【ウェビナーまとめ①】海外プロサッカーチーム・人材のプロのコロナ禍の変化と向き合い方

先日、弊社では2019年シーズンよりユニフォームスポンサーを務める、アルビレックス新潟シンガポール様と共同でウェビナーを開催しました。

この記事では、「海外プロサッカーチーム・人材のプロから学ぶ、ウィズ・アフターコロナ時代の組織づくり」と題して開催したウェビナーの内容を抜粋して、

それぞれの立場のコロナ禍の現状、組織づくりのポイント、マネジメント方法などについて三部構成でお届けします。

 

第一弾は「海外プロサッカーチーム・人材のプロのコロナ禍の変化と向き合い方」について。

 

セミナー登壇者

内藤  リーラコーエン(ネオキャリア)海外事業本部執行役員

難波様 : Albirex Singapore Pte Ltd CEO

 

コロナ禍にどう向き合っているのか?


内藤:

数ヶ月間にわたってアジア各国のお客様にウェビナーを開催してきましたが、まだまだ悪戦苦闘中というのが現状です。

私はマレーシアに在住しているのですが、ロックダウンを経て働き方が変わってくると感じました。

2020年の3月中旬にマレーシアのロックダウンを経て、メンバーの困惑が感じられました。


オンラインへどんどん移行していく中で、人間関係や社内関係が変化していきました。

メンバーが見えない中で、仕事、そして評価をしなければいけない状況になった中で、意識している事は1つ。

「成果を求めるプロ集団」を作ること。

 

例えばYoutuber。再生回数や再生時間と登録者がわかりやすく成果として現れます。

そのように、全てのメンバーに対して、成果・付加価値に目を向ける評価やマネジメントを徹底しています。

 

そのために大事なのは3点。


1つめは目標管理。

数値化を前提としたアウトプットに変えていく。

何のために用意された数字なのか、結果に繋げるために必要なのかを重要視しています。

 

2つめは権限と責任を明確化。

現場は改善、トップは改革を。

特に、オンラインがゆえに権限と責任がわかりにくくなる中間マネジメント層を明確化。


3つめは時間管理業は自動化させました。

時間管理業や定性的な評価しかできない業務は自動化させるよう変更しました。

特に、経理や人事などは定量的に何をしたのか、業務の量をカウントさせていました。

通常時と比較した時に、量が減ったタイミングが出てきた際には、空いた時間をどうするのか提案させるようにしていました。

自分の通常業務以外に何ができるのか、付加価値を上げることに集中させていました。

 

ただ、これをやりすぎると個が強くなりすぎてしまうので、注意は必要でもありますね。

そういった新たな課題が出てきたタイミングでもありました。

 

難波様:

試合や練習、レッスンが出来ないため厳しいシーズンでしたね。

 

サッカーチームは、9月からやっと全体練習を始められるようになりました。

それまではトレーナーが選手のために自宅でできるトレーニング内容を考えたり、個別ランニングをしたりしていました。

ミャンマー・シンガポール・マレーシアで行っているサッカー&チアダンススクール、ミャンマーで行っているCSR活動も全て、オンラインへシフトしました。

 

オンラインへのシフトに関しては特に課題ではなかったのですが、それ以上に、選手やスタッフのメンタルケアが課題でした。


基本的にオフィスや練習場に行くことができなかったサーキットブレーカーの時期は、声のトーンや体調など普段との変化に気づきにくくなりました。

いつも以上にちょっとした変化に気づくよう気を遣い、アドミンスタッフや経理なども定例会に参加させるようにしていました。

 

また選手やスタッフと何度も面談を重ねましたね。


仕事を失うかもしれない不安以外に、状況下への不安もあり、途中で日本に帰りたいと思うメンバーもいました…

 

特に我々のチームの選手はリーグの規定で23歳以下という年齢制限があり、大学卒業した選手だと1年間限定のチームになります。

基本的にこのチームを経て、翌年以降さらにいい条件で活躍するために人生を賭けて海を渡ってきています。


自分をアピールできない状況、来年以降への不安・ストレス、選手としてのコンディションが落ちる不安…

挑戦するためにシンガポールへ来ており、日本にいたらボールを蹴れていたのにシンガポールにいるからこそ練習すらできないという環境に陥ってしまいました。

選手にとって、状況はとても厳しいものだったと思っています。

 

またスタッフも、同様に厳しい状況だったと思います。

幼少期からスポーツとの関わりが深く、身体を動かすことが好きなメンバーが多い中で、行動が制限され、常に周りに人がいたスタッフにとって変化は大きいものでした。

また単身でシンガポールに来ているメンバーが多く、孤独との戦いが続いたと思います。

 

 

またサッカースクールやCSR事業をしているミャンマーでは、新興国ならではの医療への不安もありました。

コロナだけでなく、もし風邪だとしても病院へ行くのも不安になりますよね。

身の安全が保証されない状況下の不安に加え、ご家族を日本に帰したり、生活の変化も多くありました。

そんな中でも仕事を成し遂げなければいけない…不安を抱えながらの業務だったと思います。

 

状況をどうにかしていくのがマネージャーですが、会社を支えるのは従業員です。

チームとしての団結感が問われたタイミングだったと強く感じています。

 

ウェビナー担当の経歴について

◆難波 修二郎(なんば しゅうじろう)
Albirex Singapore Pte Ltd CEO / 
大学院でスポーツ経営学を学び、2000年よりJリーグFC東京で10年間サッカービジネスの第一線に従事。
2009年に渡米、米国の大学院にてスポーツ経営学を学ぶ傍ら、現地スポーツマネジメント会社勤務、会社設立。
2014年よりアルビレックス新潟シンガポールでプロサッカークラブの経営に携わる。2020年1月よりCEOに就任。

◆内藤 兼二(ないとう けんじ)
ネオキャリア海外事業本部執行役員 REERACOEN Group Managing Director
2006年リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。
2010年よりリクルート中国へ出向。上海に赴任。11年、中国での事業拡大に伴い3拠点(蘇州・天津・大連)の設立。
2013年、ベトナムに赴任、同社タイ法人の設立。14年に同社退職。
2015年REERACOEN Malaysiaを設立・赴任。18年に現職。
10年間アジアの人材マーケットに関わる。

 

次回は「組織内の変化・今後の取組について」です。

来週もお見逃しなく!