光の祭典「ディパバリ」から考える、シンガポールの多文化共生と職場インクルージョン
こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。
週末にF1が終わりましたね。
10月のシンガポールは、年末のホリデーシーズンに向けて街が少しずつきらめきを帯び始める季節。
チャイナタウンの中秋節に向けたライトアップも然り、リトル・インディアのアーチや街路樹には色とりどりのイルミネーションが灯り、道行く人々の気分が華やぐ―それが「ディパバリ(Deepavali)」の季節です。
ヒンドゥー教徒の方々にとって、ディパバリは「光の祭典 (Festival of Lights)」とも呼ばれ、善が悪に勝利すること、希望の光が闇を照らすことを象徴しているそう。
家庭では小さなオイルランプ (ディヤ) に火を灯し、親族や友人とともに伝統菓子を囲みながら新しい一年の幸運を祈ります。
シンガポールでは、今年2025年のディパバリは10月20日(月)が公式の祝日として多くの人が家族と過ごす一日となります。
宗教的な意味合いを超え、国全体でこの季節をお祝いムードで迎える様子は、まさに「多文化共生国家」シンガポールならではの風景です。
今回は、このディパバリについて、そして職場で祝うディパバリについて、お届けしてまいります。
【目次】
1.ディパバリとは?改めて知っておきたいその意味
2.シンガポールで暮らす私たちにとっての「文化の理解」
3.なぜディパバリは職場で大切なのか
4.シンガポール企業に見る文化的行事理解の取り組み
5.ダイバーシティ経営がもたらす企業価値
6.2025年のディパバリに向けて企業ができること
7.最後に
1.ディパバリとは?改めて知っておきたいその意味
「ディパバリ」とは、サンスクリット語の「Deepa(光)」と「Avali(列)」に由来し、直訳すると「光の列」を意味します。
諸説ありますが、古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』の中で、ラーマ王子が悪王ラーヴァナを倒して国に戻った際、人々が灯りを並べて迎えたという伝説に基づいています。
現代では、宗教を超えて「光が闇に勝つ」「善が悪に勝つ」という普遍的なテーマを祝うお祭りとして、インド系コミュニティ以外の人々にも親しまれています。
家庭では掃除をして家を清め、新しい服を着て、贈り物を交換するといった日本のお正月にどこか通じる部分もあります。
2.シンガポールで暮らす私たちにとっての「文化の理解」
シンガポールは、華人、マレー人、インド人を中心とした多民族国家。
それぞれの民族が持つ宗教行事や祝祭が年間を通じて次々と訪れます。
私たち日本人にとっては少し馴染みのない祝日もありますが、日常生活や職場の中でそれらを知り、尊重することは、当地で生活をする上でとても大切です。
特に当地で働く人々とっては、多文化背景を持つ社員同士の文化背景を理解し合うことがチームビルディングの鍵になります。
3.なぜディパバリは職場で大切なのか
ディパバリは、単なる「連休」や「宗教行事」ではありません。
企業にとっては、多様性(Diversity)と包摂(Inclusion)を実践するチャンスでもあります。
近年の調査では、インクルーシブな職場文化を持つ企業は、従業員一人あたりのキャッシュフローが平均2.3倍高く、離職率も低く、イノベーション創出にも前向きである、という結果があるほど。
シンガポールの人材市場では優秀な人材の流動性が高く、「いかに社員に長く働いてもらうか」が大きな課題となっています。
そんな中、「自分の文化や価値観を尊重してもらえる職場」は、社員にとって非常に魅力的に映り、企業ブランディングの向上にもつながります。
社内のメンバーの絆を深め、多文化理解のある職場として従業員のエンゲージメントも期待できます。
4.シンガポール企業に見る文化的行事理解の取り組み
ディパバリだけに限らず、近年多くの企業が文化行事を「社員エンゲージメントのチャンス」として捉え、さまざまな取り組みを行っています。
以下にいくつか例をご紹介いたします。
チームランチや社内イベント
例えば、ディパバリなら社内でインド料理を取り入れたランチ会を開いたり、ディパバリの伝統を紹介する時間を設けたりする企業もあるそう。食を通じた文化交流は、自然と笑顔を生み出し、部署を超えたつながりを育みます。
多言語でのメッセージ発信
「Happy Deepavali!」「Selamat Hari Deepavali!」といったメッセージを社内メールやニュースレターで共有することも。特にグローバルな人材が集まる企業では、社員に「自分の文化が尊重されている」という安心感を与えることができます。
柔軟な休暇対応
特に祝祭を祝う社員には、家族と過ごすための休暇や早帰りを認めるなど、ちょっとした配慮が大きな信頼につながります。
オフィス装飾で雰囲気づくり
クリスマスに受付やオフィスの共有スペースにクリスマスツリーを飾るのと同じように、文化的シンボル、特にディパバリならディヤ (ランプ) やランゴリ (色粉で描く床絵) を飾ることで、職場に季節感と明るさが演出することができます。
こうした取り組みは大規模でなくても構いません。
大切なのは、「祝う姿勢」そのものを社員に伝えることです。
5.ダイバーシティ経営がもたらす企業価値
シンガポールはAI分野で世界有数の「技術準備度」を誇る一方で、社会としての「文化的寛容さ」も高く評価されています。
この「ハイテクと多文化の共存」こそが、シンガポールの強みです。
特に弊社の調査でもミレニアル世代やZ世代の社員は、給与や肩書きだけでなく、「自分らしさを受け入れてくれる企業文化」を重視することが分かっています。
このような結果からも、多様性への取り組みは、もはや「社会貢献」ではなく「企業競争力」の一部と言えることができます。
当地でビジネスを行う企業にとっても、ディパバリのような文化行事を通じて現地文化の理解を深めることは、グローバル経営の実践そのものとも言えます。
「現地社員を尊重しながら、企業の理念を共有する」姿勢は、チームを強くし、結果的にビジネスの成果も期待することができます。
6.2025年のディパバリに向けて企業ができること
例えば、以下のような小さな取り組みから始めてみましょう。
社内カレンダーに祝日を明示する
まずはHRスケジュールや社内ポータルに「Deepavali (20 Oct)」を記載しましょう。
文化紹介を取り入れる
ランチ会やオンラインセッションで、社員が自分の文化を紹介する機会を設けるのもおすすめです。
誰でも参加できる形で祝う
宗教色を強調しすぎず、料理・アート・音楽などをテーマにしたイベントは参加しやすく人気です。
柔軟な働き方を支援する
この期間に家族行事がある社員には在宅勤務や休暇の調整を許可するなど、柔軟に対応を。
7.最後に
今回は、シンガポールでのディパバリ、また企業がディパバリを祝う意義や方法についてお届けしてまいりました。
ディパバリは「光の祭典」であると同時に、「人の心に灯りをともすお祭り」でもあります。
文化の違いを理解し合い、互いの価値観を尊重する――それは多文化社会で生きる私たちにとって最も大切な学びのひとつです。
シンガポールという多様性の国で働く私たちが、この季節に感じる「光」は、きっとチームの中にも、ビジネスの中にも、温かなつながりを生み出してくれるはずです。
本記事が少しでも皆様にとって有意義な情報となれば幸いです。
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