現地駐在員に徹底取材 アジアを知る第三回 フィリピン
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。
日々発展を遂げる東南アジアの今についてお届けする本シリーズ。第1回目はインドネシア、第2回目はベトナムの最新状況をお伝えしました。
シリーズ第3回目となる今回は、フィリピンについて弊社の拠点責任者を務める副島へ取材を行いました。
シンガポールからは飛行機で3時間半、2,356キロ北上した場所に位置するフィリピン共和国、通称フィリピンはおよそ7,600島で成り立つ島国です。
日本の約8割の面積の国土において、2020年時点で人口は1億人を超えており、中でも最大の都市マニラが位置するルソン島には6,000万人が居住し、フィリピン総人口の半数以上を占めています。
今月10月現在、新型コロナウイルス感染症対策による水際対策もほぼ緩和され、予防接種を完了していれば隔離なしの入国が可能となっています。
(※入国後7日間は健康状態の観察が強く進められています)
また、ワクチン接種なしの場合においても、到着後に隔離施設にてPCR検査を受け、陰性が確認できれば入国が可能となりました。
外務省が実施している海外進出日系企業拠点数調査によると、昨年10月現在で在留邦人数はおよそ1万6千人、進出日系企業数は1,377社で、年々増加の一途を辿っています。
今回は、そんなフィリピンにおけるビジネス最新概況、そして今後投資や進出を検討される際のメリット・デメリットについてお届けいたします。
【目次】
1.フィリピンの最新状況
2.投資・進出メリット
3.デメリット
4.最後に
1.フィリピンの最新状況
IMFが今月発表したデータによると、フィリピンの実質GDP成長率は6.5%でした。
新型コロナウイルスの流行が始まった2020年は厳格なロックダウンや政策も相まり、マイナス成長となりましたが、翌年は5.7%とプラスの成長を遂げています。
ビジネス面ではBPO領域が盛んであることはご存知の方も多いかと思います。
コロナ禍においても採用は勢いが衰えず、今や世界中から人材を集めています。
また、インドネシアと同じく銀行口座を持っていない人が多いため、フィンテック部門も勢いがあります。
物理的な支店を持たずに金融サービスを提供する「デジタル銀行」の導入もその一例です。
また、これまでフィリピンでの支払いの大半を占めていた小切手から、「Gキャッシュ」や「ペイマヤ」などのオンライン送金サービスなどの利用が増えています。
特に「Gキャッシュ」については、ビジネス・ミラー紙によると昨年10月時点で国民の成人人口の7割が登録しているというデータもあります。
また、フィリピンの就業人口のうち、1割程度は海外で就労していることも特徴的です。
いわゆる出稼ぎだけではなく、エンジニアとして欧米をはじめ、中東やシンガポールで働く人材も増えています。
2.投資・進出メリット
それではここで、私の考えるフィリピン進出・投資のメリットについていくつか挙げたいと思います。
2‐1.人口ボーナスによる今後の経済成長におけるポテンシャル
すでに人口一億人を超えるフィリピンですが、その半数以上が労働人口だと言われています。
また、総人口における平均年齢はで26歳です。
日本は46歳であることに加え、東南アジアの中で比較してもフィリピンの平均年齢は若いと言えます。
これらの世代は貴重なマンパワーであるとともに、消費活動が最も盛んな世代でもあります。
人口ボーナス世代が今後のフィリピンの成長における原動力となり、牽引していくと言えるでしょう。
2‐2.語学面での「英語」の強さ
フィリピンでは、フィリピノ語などもあるものの、英語が公用語のため人口のほとんどが英語を話すことができます。
オフィスにおいても英語を流暢に話せる人が多いように感じます。
このため、ビジネスにおいても特別な言語のための通訳を介在させずに現地の従業員と意思疎通を図ることができ、スムーズなコミュニケーションを取ることができます。
現地の言葉を習得したり、通訳を依頼したりするコストも不要です。
2‐3.優秀な人材が比較的安価に雇用可能であること
人材面では、人件費も安価であることも魅力です。
その他東南アジア諸国の人材採用と比較してもスキルを持った人材をコストを抑えて採用することが可能です。
賃金が上昇傾向にある中、フィリピンは比較的緩やかな上がり幅であることもメリットの一つです。
このような3点から、フィリピンの最大のメリットは人材面にあると考えます。
このほかにも、「経済特区(PEZA)」のライセンス付与による投資優遇制度が整備されているなどのメリットもあります。
3.デメリット
次に、デメリットについても挙げたいと思います。
3‐1.治安面の不安
フィリピンと言うと、やはり政情不安や治安の面での懸念を抱かれる方も少なくありません。
以前のイメージと比べると現在は日本人が生活する上で、思ったよりも危険を感じることは少ないという声を耳にします。
例えば、以前はトラブルが多発していたタクシーについては、グラブタクシーの台頭により大きく改善されています。
また、路上のスリなどには留意する形で持ち物を携行する、夜遅くには出歩かない、など最低限の安全面に留意した上で日本人の多く居住する区域(マニラ:マカティとBGC、セブ:ITパーク)での生活であれば基本的には問題ないかと思います。
しかしながら、他の東南アジア諸国とは大きく異なる銃社会であり、実際に外国人が巻き込まれる軽犯罪や誘拐事件なども少なくないことから、日頃より緊張感を持った生活と、情報収集、何かあった際の自衛策の準備は周到にしておく必要があります。
その点では、他東南アジアと比較すると従業員の生活面での不安が残ります。
3‐2.インフラ面での懸念
発展途上国においては不可避ではありますが、フィリピンのインフラも例外ではありません。
現地でも、国内に鉄道がなく、物資の移動スピードが担保できない、またインターネット回線が不安定であるなどの声を聞きます。
後者については少しずつ改善されてはいるものの、こちらは時間が経つのを待つしかありません。
3‐3.法律の整備や事業撤退への懸念
規定や法律の有無についての問い合わせに対し、係員によって対応が異なったり、回答を得るまでに時間を要するなどのケースをよく聞きます。
また、事業を撤退する際に、フィリピンでは過去3年間の税務監査に対応しなければなりません。
この場合、企業で3年前に経理業務を担当していた人が退職しているケースに当たることが多いようで、確認に時間を要することがあるそうです。
国際協力銀行(JBIC)の調査によると、事業撤退手続きは平均2年かかるそうです。
4.最後に
今回はフィリピンにおける最新状況と投資・進出におけるメリットとデメリットについて詳しくお届けしました。
巨大な高級ホテルやショッピングモール、コンドミニアムが次々と作られ、マニラやセブであれば日本食にも困ることは無くなってきているように、日々大きな進化を遂げているフィリピン。
新型コロナウイルスのパンデミックを経て、以前のような勢いが徐々に戻ってきているとともに、ビジネス形態も各分野で著しく変化しています。
本情報が少しでもご参考になれば幸いです。
【プロフィール】
副島康介(そえじま こうすけ)
Reeracoen Singapore Pte Ltd Regional General Manager
大学卒業後、新卒でエン・ジャパン株式会社に入社し、中途採用支援領域にて営業とマネジメントを経験。2015年に株式会社ネオキャリア/Reeracoen(リーラコーエン)に入社し、フィリピン拠点の立ち上げに従事。
2016年1月にシンガポール拠点に異動し、2017年より同拠点の責任者に就任。
2019年よりアジアの複数国の統括責任者として従事。現在はシンガポール、ベトナム、フィリピンの3ヵ国の統括責任者として会社経営に携わっている。
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