が、私たちに利益をもたらす

断絶が至るところで生じる今日の世界で、極論を超えた先にあるニュアンスこそが今求められていると、登壇リーダーたちの意見が一致しました。

地政学的な不安定性が高まる中、各国の協調的なガバナンスのみがAIが包括的かつ倫理的な利益をもたらすことを保証し、このような先進テクノロジーが私たちの能力を向上させ、気候変動やデジタル格差など現代の差し迫った課題への対応に活用されるように、との決意が示されました。

 


6.最後に

ダボス会議2024において議論された、最新テクノロジーに関する提言について今回はお届けしました。

抽象度の高い議論もあり、私たちの仕事・生活にすぐ結びつくわけではないようなものもありましたが、世界の重要なテーマですので、今後も注目していきましょう!

 

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