拠点責任者が振り返る、2022年の人材市場と来年に向けて

こんにちは。
リーラコーエン シンガポール拠点長を務める副島です。

早いもので、今年も残すところわずか2週間となりました。

お取引先様各位におかれましては、この1年間も大変お世話になり、誠にありがとうございました。

新型コロナウイルスの新株が次々と登場し、感染者数に一喜一憂する中、世界ではロシアのウクライナ侵攻から始まり、未曾有のドル高、円安による経済への影響、米大手IT企業におけるレイオフなど、振り返ると今年も気の休まらない一年だったかと思います。

一方で、シンガポールでは、新型コロナウイルスの状況に反する形でワクチン接種を条件に行動規制や国境制限が一気に緩和されました。

これにより、人やモノの動きが活発になったことで人材市場も少しずつ動き始めたことが感じられた一年間でした。

今回は、この場をお借りしてシンガポールの人材市場を振り返るとともに、来年いよいよ施行されるCOMPASS制度による影響を始めとした私たちを取り巻く状況の展望について、皆様へ共有したいと思います。

【目次】
1.2022年の振り返り:シンガポール人材市場
2.来年の展望について
3.人材会社が+αできる「付加価値」とは
3.最後に

 

1.2022年の振り返り:シンガポール人材市場

市場の全体的な回復が見られた1年

今年は、コロナ禍以降顕著に見られる売り手市場には変わりないものの、市場の全体的な回復や活気が垣間見られた一年でした。

MOMが四半期ごとに発表している最新の労働市場調査(第三四半期)における雇用数はコロナ禍以前のレベルより1.7%の増加、失業率は全体で2.0%(居住者2.9%、シンガポール人3.1%)とコロナ禍以前の数値を維持しています。

また、職場環境の多様化を追い風に、女性やシニア層の活躍も顕著に見られました。

こと女性に関しては、この10年間でも雇用率は3%も上昇しています。

多様な働き方の定着によって、これまで限定されていた社会復帰の実現が増えてきていると捉えることができます。

弊社社員でも、多数の例があります。


以下はシンガポールにおける昨年から今年にかけての月間求人数と求職者数の推移を表したグラフです。

ジョブストリートからまとめています。
 


 

求人数については、年明けから国境・行動規制の緩和がされた第二四半期に向けて、およそ倍に増加していることが分かります。

これはコロナ禍前の状態までほぼ回復している状況で、今後もしばらく維持されるのではないかと見立てています。

次に求職者数の推移についてです。

旧正月以降増加した状況が続き、例年のトレンドを辿っています。

MOMのデータによると、2022年9月時点の求職者1人あたりの求人倍率は2.5と依然として売り手市場で推移しており、今後も特に優秀なローカル人材の確保に向けた競争の激化が見込まれています。
 

日系企業動向

今年5月のCOMPASS制度の発表、そして今年9月から一足早く施行されたEP最低月額給与額の引き上げを受けて、すでに今後の人材戦略や人員配置を検討されている企業様も多かった印象です。

それだけではなく、昨今のインフレによるリビングコストの高騰から、駐在員手当、家賃補助の増額対応の検討を余儀なくされ、コストの面で厳しい局面に立たされるケースもあったかと思います。

英国の人材調査会社ECAインターナショナルが発表した今年の駐在員の生活費ランキングでも、シンガポールはアジアで香港に次ぐ2位と発表をされました。

とはいえ、採用自体に対しては後ろ向きということではなく、先を見据えてローカル人材の採用を検討している・またはその計画があるという企業様も多く見受けられました。

また、昨今の人材不足に対しては課題打破のためポテンシャル人材の採用を積極的に行い、インハウストレーニングを実施するなどの手を打つといったケースもありました。

 

2.来年の展望について

人材市場における回復が見られた今年1年。

正直なところ、シンガポールでは思ったよりも早くパンデミックがエンデミック扱いになったことで、前向きな動きが見られたことが印象的でした。

対して、来年に向けてのキーワードは「COMPASS施行への準備と対策」になるかと思います。

これまでは、EPは候補者一人ひとりのスキルセットに紐づいていましたが、人材を雇用する企業側の状況も客観的に判断されるようになることが最も大きな変化点となります。

残された9カ月間で、今からでも本腰を入れて準備と対策を打つ必要があるでしょう。

特に先日のアップデートで明らかになったC3およびC4項目のローカル人材の比率については、すぐに変えられるものではありません。

早速シンガポール人の採用活動を始めるなど、早急な見直しを図りつつ、既存の駐在員の更新までの対策と併せて行っていくのが良いでしょう。


このほか、来年9月の施行に向けて実際にどのような準備を行えばよいのか。

大きく3つのポイントに分けてご紹介したいと思います。


1.自社の現状把握
2.報酬制度、給与形態の見直し
3.柔軟な働き方の推奨
 

2‐1.自社の現状把握

COMPASSのポイント制度で企業として評価されるC3・C4の項目において、まずは現状で何ポイント獲得可能かどうかを把握します。

これを差異化するためにはどのくらいのポイントを取れば良いかを逆算した上で採用活動を検討することをおすすめいたします。


2‐2.報酬制度、給与形態の見直し

人材採用を行う上で、より優秀な人材を惹きつけるためには定期的な報酬制度や給与形態の見直しが必須であると考えます。

特に前述した通り、昨今のインフレによって上昇した家賃や生活費に応じた昇給制度の確立、または報酬制度の導入により競争力を高めていく必要があります。

残念ながら、自社の給与テーブルや昇給制度が5年以上変わっていないというお話もよく耳にします。

特に来年以降は、定期的に採用上の競合の情報の収集、自社への反映といったサイクルをスピーディーに実現させていくことで、新規採用はもちろんのこと、活躍している既存社員のエンゲージメントも高めることが期待できるでしょう。


2‐3.柔軟な働き方の推奨

パンデミックを経て浸透したリモートワークに代表されるような柔軟な働き方の提供は、給与面とともに重視される傾向が今後も続く見通しです。

弊社が6月、現職中の登録者へ「今後どのような勤務形態を望みますか?」とアンケート調査を行ったところ、全体の66%が在宅勤務を中心とした勤務形態(在宅勤務や必要な時だけオフィス勤務)を望むと回答しました。

同僚とのコミュニケーションに課題を感じる一方で、移動時間の削減や時間の柔軟性などから、在宅勤務を好む人が多いことが見受けられました。

また、柔軟な働き方を提案することにより、これまでオフィス出勤は叶わなかった育児中の女性やシニア層などへのアプローチも可能になるというメリットもあります。
 

3.人材会社が+αできる「付加価値」とは

ここまで来年の見立てについてご紹介してきました。

このような状況の中、私たち人材会社が+αできる付加価値について最後にお話したいと思います。

弊社としては、来年以降の大きな変化にいち早く対応し、今後はより一層、専門的なスキル、高い知識や経験を持っているコア人材の紹介・ご提案、採用に力を入れたいと思っています。

お客様のニーズに関する十分なヒアリングをもとに、お一人おひとりが持つ潜在的なニーズを引き出しながら、積極的な提案を行ってまいります。

また、求職者様へのサービスについても、今後ますます発展するであろうオートメーションをはじめとしたテクノロジーの進化に順応しつつも、人が人に相談したい、背中を押してもらいたいという気持ちに対し、より丁寧なサービスを心がけていく所存です。

2023年もより多くの雇用を創出することで、シンガポールのヒト・企業・社会に貢献を続けて参ります。


最後に

今回は改めて、今年の振り返りと来年の展望についてお届けしました。

少し先の未来さえも簡単に予想がつかない世の中になった今、環境にいち早く順応し、逆境をチャンスとして切り拓いていける変化に強い企業を目指して今後も邁進する所存です。

また、就労ビザ関連についても、いち早くお知らせできるよう一同体制を整えてまいります。

お困りのことがあれば、お気軽に弊社の営業担当までご連絡くださいませ。

来年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

どうか良いお年をお迎えくださいませ。
 

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