シンガポールの採用マーケットの今と就労VISA・雇用助成金の最新情報

 

先日弊社リーラコーエンでは、

"シンガポールの採用マーケットの今と就労VISA・雇用助成金の最新情報"というテーマで、ウェビナーを開催致しました。

 

本日はその内容から、今すぐできる優秀な人材の獲得方法・MOMの最新アップデート情報についてまとめていきます。

 

【目次】

1. より良い人材を確保するために求められている変化

2. MOM(人材省)からの最新アップデート

 

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より良い人材を確保するために求められている変化

優秀な人材を採用することが、ビジネスの成長に繋がります。

より良い採用をするために、実際に何ができるのか、何をすべきなのか、現状のマーケット状況を含めて解説していきます。

 

"鉄は熱いうちに打て" 先行逃げ切り型採用!

特に旧正月明けなど求人数が増えるタイミング(例年1月〜4月)には、多くの求職者は同時並行で複数の求人に応募、選考を進めています。

 

選考途中で、良い候補者が先に他社のオファーを承諾してしまうケースが頻発します。

自社にフィットした優秀な方を採用いただくためにも、

周囲の日系企業だけでなく、欧米系企業やローカル企業を含めた採用上の競合を意識した選考フロー・スピード構築が大切です。

 

もし面接回数が複数回に渡る場合は、無駄がないか、改めてなぜその選考フローで進めているのかの確認、

「できるだけ短い時間で、選考、意志決定をしていくこと」がキーポイントとなります。

 

また、近年採用マーケットにおいて日系企業だから採用活動・入社が上手くいくというケースが減ってきています。

日系企業のプレゼンスが下がってきていることも採用上の課題として挙がってきています。

1995年と比較して、日系企業のプレゼンスが3分の1に低下。

一方で、中国系企業のプレゼンスが上昇しています。

こういった事実からも、優秀な人材を採用するためには、採用上の競合を意識して待遇面も変えていく必要性も高まっています。

 

また、就労ビザの取得規制・入国規制が継続されている中、駐在員脱依存モデルの確立が求められています。

ローカルを中心に、採用をより活性化させていく中で以下の事に注意する必要があります。

①同国の同業他社企業における給与水準を理解

本社決済や全体バランスの背景から、給与見直しの実施には時間がかかる企業様も多いと思います。

しかしながら、まずは現状理解を通して

「どれぐらい給与にギャップがあるのか」、「給与以外でカバーできる魅力を作り出せているのか」など、

確認、言語化をお勧めします。

 

②給与交渉可能レベル

特に採用活動が盛んな時期、求職者の方から

いざ内定となったタイミングで給与交渉が出るケースも多くございます。

 

毎回、日本本社決済だと時間が取られてスピード感がダウンしてしまい、

良い候補者様の採用を見逃してしまうかもしれません。

 

給与交渉のスピード感や選考、意思決定フローを再度見直す事をお勧めしております。

 

面接の質と選考スピードの担保

面接官の質:

面接官が候補者にどんな話をしているのか、適正な魅力づけ、口説くことができているのか、

もし質の向上が必要な際には、積極的に研修を取り入れても良いかもしれません。

 

会社紹介資料の準備:

面接内で伝えきれない、言語の壁によって伝えきれないという課題には、会社紹介資料を準備しましょう。

紙媒体でも動画でも、より魅力づけになる資料を面接時に渡せるよう作成しておくとよいでしょう。

 

選考スピード:

採用意思決定だけでなく、選考全体のスピード感を重視しましょう!

以下、書類選考から内定までの理想的な日数となります。

 

MOMアップデート関連

シンガポリアンコア政策について

ご存知の方も多いと思いますが、シンガポールの就労に関する基本施策"シンガポリアンコア政策"があります。

2013年にシンガポール政府より、シンガポールの労働力を向上させるために発表された施策です。

 

主な政策内容としては、

-シンガポリアンが優位に就職機会を与えられている状態の推奨
-従業員の2/3をローカルの労働力にすることの推奨
-ローカル労働力の育成に投資
-EP、Spassなどの就労ビザ取得の厳格化
-ウォッチリスト(Watchlist)、デバーメント(Debarment)などを設け、制裁の実施

 

その後、2014年8月にはシンガポリアンコアを実現させるために公正な雇用の促進(FCF)が施行され、

これまでも度々方針を発表してきています。

 

また、2020年の10月1日より、

新たにMOM(Ministry of Manpower:人材省)から人材紹介会社に対しても提出書類の追加がありました。

 

企業が公正な雇用を行なうことを推進しなければならないというルールが開始され、

3ヶ月に一度、人材紹介会社が実際に企業に向けて推薦した人材のリスト提出が求められています。

 

採用をする企業が年齢・民族・国籍・性別・宗教・身体障害の有無などに基づいて雇用の差別をしていないか?という確認がされています。

その他にも、就労ビザの改定が随時行われています。

 

最新の各就労ビザ状況

DP(帯同VISA)就労について

3月3日に、MOMが発表したDPの方の就労規制のニュースは、

多くの日系企業様では、影響が大きいニュースだったのではないでしょうか。

 

これまではLOCという申請をすれば、就労VISA取得不要で就労できましたが、2021年5月1日以降は申請不可能になります。

日系企業にとって、今後の人員計画に影響を与える施策かと思います。

 

EP(Employment Pass)

金融セクターは、さらに2020年12月1日よりEP最低金額は5,000SGDとなっています。

既存EPの更新に関しては、一定の猶予期間があり2021年5月1日より最新基準の4,500SGD〜ベースでの更新となりました。

 

以下、弊社作成のEP金額表になります。

 

Spass

EPと同様に2020年8月27日にSpassの最低金額の引き上げが発表され、最低支給金額は2,500SGDに。

業界により基準異なりますが、今後Quotaも引き締められます。

 

特にサービスセクターは、先立ってQuotaの引き締めが顕著で、

従来のSpass枠を7名→1枠から、2020年1月に8名→1枠、2021年1月に10名→1枠に。

 

現状、製造業は5名→1枠、建設・マリン業界は6名→1枠となっていますが、

2022年1月、2023年1月と段階を追って引き締めが行われる予定です。

 

今後、全体的にSPass枠が減っていきます。

EP更新が難しくなってくる、DP就労に規制がかかってくる中で、もしSPassの枠があるのであれば積極的に検討される事をお勧めしております。

 

MyCareersFuture(旧Jobsbank)の掲載厳格化

2020年8月、ビザ発行に関して必須となるMyCareersFuture(旧Jobsbank)の広告掲載厳格化が行われました。

 

そもそも目的は、シンガポール政府はシンガポール人の「公平な雇用」を促進させること。

最初から外国人に限定した雇用を減らすために、シンガポール人にも公平に門戸を開けるべきとの考えから、

企業が就労VISA申請時に事前の広告掲載、採用プロセスの報告が必須化されています。


より多くのVISA申請において、より長い期間の広告掲載が義務付けられています。

①従業員数が10名以上
②月給が20,000SGD以下のオファー
③28日間の事前掲載が必要(従来は14日間)
④EPとSpassの申請(従来はEPのみ)

 

上記を満たさないケースでも、一定のポジションで社内異動かつ赴任期間が5年以下の場合は掲載が免除されますが、

証明となる追加書類の提出が求められます。

 

一部例外がございますので、詳細はMOMサイトをご確認ください。
 

 

雇用促進の助成金について

雇用促進助成金(Jobs Growth Incentive, JGI)とは、

2020年9月に発表されたシンガポール人・PR保持者の新規採用を促進させる助成金です。

 

内容としては、以下になります。

①先月の追加発表で、対象期間が2021年3月〜9月と拡大。その間にシンガポール人及びPR保持者を新規採用した企業。
②月給1,400 SGD以上の従業員が新規雇用された場合に適応される。
③助成対象となる月給の上限は5,000 SGDの制限あり。
・40歳以上の方であれば、給与の50%
・40歳未満の方で給与の25%、
  を最大12ヶ月間それぞれ補助する。
④2021年2月時点で雇用していた従業員が、同月以降に退職した場合は、その分助成金も減額される。
    減額の金額は、2021年2月時点の既存従業員の合計人数に対して退職した既存従業員の比率か、
    5%のどちらか高い方となる。(例:10人いた従業員のうち、1人が退職した場合、10%減額される。)
⑤CPFの拠出額に基づき自動計算されるため、企業は申請の必要なし。
⑥2022年6月から2023年6月までの期間に順次支払われる。

 

この施策を通して、シンガポール国内の採用マーケットは回復しております。

支給時期は来年以降にはなりますが、投資といった背景から多くの企業が採用に注力している状況です。

 

最後に

このアンケート・採用について、ご不明点がございましたら、お気軽にご相談下さいませ。

 

また、弊社では以下についてお手伝いさせていただいております。

- 人材紹介、人材派遣
- 勤怠管理システムなどHR Techサービスのご提案
- 人事コンサル(採用戦略、人事評価、労務相談)のご提案
- MyCareersFutureの掲載代行
- ウェビナーの実施代行
- メルマガ、SNSなどを使った販促支援


皆様のお役に立てることがあれば、ぜひお声がけください!

 

ウェビナー担当の経歴について

◆副島 康介(そえじま こうすけ)

Regional General Manager @Reeracoen Singapore Pte. Ltd./REERACOEN PHILIPPINES INC
大学卒業後、新卒でエン・ジャパン株式会社に入社し、中途採用支援領域にて営業とマネジメントを経験。
2015年に株式会社ネオキャリア/Reeracoen(リーラコーエン)に入社し、フィリピン拠点の立ち上げに従事。
2016年1月にシンガポール拠点に異動し、17年より同拠点の責任者に就任。
19年よりシンガポール、フィリピンの2ヵ国の管掌マネージャーとして会社経営に携わっている。

 

Reeracoenグループは、人材採用および採用コンサルティングサービスを提供するグローバル企業グループです。
アジアでの長年の経験を元に幅広く採用課題の解決に向き合っております。
アジアにおける求人の取り扱い量、適切なキャリアコンサルティングで海外就職/採用活動をサポートしております。