人事的視点から考える出口戦略~アジア各国企業様向けアンケート結果より~
先日弊社リーラコーエンでは、
アジアに展開する日系企業向けに行ったアンケートを元に、ウェビナーを開催致しました。
本日は、そのウェビナーのまとめを二本立てに分けて、お届けしていきます。
第一弾となる今回は各国の現在の採用マーケットの状況、日系企業が意識すべき採用活動のトレンドについてまとめています。
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アンケート概要
アンケート対象:Reeracoenのお取引のある日系企業728社様
時期:2020年12月23日から2021年1月7日
国別回答数:シンガポール 137, タイ 103, マレーシア 120, ベトナム 78, フィリピン 63, インドネシア 105, 台湾 98, 香港 24
アンケートから見る最新の各国採用動向
求人マーケットの状況
求人の底は2020年5月。
※コロナにおける求人数の推移を定点観測しているデータより
特にシンガポールに関しては、国内雇用を守るために政府が助成金を出して支援。
国内雇用が活発化し、求人数としては回復傾向に。
マレーシア・ベトナム・タイでは、緩やかに回復。
以下の他国では、各国で特徴的な動きが見られる。
フィリピンに関しては、求人数の回復には時間がかかっている。
国民の10%がフィリピンの国外で働いているため、
欧米系企業やシンガポール企業などが出していたフィリピン向け求人がなくなってしまった事が、
求人数の回復に時間を要している原因。
台湾に関しては、求人が底をついたのは4月末。
現在は回復し、求人数は元の状況に戻り、経済も成長している。
変わらなければいけない日系企業の採用
日系企業の現状
駐在員の異動が制限され、成長が鈍化しがち…
そんなときには既存の製品・サービスを新しい市場へ、もしくは既存市場に新しい製品・サービスに進出していく必要がある。
2021年には、以下のように推移。
例えば、デジタル化に精通した人材・新規マーケットの開拓のために同業他社からシニア人材を採用するといった流れが出来始めている。
採用市場におけるディスラプションが進んでいく
成長し続ける地元・外資企業
リーマンショックを経て中国が経済成長をしている時、1人あたりのGDPは10年で2.4倍変化があった。
全土で2.4倍、都市部ではさらなる変化が見るといえる。
かつ、中国企業の成長によって世界的に日系企業が不優位になってきているため、
日系企業では採用における変化(ディスラプション)が必要である。
※ディスラプションとは?:
破壊・今まで起きていた事が大きく壊れることによって、変化が起き、リノベーションが起こっていく。
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台湾におけるディスラプションについて
2020年、台湾はGDPが上方修正、中国を超えて成長している。
経済成長の詳細については、こちらの記事よりご確認くださいませ。
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求職者から見る、日系企業のプレゼンスが下がってきている!?
日本では比較的安定したGDPを保っている。
そのため本社で積極的な給与改定や昇給がないため、
成長段階にある他国や他企業と比べると、"昇給が少ない"など不利になってしまう。
給与や昇給率が高い企業に異動したいと考える人が多いので、競合他社に優秀な人材を取られてしまう…という結果に陥る。
自社で幹部人材が育つために一番重要なポイントは、採用だと考えている企業様も多い。
一方で、競合や欧米・現地企業との比較の上で、採用の入り口(好待遇・高評価制度)に課題を感じている企業が多い。
実際の候補者からの声も…
マレーシアで行った候補者向けアンケートによると、ロックダウン前後で日系企業の人気が下がってきている。
同時に、外資系の企業が落ちて、ローカル企業の人気が上がってきている。
他にも現在成長しているベトナムでは、入社の決め手として給与が重要視されている。
その他条件として会社の雰囲気、製造業であれば立地・非製造業であれば仕事内容がそれぞれ上位にあがってきている。
ちなみに、2021年のベトナム日系企業の平均昇給率は5.9%
※2019年は7.3%、2020年は6.8%
特に日系企業では今年は昇給率が下がっていく傾向にあるので、日系企業からの欠員が危惧されている。
中国では以前、愛国心やメディアの放映によって伸びている国内企業に努めたほうが良いという風潮も起こった。
マレーシア
求職者日系企業と多国籍企業の違いを感じるのか?
給与と意思決定のスピードも遅いと課題しされている。
どうしたら他社に負けず、採用ができるのか?
給与は上げられないが、どのように採用をしていくのか?
採用力
=不変的要素(企業力・労働条件待遇)×可変的要素(採用活動力)
企業力…主に企業概要, 事業内容, 売り上げ高
労働条件待遇…給与や人事制度, 福利厚生など求人概要
こういった不変的要素はなかなか現地企業や多国籍企業には叶わない日系企業であれば、
可変的要素を重点的に変えて採用力を高める事によって、候補者に魅力的に感じてもらう必要がある。
可変的要素とは、
採用活動力=広報力(面接の中で自社をどのように伝えるのか?)+実行力
広報力=面接の中で、自社をどう伝えるのか…
「企業と個人を対等に扱ってほしいと考える求職者が多いので、
対等に求職者の状況を聞きながら、企業情報・働く環境を伝えていく必要がある。
経営者の人柄や法人としての将来性も候補者へきちんと伝え、
面接後に、求職者が面接に来てよかったと思える時間を作り上げる。
そういった時間の使い方を意識すれば、候補者の意欲を獲得しやすい状況を作り上げることができる。
あわせて、実行力。
実行力は、3つの要素から成り立つ。
①スピード=合否連絡、オファーレター提示の速さ(通常2営業日といわれる)
「鉄は熱いうちに打て」という言葉があるように、
スピードが遅れていけばいくほど候補者の意向が下がるので、
なるべく面接終了後から早いタイミングで、オファーを出して行くことが重要。
②面接官
面接官の態度、説明力、候補者と対等な立場での対話力が求められる。
特に、海外拠点では固定の人事担当がいないケースも多いため、
積極的にトレーニングや指導、研修を取り入れていく必要がある。
③交渉力
給料交渉が候補者様から起こるケースもあります。
特に営業であれば、多少の交渉が合った方のほうがパフォーマンスが高かったというケースもあります。
そのため、ときによっては給料交渉への対応力や柔軟性も大事になってくる。
旧正月前後で、転職マーケットが活況になっていきます。
採用活動力を高めることで、自社採用について再度検討し直してみてはいかがでしょうか。
最後に
このアンケート・採用について、ご不明点がございましたら、お気軽にご相談下さいませ。
国別もしくは業種別のデータをご希望の際なども、上記までお問い合わせ頂ければと存じます。
Reeracoenグループは、人材採用および採用コンサルティングサービスを提供するグローバル企業グループです。
アジアでの長年の経験を元に幅広く採用課題の解決に向き合っております。
アジアにおける求人の取り扱い量、適切なキャリアコンサルティングで海外就職をサポートいたします。
ウェビナー担当の経歴について
◆内藤 兼二(ないとう けんじ)
REERACOEN Group Managing Director
2006年リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。
2010年よりリクルート中国へ出向。上海に赴任。11年、中国での事業拡大に伴い3拠点(蘇州・天津・大連)の設立。
2013年、ベトナムに赴任、同社タイ法人の設立。14年に同社退職。
2015年REERACOEN Malaysiaを設立・赴任。18年に現職。
10年間アジアの人材マーケットに関わる。
◆副島 康介(そえじま こうすけ)
Regional General Manager @Reeracoen Singapore Pte. Ltd./REERACOEN PHILIPPINES INC
大学卒業後、新卒でエン・ジャパン株式会社に入社し、中途採用支援領域にて営業とマネジメントを経験。
2015年に株式会社ネオキャリア/Reeracoen(リーラコーエン)に入社し、フィリピン拠点の立ち上げに従事。
2016年1月にシンガポール拠点に異動し、17年より同拠点の責任者に就任。
19年よりシンガポール、フィリピンの2ヵ国の管掌マネージャーとして会社経営に携わっている。