シンガポール採用トレンド2026:375名の採用担当者が語る「これからの人材採用」とは

こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。
新年を迎え、これからの採用計画や戦略を立てていらっしゃるご担当者様も多いのではないでしょうか。
昨今のシンガポール労働市場の状況として、人材開発省による最新の失業率データは約2.1%と、人材の受給バランスは引き続き安定した水準を維持しています。
数字だけを見ると落ち着いて見える一方で、弊社には「必要な人材を本当に採用できるのか」という戸惑いのお声が寄せられることが増えてきている印象を感じます。
そのような中、先日、弊社では楽天インサイト様と共同で、在星375名の採用担当者・人事決裁者様を対象に調査を実施しました。
そこから浮かび上がったのは、単なる人手不足ではなく、採用の前提そのものが変わりつつあるということでした。
デジタル化やAI活用の進化、求職者側の選択基準の変化。2026年を見据えたシンガポールの採用市場は調整局面へと進んでいます。
そこで今回は、先日の調査結果を簡単に振り返ってまいります。
レポートのダウンロードはこちらから
【目次】
1. なぜ今、企業は採用に慎重になっているのか
2. キャリアの空白期間が与える印象は、以前よりも大きく
3. 企業が重視するのは「スキルをどう見極めるか」
4. 人材不足が顕著な分野
5. 採用エージェントの役割もより戦略的に
6. これから求められる視点とは
7. 最後に
1. なぜ今、企業は採用に慎重になっているのか
今回実施した調査によると、「十分な人材を確保できる」と強い自信を持つ採用担当者は23.2%にとどまりました。
その内訳としては、応募自体は一定数あるにもかかわらず、採用に踏み切れないケースが増えているという印象でした。
背景にはいくつかの要因があります。
まず多く挙がったのが、求職者側の給与期待が高く、条件面で折り合いがつきにくいという点。
また、応募者が持つスキルと、企業が求めるスキルとの間にズレがあると感じている企業も少なくありません。
実務経験の不足や、重要なポジションほど応募が集まりにくいといった声も聞かれました。
AIや自動化が進む中で、企業は単に経験年数が長い人材ではなく、「今の業務に即応でき、変化にも対応できる人材」を求めるようになっていることが見受けられました。
その結果、採用基準は自然と高くなり、「決めきれない」という感覚が広がっています。
2. キャリアの空白期間が与える印象は以前よりも大きく
また、今回の調査で印象的だったのが、候補者の3か月以上の無職期間に対して慎重な見方をする企業が多かったという点です。
採用担当者の多くは、空白期間が長くなるほど「スキルが止まっていないか」「仕事への意欲が見えにくいのではないか」といった不安を感じやすいと答えています。
特に、業界の変化が早い分野では直近の業務経験や学習状況が重視されがちです。
そのため、リトレンチ後のミッドキャリア層や、異業種への転向を目指す人材ほど、これまでの経歴やスキルを慎重に見られる傾向が垣間見られました。
一方で、企業側も一律に否定しているのではなく、「空白期間中に何を学び、どのように次の仕事に備えていたのかが明確であれば、前向きに評価したい」という声も多く聞かれました。
3. 企業が重視するのは「スキルをどう見極めるか」
今年2026年に向けた採用では、候補者が「どんなスキルを持っているか」だけでなく、「それをどう企業に証明できるか」が重要になっていることがわかりました。
今回の調査では、多くの企業が応募段階で学び直しやスキル習得の具体的な証拠を求めていると回答しています。
たとえば、資格やコース修了証、実務に近い課題やポートフォリオ、研修や自己学習の記録などがその判断材料として使われています。
経験年数だけでは見えにくい部分を、こうした形で補いたいという企業担当者様の意図がうかがえる結果となりました。
また、特に評価が高かったのは、デジタルやAIに関する基礎理解、プロジェクトを前に進める力、データを読み解く力、そして社内外と円滑にやり取りするコミュニケーション力が挙げられます。
採用の軸は、「どれだけ長く働いたか」から「今、何ができ、これからどう伸びるか」へと移りつつあります。
4. 人材不足が顕著な分野
今回の調査では、特に採用が難しい分野がいくつか明確になりました。
エンジニア職をはじめ、物流・サプライチェーン、営業・事業開発、そして技能職や専門技術職では、人材不足が顕著に見られました。
その背景には、業界全体のデジタル化の加速や、近隣国との人材獲得競争の激化が挙げられます。
加えて、高付加価値分野への投資が進むことでの即戦力への需要が一気に高まっています。こうした分野では、従来の採用プロセスではスピードが追いつかず、採用手法そのものの見直しが求められていると言えます。
5. 採用エージェントの役割もより戦略的に
今回、改めて多くの企業様が採用エージェントを活用していることも分かりました。
その理由としては、市場に出にくい人材へのアクセスや事前のマッチング精度の向上、給与水準や採用動向といったマーケット情報の提供など、採用判断を支える役割が期待されています。
また、ミッドキャリアや再就職人材など、表に出にくい層を可視化できる点も評価されています。
採用が複雑になる中で、エージェントは「紹介する存在」から「採用を一緒に考えるパートナー」へと位置づけが変わりつつあります。
6. これから求められる視点とは
AIやデジタルを前提とした働き方が進む中で、職務内容や求める人材像を定期的に見直すことは欠かせません。
ミスマッチを防ぐためにも、こまめな見直しが大切です。
また、ミッドキャリアや再就職人材は、今後ますます重要な存在になるでしょう。
年数や肩書きだけで判断せず、スキルや意欲を見る視点を持つことで、安定した戦力につながるケースも少なくありません。
企業側の求職者を惹きつける姿勢も大切になってきます。
入社後の学びの文化があるか、キャリアの道筋が描けるか、マネジメントがどのように人と向き合っているか。
このような情報を明確に伝え続けることで、より企業の魅力付けを行うことができるでしょう。
今後は、感覚や過去の成功体験だけでなく、データや市場情報を踏まえた採用判断ができることも必須となる時代へ変わりつつあります。
7. 最後に
今回は、弊社が楽天インサイト様と実施した最新調査結果から、要点をお伝えいたしました。
調査から見えてきたのは、「採用が難しい」というよりも、一社一社の採用に対する考え方を更新するタイミングに来ている、ということ。
少し視点を変えるだけで、これまで見逃していた人材や可能性に気づけることもあります。2026年に向けた採用戦略を考える際の、一つのヒントとして参考にしていただければ幸いです。
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